見出し画像

J信用金庫 v.s. MBA交流クラブ vol. 2

前回のつづきです。
vol. 1はこちら https://note.com/male_childcare/n/n35172c04489f

1月6日、平良の元にメール連絡が入った。駐日モンゴル国大使館の一等書記官からである。
「『MBA杯2022』をモンゴル・日本外交関係樹立50周年記念行事として認定します。」
メールには正式な50周年記念行事のロゴ画像が添付されていた。
これで、一つの山を越えられた、と安堵した。無名の団体が勝手にやっているイベントとモンゴル大使館のお墨付きのイベントとでは雲泥の差がある。この認定はとてもありがたい。すぐに関係各位に連絡を入れ、ポスターなど広告の差し替えを行う。
それにしても、と平良は思った。モンゴル大使館というところは一体どうなっているのだろうか。
何通メールを出しても全く返信がなく、電話をしてもいつも不在なのだ。本当に担当者はいるのだろうかと疑問を抱き、諦めかけていたところでの朗報であった。
「まったく…、ようやく連絡が来たか。」と、平良は胸をなで下ろした。

ビジネスプランコンテスト MBA杯 2022 決勝戦


1月13日、MJBCA(モンゴル日本ビジネス交流促進会)という在モンゴルの団体からの協賛が正式に決まった。MJBCA会長であるホソー氏の厚意によるものである。
今回のイベントは第一回目ということもあり、運営費を集めることができるのだろうかという大きな不安を胸に抱えていた平良にとって、この支援はとても有難いものであった。
お金に色はないというが、お金に温度はあるのかもしれない。平良にとってこの協賛金15万円はとても温かいお金であった。
モンゴルから国際送金することになり、口座のあるJ信金のSWIFTコードを伝えた。SWIFTコードというのは、世界中の銀行や金融機関を識別するためのいわばIDのようなものである。


1月17日、スマートフォンに知らない番号から着信が入る。知らない番号からの着信は、普段だったら無視しているが、イベント関係者からの問い合わせかもしれないと考え、通話ボタンを押す。
「J信用金庫の藤岡と申します。MBA交流クラブ代表の平良さんの番号で間違いありませんか?」
「はい、わたしが平良です。」

MBA交流クラブは法人として登記していないため、法人口座は開設することができない。しかし、このような任意団体でも開設できる口座がある。それが、団体代表口座である。この場合、代表者が名義人となる。J信金に開設していたのは、この団体代表口座である。
「実は、先日モンゴルから海外送金が平良さんの口座宛にありました。こちらについて、心当たりはありますか?」
「はい、我々の団体のイベントへの協賛金の振り込みだと思います。」
「そうですか。」藤岡は申し訳なさそうに続ける。「最近は海外送金に関する取り締まりが強化されており、送金内容の確認が必要になります。現状、海外からの送金は弊社に着金しているのですが、平良様の口座への入金はストップさせていただいております。」
「わかりました。確認には何が必要なのですか?」
「このお金は協賛金ということですね。請求書などはございますか?出所と目的が分かる請求書があれば、確認が取れると思います。」
「請求書はあります。こちらをお渡しすれば良いですね。メールで送るかたちで良いですか?」
「私が取りに伺います。」と藤岡は言う。
書類一枚のためにわざわざ、と平良は首を傾げる。
「家まで来ますか?わざわざ来ていただかなくても、この請求書の原本は電子媒体なので、メールでも全く同じ物をお送りできますが…。」
「弊社ではメールの使用が禁止されています。」

通常ビジネスでは、メールを使用することでやり取りを明文化して残すことができる。逆に残したくない内容であれば、電話や直接の面談を行う。メールをあえて使用禁止にしているということに多少の不信感をおぼえ、嫌な予感が一瞬よぎるが、ウィルスの侵入などによる顧客情報流出リスクなどを懸念しているのだろうと考え直す。
訪問日時を決め、通話を終えた。

1月19日、J信金の藤岡が平良の自宅マンションのインターフォンを鳴らした。

つづく

※本事件は本人訴訟で裁判中です。応援していただける方は、記事のシェアもしくは”♡”をクリックして下さい。

(参考資料)

※実際の人物・団体などとは関係ありません。

【本件に関する報道関係者からのお問合せ先】
メールアドレス:mba2022.office@gmail.com


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?