【本要約】著:晋平太「フリースタイル・ラップの教科書
フリースタイルラップとは、即興ラップのこと。
台本なし、一発勝負で、その場に流れたビートに合わせてアドリブで韻を踏みながらラップする超かっこいいパフォーマンス。
本書では数々のMCバトルで優勝してきた晋平太(しんぺいた)先生が、
フリースタイルラップを始めたい初心者に向けて対話形式で指南してくれる内容となっている。
私のりともも、この本を読んでフリースタイルラップができるようになった一人。
初心者に非常にわかりやすい内容になっているので、ぜひ購入して何度も読み込んで欲しい。
本書の構成は下記の通りである。
初級編 ひとりでできるフリースタイルの練習
step1 自己紹介をラップでしてみよう
step2 目の前の人をディスってみよう
step3 セルフボースト(自己讃美・自己顕示)をしよう
step4 韻を踏む練習をしよう
step5 クールなフロウの練習をしよう
step6 目に入るものでひたすらストーリーを作ろう
step7 パフォーマンスの練習をしよう
MCバトルの世界を覗いてみよう
中級編 バトルの練習
step1 アンサーの力を鍛えよう
step2 サイファーに行ってみよう
step3 バトルの練習をしよう
step4 バトル出場の準備をしよう
上級編 バトルで勝ち上がるためには
step1 バトル実践編
step2 弱点を克服しよう
本書は大まかに上記の3部構成になっている。
また巻中には「晋平太×R-指定」の特別対談もある。
ラップにおける基本的な技術面を羅列するだけではなく、
初心者の疑問に、Q&A方式で回答する形になっているのでわかりやすい。
経験値0の人がフリースタイルラップできるようになるまでの5ステップ
1、まずは韻とかは気にせず、音に乗せて喋ってみる。
音はYouTubeで「フリースタイル ビート」などで検索して気に入ったものを使えばOK。
有名なラップを思い出して真似から入るのもあり。
2、自己紹介ラップを考えてみる。
自分のプロフィールを書き出し、それを元に4小節のフレーズを作る。
ラップっぽくするコツとして、脚韻(きゃくいん)というテクニックがある。
一小節目の最後の言葉を、二小節目の最後の言葉と母音を揃えるという技術だ。
例、
普段は書籍の編集者
だけど今日はラップの練習さ!
ここで注意するのは韻に縛られ過ぎないこと。
大切なのはストーリー。自分が何を言いたいのかという事である。
余裕ができたら頭韻などにも挑戦しよう。
3、MCネームを決める。
一生使っていくものなのでよく考えて決めること。
また、ネーミングのインパクトも大事。
自分のキャラクターとマッチしたものを選ぶ。
(リアリティのないものはNG)
4、目の前の人をディスってみよう
本書は最終的にMCバトルに出場することを想定している。
次の段階として人と一緒にラップしてみようという事だ。
ディスることが思いつかない場合、見た目イジりからスタートするのもよい。
また、バトルで勝利する為には相手をディスることも必要だが、セルフボースト(自己研鑽)も有効である。
リアリティを伴ったセルフボーストを自己紹介に組み込んでも良いかもしれない。
5、韻を踏む練習をしよう
最初は母音2つだけでもOK。強調して発音して上手に聴かせるラップにしよう。
フリースタイルに頻出する言葉として「まるで」=「like a」というものがある。脚韻の利用をしやすくする為に覚えておこう。
また、ラップにはストーリー性も重要である。意味のない韻ではダジャレになってしまう。
例を挙げると
昔は悪さをして親を泣かせたけど、今はちょっと成功して親孝行しようと言うストーリーが、たった2行で伝わってくる。
他にも頭韻や1文字の韻など、さまざまなテクニックが本書では解説されている。
また中吊り広告ラップや歴史の人物を使って韻を踏む練習方法なども解説されているのでぜひ詳細は本書を読んで学習してほしい。
特に印象に残ったQ&A
特に印象に残ったQ&Aについて述べたいと思う。
「頭の回転が早い人じゃないとできないんじゃないか、、?」
「コミュ力がある人じゃないとできないんじゃないか、、?」などと考えてしまうけど、一概にそうとも言えない。
昔と違って今は「引きこもりラッパー」とか、学校では居場所がないなんて奴も多い。
向き不向きはあると思うけど、自分の状況をラップをしてバトルを勝ち抜いていく奴もいる!
「常に正統派であること」という美学を持ってフリースタイルをするのが晋平太流。ディスをぶつける対戦相手にもリスペクトは欠かさない。何を言うかではなく、何を言わないかと言うのも表現者にとっては大切。
説明不要の名作。久々に見たくなりました。まだ見てない人はぜひ!!
ある程度一人で練習を重ねたらサイファーに行ってみましょう。
私は個人的に新橋サイファーに行ったことがあるのですが、
初心者でも比較的参加しやすい空気だったと思います。おすすめです。
お客さんは前の試合「どんな勝ち方をしたか」まで見ている。
つまりその日一日のドラマを見ている。
無理して作ってもボロが出るのでやめよう。ヒップホップ=不良文化みたいなイメージが定着しているかもしれないけど、実際はヤンキー気質のラッパーは減ってきている気がする。とのこと
感想
私の周りはロック人が多くて、ヒップホップを通っていない人が結構いる。
ぜひそうゆう人にも本書を読んでラップに興味を持ってもらって、一緒にサイファーして遊べたらいいなと思う。
ラップなんて本を読んで学ぶもんじゃねえ!!みたいな意見もあるかもしれないけど、
私みたいな文系タイプにはこのような教科書があることは非常にありがたかった。
久々に本書を読んだらまたフリースタイル欲が出てきたので、自己紹介ラップをTwitterにアップしてみたいと思う。
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