池袋ジェイズ・バー96ネヴィス祭(05)
3月9日(木)より第4回96ネヴィス祭が始まっております。
鹿児島出張や確定申告の準備など日々の忙しさにかまけて、記事を仕上げるのがおろそかになっていました。ごめんなさい。
今回はウイスキーの熟成樽という切り口で少し話をさせていただこうかと思います。
それがすべてではありませんが、どんな樽で熟成されていたか?は少なからずウイスキーに影響を与えます。同じ蒸留所のウイスキーでもバーボン樽とシェリー樽熟成の違いは分かりやすく感じますし、どの蒸留所かに関わらず「今日はシェリー樽熟成の濃厚なウイスキーが飲みたいな」なんて気分の日もあります。
もちろん、すべてのバーボン樽が(同様にシェリー樽も)同じ品質ではありません。樽の素材は木という自然物。家の建築に使われる建材とは違います。ウイスキーという液体が直接触れる容器です。同じような形に作られても、ウイスキーの育ち方に違いも出るでしょう。
僕らは樽の違いに個性を感じてしまいますが、バーボン樽とシェリー樽から生み出される仕上がりの違いには、確かに体感的な有意な差があります。ただ、バーボン樽で熟成されたら「必ずこうなる」というような因果関係はないでしょう。あくまでも「概ねこういう傾向にある」という程度に理解した方が息苦しくならないでしょう。
樽の素材は木という自然物。という前提に立つなら、やはりそこには当たり外れはあるのだと思います。
さて、96ネヴィス祭に用意したウイスキーは34本。
スペック上の樽の種類で分類すると、ホグスヘッドが18本、シェリー10本、バレル2本。その他4本ということになります。
やはり多いのはホグスヘッド。全体の半分以上を占めます。続いてシェリー。こちらも全体の3分の1ほど。そして、バレルが2樽。第一回に出したモルトマンはフィノ・シェリーでした。
今回ご用意したのは以下の2本。
ベン・ネヴィス 1996 − 2020 24Yo
3R / The Dance
Barrel , Cask N0.06/62 , 50.1%
ベン・ネヴィス 1996 − 2021 25Yo
HOUSE of McCALLUM
Rum , Cask N0.1643 , 46.2%
3Rがバレル。HOUSE of McCALLUMはラム樽熟成ということになります。大半がホグスヘッドかシェリーということですから、今回の2本が少数派であることは間違いありません。
34本の中でもう1本のバレル熟成は2017年瓶詰めのアーカイヴスのフィッシュ・オブ・サモア。当時は初期の名作のひとつと認識しています。繰り返しになりますが、当時は構成要素のシンプルさと伸びの良さを可愛らしいと感じていました。
3Rのダンスの方は同ヴィンテージで熟成年数が4年延長されています。当時は「96ネヴィスも熟成年数がバレルで24年ともなると過熟気味なのかな」などと思っていましたが、これは完全に僕の認識不足。
瓶詰めから3年経って「ほぐれて来たな」と感じました。凝縮された構成要素がバラけて、それぞれの要素がキラキラと輝いています。
HOUSE of McCALLUMのラム樽の方は今回ご用意した中でも最長熟の25年になります。パイナップルのフルーティさを軸に生姜のスパイスが効いて、キャラメルのような甘さを感じたのを思い出します。
バレルだから、ラム樽だから、ということでは必ずしもありませんが、これからはホグスヘッド主体の96ネヴィス祭になって行くでしょう。
ホグスヘッドが何たるか?などということは簡単に言えませんが、バレルにしろラム樽にしろ樽の違いを事前に認識しつつ「樽の違いってどういうことなんだろう?」と想像しながら愉しんでいただけると嬉しく思います。