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秋にさくら あのころ。

さくらももこ先生のエッセイを紹介します。
純粋に楽しかったので味を占めました。

楽しい本なので是非、最後までお付き合いください。
面白そう、読みたいと思って頂けるよう頑張ります。


「あのころ」

全部まる子、全部あのころ。

小学校時代のエッセイを中心にまとめた一冊。ここからまた三部作が始まって行く。第一弾であるこの本、一体どんなものなのか。見ていこう。


「てきや」

縁日の時に現れるどこか恐い雰囲気のあるおじさん・・のイメージがあるてきや。さくら先生が小学生だったまる子の時代には道端にも生息していたのだ。何やら物を売っているではないか。

「まほうカード」「踊るマッチ箱」・・聞いただけで小学生のハートをがっちりと掴みそうなアイテムである。大人であれば胡散臭いとすぐ見抜く事が出来るのだが・・

てきやのおじさんは言葉巧みに、それらを魔法のように使いこなし小学生たちに売りつけていたのである。まる子(この三部作はこの呼称で)はまんまと騙され前述の2つを買ってしまう。

まほうカードは中国で仕入れてきたもので、マッチ箱はフランス製の本物らしい。当時は海外産の舶来ものが高級だった時代。子供たちには中国やフランスに何があるかなんて分からなかったから、本当に外国にはそういうものがあるんだろうな・・と思ってしまったのだった。

制限時間はあと一時間。てきやのおじさんは煽る。お金を持ってこないとまほうカードとマッチ箱が買えなくなってしまう!

まる子は実家の八百屋へ急ぐ。お母さんにお金をねだる。お母さんはインチキを見抜きたしなめる。状況は一刻を争う・・追い詰められたまる子はなんと、お店の銭箱からお金を盗み出したのだ!

まほうカードだけなら買える!マッチ箱は250円もするから今回は諦めよう。お母さんはそれに気付いて怒ったが制止するには至らず。まる子はおじさんのところへ走って行ってしまった。


「遠足ぎらい」

遠足が嫌いだったまる子。だって好きな時にトイレ出来ないから。草むらでなんかしたくない。先生はずるい、お店や民家でトイレ借りてる。

遠足となったらまずトイレがあるかどうかが重要だ。なるべく水分を摂らず、胸に食べ物が詰まれば胸を叩いて落とす。そして学校に帰ってからようやく用を足せるのだ。

遠足の準備だけが楽しい。お菓子いっぱい買えるから。いつものお小遣いの十倍の贅沢を許される。あとはトイレ無き楽しくない遠足が待っている。行きたくない気持ちがマックスに達し、出発前。まる子は先生に「お腹が痛い」と仮病を使ったのだった・・。


「家庭教師のお兄さん」

まる子と大学生のお兄さん家庭教師「宇野先生」との心温まるエピソード。お姉ちゃんとその友達の勉強を見てもらうために来てもらったのだ。バイクでやってきた先生は、二階の窓から呼びかける幼稚園児のまる子に笑顔で手を振り返した。親しみやすそうな若者である。まる子は姉たちと共に到着を待った。

人見知りであったらしいまる子であったが、宇野先生に対しては平気だったらしく色んな話をした。小さな子供の他愛無い話、先生はそれを真剣に聞いてくれた。対等に接してくれたのだ。まる子はすっかり懐いたようで、姉たちの勉強を邪魔する勢いで先生に色々せがんだ。なぞなぞを出してくれ、切手コレクションを見てくれ・・などなど。

姉や母は「あっちに行け」と言ったが、先生はここに居てくれて良いとかばってくれた。自己流のパズルや迷路を作ってきてまる子に与え、それで遊んでいる間は大人しくしていた。とっても面白く夢中になれたのだ。切手コレクションにも協力してくれた。

何でこの先生は家庭教師先の小さな女の子に対してここまでしてくれたのだろう。先生が大学を卒業するまでの一年間の記録。やがて来る別れの日。

この本で私が一番好きな話。ここまで出来てしまう人はいつの時代もそうそういない。現在はどこで何をしておられるのだろうか。変わらず未来を担う子供たちを優しく見守っているのだろうか。


「きょうだいゲンカの話」

漫画でも描かれた、まる子と姉のシーチキンのノート争奪戦に代表されるきょうだいゲンカ。ケンカする、母が仲裁に入る。物が絡めば争いはより醜く。しびれを切らした母は物品を取り上げる。姉は諦め、まる子はそれが欲しいと泣きながら縋り付き、それをまんまと手に入れる。プライドもへったくれもない。


「物をなくす」

母の100万円のオパールの指輪を無くす話。友達と大金持ちの奥様ごっこをしていた時にどこかへ行ってしまったのだ。母の大事な宝物。形見としてもらうつもりでもあったこの指輪、姉もそれを狙っていた。それを無くしたと聞いた家族はそれはもう、大激怒。まる子、危機一髪。

後年、宝石をまるで雑貨アクセサリーのように買いまくる事になるなんてこの時は誰も知らないし想像もしなかっただろう。


今回紹介しなかった話も全部面白いものしか無い。
あのころまる子だったももこの話。

秋の夜長、読書の秋に是非手に取ってみてはどうだろうか。
損は無い。


ありがとうございました。
・・スタンプも良かったら見てって下さい。新作が出来ました。
          

「映えたい猫は今日もホントは寂しがり」


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