北条早雲のストーリー「黎明に起つ」
YouTubeで歴史解説をしている著者・伊東潤氏の語り口が好きでその魅力に引かれ、久しぶりに手にした歴史小説が「黎明に起つ」。遅ればせながら、初めて、氏の著作を読みました。
かの北条早雲の生涯を描いた小説です。
高校生、大学の頃は、お定まりの司馬遼太郎から始まり、あらゆる歴史小説を読み漁りましたが、しばらく遠ざかっていました。
久しぶりの歴史小説です。
伊勢宗瑞(北条早雲)の一代記
応仁の乱は、京都から始まって地方まで拡大していき、日本中に下克上の時代が訪れた時、伊勢宗瑞は関東を制圧し、戦国大名の先駆けになります。
有名な武将はたくさんいますが、高校生の多感で反発心が強い時代に読んだ、司馬遼太郎の「箱根の坂」以来、好きな武将にまず名を上げるのが彼です。
テンポよく、彼の人生の要所だけが書かれているため、若干人名が多かったり、室町末期の混沌とした政治状態など、難しく読みにくい点はありますが、一気に読み進めます。
題名の大事さ
この本の「黎明に起つ」にしても、司馬遼太郎の「箱根の坂」にしても、実に題名のつけ方が上手いと思います。
思わず本を手に取りたくなるし、読み進んでいくうちに、著者がなぜこの題名をつけたのかが納得できます。
一言でコンセプトを表す言葉が物語全体に深みを与えていて、あらためて言葉選びの大切さを痛感しています。
周辺のストーリーを読み進めたい
伊東氏には、江戸城で有名な太田道灌の死から、宗瑞が相模を平定するまでを描いた短編集である「疾き雲のごとく」と、この「黎明に起つ」でも登場する長尾景春を主人公においた「叛鬼」もあります。
また、北条早雲を描いた傑作、富樫倫太郎氏の「北条早雲 青雲飛翔篇」もあります。
数十年ぶりに「箱根の坂」も読んで内容を確認したくなっているので、それぞれ読み比べていたいと思います。