シンポジウムに行ってきました~育児期親子のITとソーシャルメディア活用~
こんにちは!
オンライン子育てひろば「ママこぺる」スタッフの鈴木です。
先日、スタッフの滝が、「スマホ×育児」の記事を書きましたが、
このテーマ、子育て中の親にとって、本当に悩ましいテーマですよね。
だって、新しいテーマだもの。
誰もまだ、子育てにおいてどんな影響がでるかなんて知らないんだもの!
私自身、「オンライン子育てひろば」のこの仕事、かつ臨床心理士をしているという理由と、
自分自身がめちゃくちゃアナログ人間で(今までSNSも一切やったことがなかった…)、世の中の速さにすでに全然ついていけてない子育て中の一人の親としても・・・
「子育てにおいて、ITをどう活用したらいいんだろう?」
「スマホが子育てに与える影響って?気をつけるべきことって?」
と、常にこのテーマに関心を持っています。
そんな最中、「育児期親子のITとソーシャルメディア活用:日本、韓国、米国、スウェーデンの国際比較」と題する公開シンポジウムがあったので、楽しみに行ってきました!
(アナログ人間の私が、なぜITを使わないといけないこの仕事を始めたかについては、またの機会に書きたいと思います^^)
日本の子育ては、IT先進国の中では遅れている??
このシンポジウムは、日本・韓国・米国・スウェーデンを研究の舞台とする研究者の先生方が、2014年から5年間にわたり育児期の父親と母親を対象に(調査対象は各国1,000人)、以下のことを研究するプロジェクトの集大成として実施されたものでした。
1.子育てにおいてIT機器とソーシャルメディアをどのように活用しているのか、各国の現状や課題の把握
2.IT機器とソーシャルメディアの利用が子どもの発達、親子・夫婦関係などにどのような影響を与えているのかの検討
4時間にわたった基調講演やパネルディスカッションの内容は、新しく知ることも多くて、とても盛りだくさん!
まずは、各国の現状や課題のところで、一番驚いたのは、
IT先進国と言われる4か国の中では、日本の育児期の親のスマホ・タブレット利用やSNS利用は一番低い!ということ。
日本の親のスマホ用途は、コミュニケーションツールとしてはメールかLINEが主。他3国では、95~97%の親がSNSを利用しているのに対し、日本の親は78%だったそうです。
(Facebook、Twitter、instagramのすべてにおいて、日本の親の利用率が一番低い↓↓)
ーSNS利用者率ー (鈴木の個人メモより/小数点以下切り捨て)
Facebook:日本40%、韓国59%、米国88%、スウェーデン85%
Twitter:日本24%、韓国24%、米国50%、スウェーデン24%
instagram:日本11%、韓国23%、米国66%、スウェーデン58%
※詳しい報告書は現在まとめている最中だそうです。
上記、各国のSNS利用者率の違いの考察として、
韓国の家族関係、アメリカの国土の広さや社会の不安定さ、家族のあり方の多様さ、スウェーデンの国家戦略としてのデジタル化政策(行政、学校等もすべてICT化!)など、各国ならではの事情がお話に出ていました。
なるほど、なるほど興味深い( ^^)
「スマホ×育児」は、だいぶ前から注目され、議論になっていると思っていたけれど、IT先進国の中においては、まだ日本の親のスマホ・タブレット利用、SNS利用は低いといえるんですね。
とはいえ!とはいえですね。
もうすでに若い頃からスマホに親しんでいる世代がどんどん親になって、子育てをし始めています。
instagramをのぞいてみると、たくさんの方がマタニティアカウントや離乳食アカウント、子ども写真アカウントなどを作成して、活発に交流をしています。
日本においても、子育て期の親があたりまえのようにスマホ・タブレットを利用し、SNS利用率もあがっていくのは、間違いないでしょう。
そして、そうした親たちの間で、「スマホ×育児」はどんな議論になっていくのか・・・。
IT先進国の研究の知見を参考にしながら、私自身もこれからも考えていきたいと思います。
でもやっぱりテレビと一緒?!
シンポジウムは、本当にすごい情報量で消化しきれていないのですが(^^;、
一番印象に残ったのはやはりこのことかも。
この「スマホ×育児」の議論って、かつて「テレビ×育児」が議論されたことに似ていると思いませんか?
今では当たり前のように、各家庭にあるテレビですが、1960年前後頃に日本でテレビが普及するようになりました。
1958年の現在の天皇陛下のご成婚、1963年の東京オリンピックがテレビ普及の契機となったのは有名ですよね。
子ども時代にテレビを見る機会のなかったかつての親世代が、育児におけるテレビの影響を心配したように、子ども時代にはITやソーシャルメディアがなかった私たち世代は、これらをどう子育てに活用したらいいのかイメージができず、悩んでいます。
でもテレビに関しては、こんなふうに思ったりしたことはありませんか?
「長時間見過ぎは良くないけれど、時間を決めて見ればいいよね。」
「テレビ番組にも良質なものがあって、選んで見させればいいよね。」
「DVDに集中している時間も助かるから、ときどきはいいよね。」
子ども時代にテレビがあったため、自分もそれなりにテレビとの付き合い方を知っていて、多少悩んだりはしても、全く未知のものに対峙する得体のしれない恐怖(言い過ぎかしら??)みたいなものは少ないのではないでしょうか。
テレビに関しては、以前は子どもの発達にネガティブな影響が示唆される研究もあったのですが、2009年には「テレビをたくさん見ても、親との双方向的会話があると言語発達に影響はない」という研究結果も出ています。
多くの親は、「テレビを見せっぱなしにはしない」ということに気をつけ、「テレビを通して子どもとの会話を楽しむ」といったコミュニケーションツールとして、上手にテレビを子育てに活用しているのではないでしょうか。
どんな番組があるのか、子育て仲間と情報交換したりして、我が子に合った番組を取捨選択しているのではないでしょうか。
子育てにおけるITとソーシャルメディア活用については、研究者もまだまだ研究中のことなのです。
基調講演をされたベネッセ教育総合研究所常任顧問で小児科医の榊原洋一先生も、「子育てにおいてITやソーシャルメディアを使用するのは避けられないこと。大切なのはどのようなリテラシーをもって親が使うべきか?」と仰ってました。(直接お話する機会が持て、名刺をお渡しさせていただきました^^)
私たちも、「どういう使い方をするといいのか・・・」という意識を持ち続け、子どもとの関係の中で、その子、その家庭に合った答えを今は模索すればいいのではないでしょうか。
とてもシンプルかもしれないけれど、テレビと同じように、考えすぎず考える!!
良質なアプリについて子育て仲間と積極的に情報交換し、我が子が気にいるのか、我が子の反応を見ながら利用していったらいいかな~!
なんて思って、ちょっと気持ちがらくになった帰り道でした。
読んでいただきありがとうございます。
オンライン子育てひろば「ママこぺる」では、全国の乳幼児親子がリアルタイムで顔を合わせて集い、語りあったり学びあっています。自宅にいながらホッとできる時間を一緒に過ごせたらなと思います。よかったら遊びに来てくださいね。(スタッフ・鈴木)