川べり
今日、川べりに腰を下ろして、ドーナツを食べた。
昼下がりのドーナツ。
授業始まるまであと10分のドーナツ。
息の詰まりそうな生活から一瞬でも解放してくれる。
川べり。
たいせつな人ができたら、ここに連れてこよう。
たくさんのことを話そう。
たくさん笑おう。
そう思える場所。
大通りから川沿いに5分ほど。
冬前のひんやり穏やかな気候も相まって、空気が澄んで、鳥も鳴いて、空もきれい。
そしてわたしは後悔する。
コンビニのドーナツという、人の温かみも冷たさも何もないこの食べ物を選んだことを。
塩おにぎりでいいじゃないか。
自分の手で握った、まあるいおにぎりでいいじゃないか。
人情もくそもない、冷え切ったドーナツを口に含んで、水で流す。
悔しかった。
次は、おにぎりにしよう。
そして、大切な人と、大切な時間を。
川のせせらぎというのは、焚火の炎と同じように、昔から人を語らせるものとして語られてきた。
わたしは、大昔の人と同じように、お知りに意思を突き刺して、川を眺めて、人情溢れるものを食べる。