見出し画像

安ギターと高ギター。

ここはとある一室、二人の男女が炬燵を囲んで音楽話に花を咲かせている。
傍にハチワレの猫が一匹、くるっと渦を巻き寝ているようだ。
女が言った。
「やっぱり高いギターって良い音がするの?」
男が返す。
【このギター高いから、いい音出ないと嫌だなって音が聴こえるよ。】
「どゆこと?」
【ギターの値段は、使われてる木やパーツの値段と、作ってる人の給料や、かかる時間によって変わってくるよ。】
「現実的な話だね、じゃあ、高いからって良い音ではないの?」
【んー、好みの問題もあるし、ブランド価値だって付いてくるのもあるから、一概には言えないね。】
「そっか、ブランド価値もあるんだね。」
【後はビンテージとハイエンドだと、音の方向性が違うから、曲を作ってどっちのギターの音が合うかとか…。】
「ハイエンド?」
【高性能とか高級って意味。】
「高性能なギターって事?高級なギター??」
【高性能なギターっていうのは、ハイファイな音が出るとか、ノイズが少ないとか、ハウらないとか、ピッチが狂わないとか色々あるよね。】
【尚且つ、高級な木を贅沢に使ってたり、派手な装飾が付けられてたり、装飾は音には関係ないけど、それでお値段が高い。】
「そうなんだ!ハイファイって?」
【ノイズが少ないって事だろうね、クリアな音が出る時に使う事が多いよ。】
【速弾きとか、クリスタルクリーンとかが好きなギタリストに好まれる傾向があるね。】
「ふーん、じゃあ、ローファイは?」
【よく知ってるね笑。】
「むっふー。」
【ローファイは逆だから、ノイズ多めで濁った感じの音かな。】
【ビンテージは大体ローファイだと思う。】
「じゃあ、ハイエンドの方が音が良いの?」
【そうだね、言葉の意味だけで捉えると、ハイファイは高音質って意味でローファイは低音質って意味だからハイファイな音が出るハイエンドの方が音がいいってなるんだけど、楽器ってローファイな音でも、逆にそれがクールな音って言われたりするんだ。】
【だから、ビンテージの音はクールで、ビンテージ楽器が好きな人はいっぱいいて、昔から比べるとハイエンドより高い楽器は沢山あるよ。】
「なんかよくわからなくなってきたよ。」
【ビンテージ処理とかもあって、エージングするのかな?新しい楽器を最初からビンテージみたいな音が出るように加工しましたってのもある。】
「エージングってヘッドホンとかでするやつ?」
【そうそう、詳しくはどうやってるのかは知らないんだけど、YouTubeでその話をしてた人はビンテージの音ではないって言ってた。】
「じゃあ、ビンテージの音を出したいなら、ビンテージを買うしかないんだね。」
【そうなるね。】
【ビンテージとハイエンドは比べるものではないね。】
「目的で選ぶって感じなのかな?」
【そうだね、じゃあ現行品だと安いのと高いのとじゃ、高い方が良い音がするのか?】
「うん、するのか?」
【これまた難解な問題だよね。】
【安いギターでも、ちゃんとギターの音は出るからね。】
「ふむふむ。」
【倍音とかの出方の違いなんだろうけど、倍音が沢山出てた方が大多数の人は良い音って認識するのかって事だね。】
「倍音が少ない方が音が悪い?」
【うん、わかんない笑。】
「わかんないかー笑。」
【でも、高いギターはいいピックアップが付いてるから、安いギターよりは…いや、違うな。】
【ピックアップによって低域が出たり、中域が出たり、高域が出たりと違うから…。】
【んー、鳴りとかはアコギとかクラシックギターとかだと関係するのかな?】
【エレキだとやっぱりピックアップが重要なんだと思う。】
【ピックアップは出てる振動を拾うだけだから、高いギターは倍音が強いって事なのかな。】
「倍音は値段で出方が変わるのかな?」
【倍音の出方を狙って作れるのだろうかって疑問がでてくるよね。】
「そうだね、でも、作れるのかもよ?」
【そうだよね、木材だって楽器作るならこれが良いって選ばれて来たわけだし、ある程度は狙って作れるのかもね。】
【ただ、出てる倍音の美味しい所を余す所なく拾えるピックアップは無いと成立しないよね。】
「そっか、ピックアップは重要だね。」
【倍音が強くても、拾えなきゃ無駄になっちゃうわけだからね。】
【でも、全部拾っちゃうと散漫な音になりそうだね。】
「なるほどー。」
【逆に考えると、倍音が少ないか出てないと拾いようが無い。】
「そう考えると、良い音って感じる人が減るね。」
【それを踏まえると、木材は選び抜かなきゃいけなくなると思うし、量産が難しいかも。】
「量産できないと価格は上がる。」
【結論、倍音が強くて美味しいとこを拾った音が出るギターは高く値段が付けられる。】
「良い音ってなんだろうね〜。」
『にゃ〜。』

いいなと思ったら応援しよう!