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NWN / HOSPITAL FEST VOLUME I

 ウォー・ベスチャルブラックメタル界の二大巨頭、BlasphemyとBeheritがまさかの来日!

NWN / HOSPITAL FEST VOLUME I NWN Day

2024年4年6日(土)
GORILLA HALL OSAKA

 会場に着いて驚いた。客のほとんどが海外メタラーじゃん、、
 多分9割方外国人で、日本人は本当に少なかった。日本にもブラックメタラーは大勢居るはずなんだけどな。Emperorとか来ればそこそこ人集まるし。ウォー・ベスチャル系は人気が無いのだろうか。

 物販の売り子も全員外国人。英語が全くダメなのでどうなるかと思ったが、片言イングリッシュとジェスチャーで無事購入。良心的な価格設定で、つい予定より買い込んでしまった。

 この日は日本から4組が参加。中でもAbigailとSabbatはベテランらしいパフォーマンスで、フロアを熱狂の渦へと巻き込んでいく。海外メタラーが日本のバンドで盛り上がってるのを見ると、やはり嬉しくなる。特にSabbatのコールの嵐は熱かった。
 自然と荒々しいモッシュが発生し、自分も突っ込んでいったのだが、屈強な海外メタラーに突き飛ばされ、気付けばかなりステージの近くへ。ステージ上の生音がダイレクトに飛んでくるような距離感で、生々しいサウンドを堪能した。

 海外勢はBloody Vengeance、 Witchcraft、Death Worshipウォー・ベスチャル系が続く。それぞれBeherit、Blasphemyのメンバー(もしくはライブでのサポートメンバー)が絡んでいる。
 しかし、何たる破壊力!BlasphemyとBeheritに備えてバルコニーでゆっくり観るのも良いかと思っていたが、圧倒的なパフォーマンスを前にして、フロアに降りずには居られなかった。

 メロディックなプリブラを響かせたDeparture Chandelierに続いて、ついにBlasphemy登場。
 前から大体3人目辺り、やや上手側で観たが、Deathlord of Abomination and War Apocalypse氏(名前長過ぎ。じゅげむかよ)のギターが非常にクリアに聞こえてくる。特に1stアルバムではやや不明瞭だったリフも明確になり、とても格好いい。
 ハードコア的なサウンドでフロアの盛り上がりはついに最高潮に達し、ダイブまで発生。

 ラストはもちろんRitualで締め。これを生で聴く日が来るとは。感慨深かった。彼らはライブ映像もリリースしているし、ファンカムもYouTubeに多く上がっているので、結構な本数をこなしているのかと思っていたが、setlist.fmで調べた限りでは年間に数えるほどしかやっていない模様。貴重な体験が出来た。

 1日目のトリを務めるのは、バンド編成によるBeherit。
 彼らのライブはBlasphemy以上にレア。90年代前半にフィンランド国内でライブをやっていたのみで、当時も国外でのライブはやっていなかった様だ。その後、Nuclear Holocausto Vengeance氏のソロになり、2009年にはブラックメタルに回帰したアルバムをリリースするも、まさか約30年の時を経てバンド編成でのライブをやるなんて夢にも思わなかった。それも日本で!

 ライブはSalomon's Gateでスタート。凄い、、あのBeheritが目の前で演奏している。
疾走パートも良いが、繰り返されるスローなパートのリフから滲み出る異教感に引き込まれる。ギターとベースが音源より明瞭に聞こえてくるため、リフ自体の魅力が際立つ。また、それを支えるSodomatic Slaughter氏のドラムも、初期よりもテクニックは向上しているが、決して機械的にならない熱いドラミングを披露。
 Nuclear Holocausto Vengeance氏はボーカルの他、トラムパッドやシンセ音を担当。曲間をアンビエント的なサウンドで繋いでおり、これが儀式めいた雰囲気を作り出していて良かった。
 1stフルからの曲がセトリの大半を占めていたが、The Oath of Black Bloodの収録曲は勿論、最後はEngramからAll in Satan、Pagan Moonの2曲を披露。ブラックメタルとしてのBeheritのキャリアを総括するようなライブだった。
 ただ貴重というだけでなく、純粋にライブとしての完成度が高かったと思う。30年のブランクがあるのにも関わらず!ただただ素晴らしい。

 「これは夢じゃない。本当に生でBeheritを観たんだ。」興奮冷めやらぬ中、帰路についた。

 実のところ、ウォーベスチャル系をちゃんと聴くようになったのは比較的最近のことで、元々は専らメロディックなプリブラを好んで聴いていた。例えばKristallnacht周辺とか(Seigneur Voland来日公演もまた、貴重な体験だった)。ウォーベスチャル系は有名どころ以外ほとんど知識が無いに等しい。
 初日のライブを観て、BlasphemyやBeheritのような大御所だけでなく、その関連バンドや彼らの影響を受けた新世代にも興味を持つことが出来た。こうした収穫があるのも、フェスの良さだ。

転換中のSEはIggor Cavalera氏が担当。DJだけのために来日とは、何だか勿体ない気もする。

NWN / HOSPITAL FEST VOLUME I Hospital Day

2024年4年7日(日)
GORILLA HALL OSAKA

 2日目。ブラックメタルづくしの初日から一転、電子音系のアーティストが並ぶ。お目当ては、初日に引き続きトリを務めるBeherit。その他は全く知らないアーティストばかり。何の予習もせず、会場へと向かった。

 初日より1時間早く始まることを知らず、入場すると既に2組目のCult of Youthが演奏していた。
 会場内が少し肌寒かったので、丁度良いパーカーはないかと物販を覗くと、初日は見かけなかったBlasphemyのパーカーが置いてあったので購入。NWN!のオーナー、Yosuke Konishi氏がいたので日本語で話し掛けたら、普通に日本語で対応してくれた。

 続いて出演したOld Tower、これが非常に素晴らしかった。
 ジャンルとしてはダンジョンシンセに当たるのだろうか。ファンタジックなシンセサウンドで中世ヨーロッパの世界に引き込まれていく。背景に映し出される映像や、古い書物を読み上げるパフォーマンスといった、視覚的な要素も絡めた演出が効果的であった。個人的には2日目のラインナップの中でBeheritの次に良かった。

 その後ノイズ系のアクトが続くのだが、、正直あまり理解は出来なかったかな。始めは良かったのだが、10分も経つと展開が欲しくなってくる。それでも、Genocide OrganやLinekraftのように力強いアジテーションが加わると随分印象が変わる。積極的に音源を漁ろうとは思わないが、ライブで視覚的要素も込みで観るのは悪くないかもしれない。
 ただ、ノイズと絶叫を3分程撒き散らして去って行ったMasonnaは面白かった。周りの外人さん達にもウケていた。

 最後はお目当てのBeheritのエレクトロニックセット。幕が開き目に飛び込んできたのは、床に直置きされた機材と、その前に座り込んでいるNuclear Holocausto Vengeance氏の姿。そのまま酒を片手に、マイペースにプレイを続ける。前にいたから見えたけど、後ろの人達には絶対見えなかったと思う。

 肝心の演奏だが、アルバム収録曲を演奏する訳ではなく、シンセの音色をごく僅かに変化させながら、10分以上も単音で引っ張る。その後ノイズパートを挟み、最後はシンセの和音が少しずつ消えていき、終了。
 「これで終わり?」みたいな雰囲気も漂っていたのは事実。確かに単調極まりないのだが、それこそ1stのアートワークのような、何処までも続く宇宙空間を月面からただ一人で眺めているようなサウンドは結構浸ることが出来た。気付けばあっという間に30分も過ぎていて、何ならもっと聴いていたかったぐらい。とても良かった。

 二日間に渡って行われたNWN / HOSPITAL FEST、素晴らしいフェスだった。このようなフェスを島国日本で開催していただいて、海外遠征までは中々できない身としては本当に感謝しかない。
 また日本での開催はあり得るのだろうか、、流石に今回のラインナップは凄すぎたので、これを超えるのは難しいかも知れないが、個人的にはReencarnación辺りが来たら面白いかなと思う。現メンバーのテクニックはしっかりしているが、初期のナンバーのガタガタな曲構成はどうにもならない、でもそれが何故か格好いい、みたいな。
 次回にも期待しています。

#ブラックメタル
#Beherit
#Blasphemy


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