映画『きみの色』はなぜ眠くなるのかを考えてみた
僕はこれまでに『きみの色』を四回見た。
一回目の視聴時は、僅かな情報すらも見逃すまいと頭をフル回転させながら見た。見終わった後は涙が止まらず映画館でボロボロ泣いてしまった。
しかしネットの感想を見てみると、「きみの色で眠くなった」という感想も少なからず見られた。
僕は最初その言説には全く理解しかねた。
僕にとって山田尚子の映画とは戦いなのである。
1カット1カットに意味を込めてくる山田尚子の映画は、もはや視聴者と山田尚子の戦争だ。
一瞬の気も抜いてはならない。
しかしながら四回も見ると流石に肩ひじ張らずに見れるようになり、段々と「眠くなった」の意味が実感できるようになってきた。
この映画、もの凄く気持ちがいいのである。
牛尾憲輔の音楽気持ち良すぎだろ
『きみの色』は牛尾憲輔の音楽が心地よく、視聴者をリラックスさせてくるのである。
特にトツ子がきみのバイト先を探しているときのBGM『219,196,124』がとてもいい。
BGMは他にも良い曲が多いのでサントラはオススメだ。
そして映画自体の映像もまた落ち着いているため、映像と音楽の相乗効果により、視聴者をリラクセーションへといざなっていく。
『きみの色』はリラクゼーション・ムービーだった。
もはや眠るのが正しい見方なのではないか
この映画の音楽と映像は、そういう風に作られている。
視聴者の副交感神経を優位にさせ、精神を落ち着かせ、安心させてくる。
リラックスさせてくる音楽に映像、そして真っ暗な映画館内にフカフカのソファー。もう夢見心地にならざるをえない。
イビキをかいたりして周りの人達の迷惑にならない範囲でクリエイターに敬意を持って眠るのが、この映画の正しい見方ではないかとすら思えてきた。
でも初見でそれをするのはもったいないから、二回目以降にした方がいいかもね。