面倒な彼女
「面倒くさい彼女」というと、どんな女性を想像するだろう?優しくてちょっと気の弱い彼氏にわがままを言ったり、気持ちをぶつけて翻弄したりして周囲を振り回して、強烈な個性を見せつけながら、なぜか人を惹きつけてやまない。
「そんな面倒な女、別れちまえよ」
と言う友人に、
「でもそんなところも好きなんだ」
と、惚れた弱みで笑ってみせる彼氏…あれ、これまんま、きみちゃんじゃん。
そう、きみちゃんは、「面倒くさい彼女」。しかしきみちゃんにとって「面倒くさい」はもはや褒め言葉でしかない。
なぜなら、その面倒くさいところがきみちゃんの魅力に違いないからだ。
構え!構え!と騒ぐくせに、いざ構いに行くと、急に羽のお手入れが忙しくなり、かいぬしに構ってくれない。それがきみちゃんだ。
淡白な態度を取る割に、甘ったれさんで寂しがり屋、それがきみちゃんだ。
ところがきみちゃん、発情中は巣作りや子育てに忙しくなり、構え構えと騒ぐことがない。かいぬしがリビングから姿を消しても、一切、呼び鳴きなどしない。
楽といえば楽なのだが、かいぬしとしてはちと寂しい。
ところが、発情期が終わったとなると、途端に構え!構え!と騒ぎ出し、かいぬしがトイレに行こうものなら、何事かと心配になるほどの大音響で呼び鳴きをし、「お待たせー。遊ぼっか!」とテンション高く応じると、「いや、今、ちょっと忙しいから…」と、羽のお手入れを始めて構ってくれない。
この!この「面倒くさい彼女」感が嬉しくて、発情期が終わって途端に面倒くさくなると、「お帰り、面倒くさいきみちゃん!」と声をかけてしまう。
今日も翻弄される幸せを噛みしめつつ、面倒くさいきみちゃんを愛でるのだ。