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「これぞ、クラフトビール」で「クラフトビールは死んだ」
札幌の Beer+MaltWhisky バー「Maltheads」(モルトヘッズ)です。
この記事から3回にわたり、「クラフトビール」という言葉について考えてみます。
第1回「これぞ、クラフトビール」で「クラフトビールは死んだ」
第2回「クラフトビールに定義はない」のか?
第3回 私の考える「クラフトビール」とは?
まずは、あえて扇情的なタイトルから始めます。しかし本文でも書きますが、カギカッコの位置で真意を読み取ってください。
これぞ、クラフトビール?
ご存じの通り2021年3月、キリンが「これぞ、クラフトビール」という大胆なコピーの商品を発売しました。
https://www.springvalleybrewery.jp/https://www.kirin.co.jp/company/news/2021/0226_01.html
見本缶にはさらに踏み込んだコピーが付いていました!
発売直後から侃々諤々、賛否両論でした。
これまで小規模で少しずつ頑張ってきた「クラフトビール」界隈の方々(*)が、大手に油揚げを攫われたようなものですから。筆者もその過程をずっと身近で見ていただけに、その気持ちには深く共感できます。
(*批判的なのは造り手よりも飲み手)
言葉の賞味期限が切れた
しかし、筆者としてはあまり深刻に考えていません。
なぜならば、大手であるキリンがこのビールを発売したことで、ついに「クラフトビール」という言葉の賞味期限が切れた、と考えるからです。
「クラフトビール」は死んだ、ではなく、「クラフトビール(という言葉)は死んだ」です。サンクトガーレンではないけど、「、が大事」なのです。
https://www.sanktgallenbrewery.com/unkonoblend/
これからは(というよりは、とっくのとうに)「クラフトビール」というだけでは売りになりません。「ビール」として美味しいかどうかだけがシンプルに問われることになるのです。
もし小規模醸造所が「クラフトビール」という言葉に頼ってしまうのであれば、それはキリンと同じ穴の狢です。
「クラフトビール」という言葉が日本で定着しはじめてから、もう10年は経つでしょう(筆者の感覚では2010年ごろからです)。もうそんな古い言葉にこだわらずに(頼らずに縛られずに)、単なる美味しい「ビール」を造ってほしいと考えます。
もちろん「クラフトビール」という言葉が一定の定着を見せ、その言葉がいまだに影響力があるのもたしかです。
次回の第2回では、あらためて「クラフトビール」という言葉の定義とその重要性について考えます。
おまけ:「豊潤<496>」擁護
「美味しくないからイヤだ」という意見をネットでなぜかよく見た「豊潤<496>」。「これぞ、…」というあたりに反応したのか、はたまたオリジナルの496を愛していたキリン好きだったか。もちろん、そこまで言われるビールではありません。とても美味しいビールです。これが手軽にコンビニで手に入れられるのは、素直に「良い時代になった」と思います。
クラフトビールという言葉に興味を持った人に「これぞ」と言わせたい、というのが「豊潤<496>」の「顔」(これは第3回での用語)でしょう。その意味では(本編で述べたことと矛盾するように見えるかもしれませんが)これもクラフトビールでしょう。
追記:KIRIN のnote記事を見つけました。<顔>が見えます。
おススメの飲み方としては、「よなよなエール」との飲み比べです。同じメーカーが造った、エールとラガーの違いが判るよいチャンスです!
…そもそも、「豊潤<496>」がラガーだと気づいていたでしょうか。「うるさ型」の方もペールエールとして評価しているような感じがするのは気のせいでしょうか? 「フルーティ」な香りは酵母ではなくてホップ由来ですよ。
「ラガーとエールによくある誤解」というのも、またどこかで書きます。
おまけ2:キリン「チルドビール」
キリンが「良い時代になった」と思わせてくれたのは、これが初めてではありません。
もう15年も前になるのですが、キリンがコンビニ限定で無濾過ビールを販売していたことがありました。その名も「チルドビール」。流通と保存を両立させた素晴らしいアイデアでした。しかも第3弾の名前は「豊潤」。「Spring Valley」シリーズはあのときの「リベンジ」だったのですね。ううっ、良かったねヒットして!(マイナー時代から応援していたミュージシャンがヒットした時の心境)
https://news.nissyoku.co.jp/news/nss-9317-0049
https://www.kirin.co.jp/entertainment/daigaku/ZMG/dst/no50/