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池袋ジェイズ・バー96ネヴィス祭(04)

3月2日(木)
本日より第4回96ネヴィス祭が始まります。
今回の記事では96ネヴィスの瓶詰年度による変化に対する僕の感覚的な認識を説明したいと思います。

年度ごとにハッキリと境目がある訳ではありませんが、僕は2014年から2017年までを96ネヴィスの黎明期と考えています。後にこの期間のシェリー樽熟成のものも評価が高くなりましたが、主にバーボン樽系の96ネヴィスが好きなのだなという認識が生まれたのがこの時期です。

いくつかの96ネヴィスを僕の中で比較して代表的だったのは、第1回目に提供を始めた

ベン・ネヴィス 1996 − 2018 22Yo
Archives / for Shinanoya
Hogshead , Cask N0.12627 , 49.5%

「こういうので良いんだよなぁ」というのが素直な感想でしたが、そんな言い方をすると誤解を招くかもしれません。言い換えるなら、シンプルな構成要素ながら伸びの良い96ネヴィスらしいフルーティを感じさせ、素朴ながら標準的な美味しさがある。その部分を評価していました。

ゴチャゴチャし過ぎない素直なフルーティさ。個人的にはそういう96ネヴィス「だけ」を評価していた時期だったと思います。いささか原理主義に陥っていたかとの反省はあります。

2018年から2019年までは安定期。黎明期から96ネヴィスに注目していたアーリーアダプターも少なからず存在しましたが、2018年頃になると「ネヴィスと言えば96」という認識が広がって来たと思います。個人的には「シンプルな構成要素ながら伸びの良い96ネヴィス」はこの安定期までがピーク。

ただ、僕の96ネヴィスに対する認識を改めねばならないかなと思い始めた時期だったかと思います。

2020年は玉石混合な時期だったと思います。安定期に「ネヴィスと言えば96」という認識が広がった結果、各社96ネヴィスの確保に奔走した頃だったのかもしれません。2014年から96ネヴィスに注目していた僕としては、これはいつまで続くのだろう?という気持ちにもなっていました。

結果としてその後も96ネヴィスのリリースは続きましたから、そもそも1996年の生産量は少なくなかったということでもあったでしょう。「やがて池袋ジェイズ・バーで96ネヴィス祭を」と考えていた僕としては「いつまで?何本くらいの?」96ネヴィスをストックしなければいけないのだろう?と思い始めていた頃です。

ただ、玉石混合と思っていた2020年の暮れに一筋の光明を感じたのはウイスキー・ジュリィ。その黎明期に「シンプルな構成要素ながら伸びの良い96ネヴィス」を追いかけていた僕にとって「しっかりした複雑さも愉しめる96ネヴィス」という気付きを与えてくれました。

2021年からを発展期と呼んでいますが、その話はまた日を改めて。

さてさて、前置きが長くなりましたが、今回ご紹介するのは以下の2本。

ベン・ネヴィス 1996 − 2018 21Yo
Moltoyama / 冨嶽三十六景 for J’s Bar
Hogshead , 55.0%

ベン・ネヴィス 1996 − 2021 24Yo
Kyoto Fine Wine and Spirits / Selected by Wu Dram Clan
Hogshead , Cask N0.1408 , 45.6%

モルトヤマの下野くんも酒屋を初めてもう10年くらいになるでしょうか。京都さんより先輩ですが、Kyoto Fine Wine and Spiritsさんの知名度はこの2021年頃にはしっかりと高まっていたと感じています。

僕が個人的にバーボン樽系の96ネヴィスに思い入れがあることは皆さんにもお察しいただけると思いますが、モルトヤマ&ジェイズ・バーの冨嶽三十六景は黎明期の「シンプルな構成要素ながら伸びの良い96ネヴィス」。Kyoto Fine Wine and Spiritsは発展期の「しっかりした複雑さも愉しめる96ネヴィス」。そう認識しています。

少し話が逸れますが、冨嶽三十六景はモルトヤマ5周年を記念して、下野君から「ジェイズ・バーとジョイントPBをやりたい」とのオファーを受けての瓶詰めでした。5年前、冷たい雨の降る富山の街を歩いてモルトヤマを訪ねたのをよく覚えています。

インポーターさんから手に入れたサンプルは6種類くらいあったでしょうか。下野君と一緒に真剣にテイスティングをしました。実はその時に、僕が一番気に入ったのはダフタウン。とは言え「下野君も96ネヴィスの方が売り易いだろうな」とは感じました。

そのことを素直に伝えると「じゃ、両方ともやりましょう」と下野君は返してくれました。
心意気のある男です(笑)。

正直な気持ちを思い出すと、その時のサンプルの96ネヴィスは少しヘタっていたのでしょう。ボトルに瓶詰めされた96ネヴィスがどのような状態であるか、ちょっと心配でしたが、サンプルより驚くほど良い状態だったことに驚き、また嬉しく思いました。

さて、最後にちょっとした悩ましいお話を。

前回の記事で、
ベン・ネヴィス 1996 − 2020 22Yo
Sansibar / The Clans Label
EX-Bourbon , Cask No.282 , 43.9%

こちらに対する評価が高いものでなかったことをお伝えしました。しかし、開封してしばらく経つと「シンプルな構成要素ながら伸びの良い96ネヴィス」に変化してくれました。正直驚きました。自分の未熟さを思い知らされたことを素直に認めざるを得ません。

冨嶽三十六景の瓶詰めは5年前。有意なアドバンテージを手に入れている可能性に期待します。一方、京都さんは流石に2021年当時の開封したてから素晴らしかったことを思い出します。

この #池袋ジェイズバー96ネヴィス祭 が始まる前に皆さんにアンケート投票をしてもらいました。結果は既にご報告させていただいておりますが、今回の2本は共に34点を獲得して共に3位。投票数では富山が15票、京都が18票。皆さんにも本日お話ししたような切り口で愉しんで頂ければ嬉しく思います。

ちなみにウイスキー・ベースの京都さんのレイティングは90.24とかなりの高評価。

一方、富山のウイスキー・ベースのレイティングは1票も投票がないので0.00です(笑)。


*追記(お詫び)

3月2日の19時過ぎにKyoto Fine Wine and Spiritsさんからお電話をいただきました。

僕が「対決」を煽ったこと。また、この記事の最後に「もちろん僕は富山の勝利を確信しております」と締め括ったことでKyoto Fine Wine and Spiritsさんを不愉快にさせてしました。

僕としては軽口を叩いた程度の冗談のつもりでしたが、並べられ比べられ「勝利を確信しております」と言われれば腹が立って当然のことかと思います。彼らの日々真剣なお仕事ぶりを理解している僕としても、本当に失礼なことをしてしまったと後悔しております。

また、今回の96ネヴィスの買取をご希望されましたが、お断りさせていただきました。それほどまでに不愉快な思いをさせてしまったこと、深く反省しております。

素直に謝罪をさせていただきます。
本当に申し訳ありませんでした。

文章で情報発信をする身として、注意を払うのを怠り乱暴な書き方をしてしまいましたこと。改めて今回の失礼をお詫び申し上げます。申し訳ありません。

真意が伝わらなかったことに驚きましたが、お話を伺いながら自分の文章力のなさに思い至ることとなり、気付きを与えていただきありがたく思います。

多くの人に向かって文章を公表している以上「どのように受け止められるか?」に注意を払うべきところに配慮が欠けていたこと、深く反省しております。

今一度、自分の書いた文章を読み返し、その経緯を確認し再発防止に努めます。よろしくお願いします。

この記事を読んでいただいた皆様にも大変失礼をいたしました。
心よりお詫び申し上げます。

池袋ジェイズ・バー
蓮村 元



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