だるまさん転びっぱなし
週に何日かの在宅勤務続行中のかいぬし。きみちゃんのいるリビングで仕事をしていると、ちょうど斜め後方にきみちゃんのケージがあるので、もしきみちゃんが産業スパイなら、弊社の機密がダダ漏れということになるが、幸い、きみちゃんはただの世界一可愛いインコさんなので、今のところ、その心配はない。
仕事中、相変わらず基本的には静かにしていてくれるきみちゃん。ふと後ろの方からギョリギョリ聞こえて来るので振り返ると、目が合う。
目が合うと「構え構え」と言われてしまうので、慌てて向き直り、再び仕事にとりかかる。
しかししばらくするとまたギョリギョリ聞こえて来て、そっと振り返ると、また目が合う。
というのを何度も繰り返してしまう。なぜだ?なぜ必ず目が合うのだ?
そっと、音もなく振り返っているのに、振り返った瞬間、ギョリギョリ音は消え、ばっちり目が合っている。
と、言うことは…
と言うことは、きみちゃん、やだ、いつも私のことを見てるのね…//
なんて、甘いことを考えていてはいけない。
いつだってきみちゃんは、「構え」「遊べ」「蕎麦の実よこせ」という強い意思のもと、じっとかいぬしの集中力が途切れるのを待っているのだ。
たとえギョリギョリしていたとて、所詮かいぬしの気まぐれなど、きみちゃんの眼力の前に敵う筈もない。
そしてまた、きみちゃんの前に、デレデレしながら蕎麦の実を進呈するのである。