Mamiya RB67のすべて | 細かい使い方からパーツまで解説
本記事は中盤フィルムカメラであるMamiya RB67(以下RB67)ユーザーの筆者が、昨今あまり情報の無いRB67についてまとめたものです。これからRB67の購入を検討している方のカメラ選びの一助となること、またすでに所有している方へ少しでも「へぇ」となってもらえれば幸いです。
尚、本記事は筆者がWikipediaを中心にあらゆるネットの情報をまとめたものなので、間違いなどがあればご指摘ください。
本記事を書こうと思った理由
フィルムカメラを現代に購入した時、おそらく殆どの方がぶち当たる壁が「使い方」でしょう。ましてやフィルム自体扱ったことがない”デジカメ世代”の筆者にとっては、「フィルムカメラの常識」すらなかったのです。
フィルム装填の仕方からRB67特有の操作方法、そして当時のカメラの常識まであらゆるネット情報を漁りました。
その時に思ったのが、「情報が断片的すぎる」ということ。もう少し体系的に書いている記事があればどんなに助かったことか。
ということで、筆者が得たRB67の知識(ひいてはデジカメ世代にとってのフィルムカメラの”はてな”)を本記事としてまとめようと思いました。
Mamiya RB67とは?
Mamiya RB67は1970年〜1990年の間に発売されたプロ向け中盤フィルムカメラです。モデルとして、
RB67 Pro
RB67 Pro-S
RB67 Pro-SD
の3機種があります。筆者が所有しているのはRB67 Pro-Sです。
こういった概要は他のところでも簡単に見つかる情報なので、特にこの記事には求められていないかなと思います。
RB67のフィルムサイズ
120フィルムのフィルムバックを買いましょう
当然のことながら、RB67は「ブローニーフィルム」と呼ばれる中盤フィルムを使用します。
そもそも中盤フィルムは35mmフィルムと違っていくつか種類があります。まず大きく「120フィルム」と「220フィルム」というのがあります。現代では「220フィルム」はほぼ手に入らないみたいなので、「昔はそんなのがあったんだなぁ」程度で大丈夫だと思います。
大切なのは、間違って220フィルムのフィルムバックを買わないこと。これだけです。
さて、中盤フィルムには120フィルムと220フィルムなるものがあると言いましたが、中盤フィルムには「645サイズ」「6x7サイズ」「6x8サイズ」「6x9」サイズというサイズ展開があります。RB67はその名の通り6x7サイズなのですが、645サイズや6x8サイズのフィルムバックも存在しているようです。
ブローニーのサイズについては本記事の趣旨とは脱線するので割愛します。
ポラロイドバックについて
ヤフオクなどでポラロイドのフィルムバックが売っていますが、あればピールアパート式のフィルムが必要で、現在では製造しているところが無いようです。多少割高でも、撮ってすぐ確認できたら楽しそうなのに、残念です。
レンズについて
使えるレンズ
カメラを購入すると必ずと言って良いほど悩むのがレンズ。幸いにもMamiyaのカメラは機種間のレンズ互換がほぼ無いので、悩むことがありません。(いいのか悪いのか…)
RB67で使えるレンズは、
セコールシリーズ
セコールNBシリーズ
セコールCシリーズ
マミヤKL/Lシリーズ
です。
詳しくはこちらのWikipediaに書いているので読んでみてください。
概ねどのシリーズにも65mm〜350mmくらいまでがラインナップされています。レンズの焦点距離ですが、デジカメ世代には35mm換算した方がわかりやすいと思っています。焦点距離の換算にはこちらのサイトがおすすめですので、ぜひ使ってみてください。
かなり偏見が入っておりますが、殆どの方が35ミリ換算で24mm〜70mmくらいまでのレンズを求めているのでは無いかなと思うので、
65mm
90mm
127mm
180mm
のレンズが候補になってくるでしょう。セコールレンズはセコールC以降マルチコート化されているので、セコールCもしくはマミヤKL/Lで選ぶのが筆者的おすすめです。
注意点
マミヤLはPro-SD専用になるみたいなので注意しましょう。
また、M645シリーズのレンズである Sekor C 645マウントのレンズはRB67には付かないので注意しましょう。
見分け方は、M645マウントはカニ爪レンズのような見た目です。
RB67の使い方
基本的な操作
まずは基本的な操作から。
<フィルム装填>
こちらはYoutubeなどで解説しておられる方が多いので、この記事では割愛致します。動画の方が分かりやすいですし。
<フィルムバックの取り付け>
フィルムバックを取り外すレバーが上下についています。これを左へスライドさせるとフィルムバックを取り外すことができます。
取り付ける時は逆の手順で、フィルムバックをはめてからレバーを右へスライドしてロックします。
1点注意が必要なのが、フィルムバックを付けずにレバーを右へ動かすとそのままでは左に戻らなくなります。どう言うことかというと、フィルムバックを外した状態でレバーを動かすと、フィルムバックをつけようとした時にレバーが戻らなくて付けられないという状態です。
そういう時は下記写真にある小さなボタン(?)のようなものを押しながらレバーを元の位置へ戻してください。
<レンズのつけ外し>
レンズの一番手前(フィルム側)のリングがつけ外しのリングです。
リングの赤い点とレンズの矢印が合っている状態でボディへ取り付け、リングを向かって時計回りに回します。(フィルム側から見ると反時計回り)
シャッターチャージされていないとつけ外しができないので、ご注意ください。
レンズが外れないなと思ったら、シャッターチャージレバーを確認しましょう。
<撮影手順>
フィルムバックのレバーを操作してフィルムを巻き上げます。
ボディ右側のレバーを下げてシャッターをチャージします。
ボディの左右に付いているノブを回してフォーカスを合わせます。
構図とフォーカスが決まったら遮光板を抜きます。抜いた遮光板はボディの左側に挿さるようになっています。
構図とフォーカスを最終確認して、ボディ右下のシャッターボタンを押します。
1と2の操作を繰り返して、次の撮影に備えます。
フィルムバックの操作 -基本
カウンター窓に出ている数字が今撮っているフィルムの枚数です(”5”と表示されていたら、すでに5枚撮っていて、5枚目が未露光の状態)。
数字の右側に赤いバーが出ていたら、それは露光済みの表示です。フィルムレバーを回してフィルムの巻き上げを行います。
フィルムバックの操作 -多重露光
Pro-S以降の機種には、多重露光防止機能がついています。フィルム巻き上げレバーの根元に付いているレバーを動かすと、赤丸が登場します。
赤丸が出ている間は、フィルム巻き上げ操作を行わなくても「シャッターチャージ→シャッターボタン」を繰り返すことができます。(※遮光板を外さないとシャッターは切れません)
レンズ周りの操作
筆者が所有してるセコールC180mmを例に説明します。レンズには
シャッタースピードリング
絞りリング
絞り込みレバー
ミラーアップ撮影ダイヤル
被写界深度スケールと距離メモリ
フラッシュ同期レバー
がついています。
シャッター関係
シャッタースピードリングと絞りリングは特別説明は不要かと思いますが、バルブ撮影について説明します。
シャッターを「T」にするとバルブ撮影が可能になります。バルブ撮影をする際は必ずレリーズケーブルを使うと思うので、先にそちらから説明します。
ミラーアップのダイヤルを引き出しながら「M」の方向へ回転させます。マミヤ純正で「ダブルレリーズケーブル」があるので、黒い方をレンズ側へ、シルバーの方をシャッターボタン側へ差し込みます。
通常通りシャッターチャージをしてレリーズケーブルを押すとシャッターが切れます。
シャッタースピード1秒以上であればこれで終了ですが、Tの場合はシャッターが開いたままです。どうやらシャッタースピードがTの場合は、シャッタースピードダイヤルを「1」へ回すとシャッターが閉じる仕組みのようです。
トラベル三脚レベルでは手ブレ必至です。
絞り関係
特に説明することもないのですが、絞り込みレバーがついているので構図確認の時に使えます。レバーを回すことで絞り羽根が閉じます。
被写界深度スケールと距離メモリ
正直筆者はあまり使っていない機能なのですが、近接撮影をするときの露出補正や設定F値による被写界深度の確認が行えます。
ボディの右側を見ると、何やら謎の表があるのがわかります。また、フォーカスを手前に合わせていくと蛇腹が飛び出してくると同時に、謎のグラフのようなものが飛び出してきます。
これらを組み合わせることで、前述のような内容がわかるようになります。
焦点距離と露出補正
それでは一旦蛇腹を全部出して確認していきましょう。
まず、ボディ側についてるのが距離表(メートルやフィート表記になっています)です。そしてレンズ側に付いているのが、レンズの種類です(mm表記になっています)
例えば180mmレンズを使用する場合、上から3つ目に緑色で「180mm」と書かれているので、上から3つ目の曲線を見ていきます。
画像のような状態でピントが合ったとします。そのとき被写体との距離は2mということになります。なぜなら、レンズ側から伸びた曲線がボディ側のメモリ「2」と交わっているからです。そしてそのまま下に目をやると、「0.5」という数字が見えます。これは露出補正の値です。近接撮影時はレンズとフィルム面の距離が延びるため、光が弱くなり露出補正が必要です。この場合は、+0.5段露出補正してやれば適正露出になります。便利ですね。ちなみに、CDSファインダーを使っている場合はTTLなので露出補正は不要です。
被写界深度
焦点距離7mでピントが合っている状況とします。その時のF値は「16」とします。
レンズ側の距離スケーリングを確認すると、数字がいろいろと書いてあります。焦点距離7mでピントがあっているので、今回は距離スケーリングの「7」に注目します。被写界深度スケールの中央赤色のメモリに距離スケーリングの7を合わせます。
これで準備完了。値を読み取ります。被写界深度スケールは、中央の赤色を中心に左右にF値の数字が書いてあります。F16に設定した前提だったので、左右の16のラインを追っていくと、距離スケーリングの左は10、右は7と5の中間くらいなので6を指しています。これが示すものは、焦点距離7m / F16の場合、被写界深度はフィルム面から6m〜10mにあるという事です。個人的には、この機能は煩わしいので使っていません。
フラッシュ同期レバー
電子フラッシュを使う場合、レバーをレンズバレルに押し付けるようにして動かし、「X」の表示にします。
「M」の表記ですが、おそらく発光スピードが電子制御では無い昔の電球フラッシュを使う場合の設定かなと思います。調べてみましたが良く分かりませんでした。
RB67が合う人、合わない人
あまりネガティブなことを書くべきでは無いのかもしれませんが、やはり使う人を選ぶカメラであることは間違い無いです。
どう言う事かというと、その重さと大きさです。
至る所で言われていることですが、RB67は本当に重くて大きいです。もともとスタジオカメラとして作られているので、機動性なんて全く考えていないんでしょう。でも、現代のスタジオカメラ用にRB67を買う人は稀だと思います。
どちらかと言うと、中判フィルムで風景をおさめたいとか、ポートレートを撮りたいとかのニーズかと思います。
この記事のアイキャッチ画像にあるように、プリズムファインダーをつけて180mmのレンズをつけた場合、重量は3.2kgほどです。
プリズムファインダーだけで、APS-Cのデジカメ1台分くらいの重さはあります。
また、大きさはというとリグを装着したシネマカメラくらいはあるので、RB67は街撮りスナップをしたいとか、旅行に持って行ってあちこち撮りたいという用途には全く向きません。できないことはありませんが、とにかく目立つし疲れるでしょう。
しかし一方で、自然の風景をおさめたいとか、あまり人のいない田舎や路地で三脚を構えてしっかりと撮るような撮り方をする方にはとても合っていると思います。
ただし、持ち運びが重い事に変わりは無いのでその点は注意です。
さいごに
Mamiya RB67の使用方法などについてまとめました。個人的には、これだけ知っていれば撮影やパーツ選びに困ることは無いんじゃないかと思っています。またこれからRB67を購入しようと考えている方へのアドバイスですが、パーツでバラバラと揃えようとするのはあまりお勧めできません。
私自身、ファインダー、ボディ、レンズ、フィルムバックをそれぞれバラバラで買いました。結果、やや割高になったかなという点もあります(時間的にも経済的にも)。
もちろん状態の良いものを選ぶのがベストで、そのためにフィルムバックが付いていないものを買うなどは全然アリだと思います。
ただ、ボディとフィルムバックの間にあるアダプターのようなパーツだとか、チムニーファインダー付きで後からウェストレベルファインダーを探そうだとかは避けた方が良いです。
なぜなら、フィルムバックやレンズに比べて圧倒的に出回る数が少ないからです。
一番ベストは全部揃っている状態の良いものではありますが、レンズとフィルムバック以外は、単品ではほぼ出回らないと考えた方が良いです。
あとは、ボディはPro-sなのに、フィルムバックはProのものがついているというのは中古あるあるです。前述した通り多重露光防止システムが付いていないので、買ってから「あっ」ってならないように気をつけましょう。
(互換性はあるようです。)
以上、Mamiya RB67のすべてでした。