ライター業で出会ったよく居るありえない客その①:〇〇を誤魔化す客の話
ライター業の基礎について教えてくれる人は居ない
私が兼業ライターになったのは2015年のことだ。
何度か話しているように私は外資系のIT企業に勤めており、ライター業はあくまでも副業でしかも大して稼げるものではない。この仕事だけで食える人は一体どんな人がどんなマジックを使っているか知りたいものだ。
また、そもそものきっかけは無料ブログであるスポーツナビブログで「幕下相撲の知られざる世界」というニッチにも程があるコンセプトで書き散らかしていた時に妙な形で人気が出て、静岡新聞から依頼をいただく形でライターとして第一号の仕事をいただく運びとなった。
つまり、私にライター業の何たるかを教えてくれる人はだれ一人いなかったのである。
私は請求書の書き方も、クライアントとの記事の詰め方も、こちらからの記事の提案方法も、個人事業主届の出し方も、青色申告の仕方も、あらゆることを自分で行っているばかりか、一人で覚えたという経緯がある。
だから、様々なトラブルにも見舞われたし、よいクライアントが居れば悪いクライアントも数多く会ってきた。
ということで、私のライターとしての経験の中から悪い顧客や悪い状況をいかに避ければ良いか、そしてどのようなケースに遭遇することになるのかを少しずつ紹介しようと思う。
これからライターになる方、最近ライターになった方は是非ご覧いただきたいし、ライターとは関係なくてもこんなクソ客が世の中にはいるということを半笑いで聞いてほしい。
クソ客その①:金を払うことを誤魔化してくる
もし特にツテもなく、どこかの会社に所属しながらというわけではなくSNSや個人メールに飛び込みで依頼が来ることもあると思う。
私の場合はこのパターンだったのだが、初期の頃はいきなり連絡が来ていた。記事を書いてほしい、ちょっと最近の相撲事情についてインタビューがしたい、テレビ番組を作るのでちょっと相談させてほしい。
こんなことを言われると、かなり嬉しい。
いや、当時はもう話が来るたびに舞い上がっていた。
自分もこうしてお声掛けいただける立場になったのだと思うと、この縁を大事にしたいと考えることになる。そして、どうにかこの提案について上手く形に結び付けたいと強く思う。
恐らく、相手にはその意図が伝わるのだろう。
こんな時は、注意が必要だ。
ただ、形にしようと考えていると仕事の話が先行しがちで、ペースは常に向こうが持つことになる。仕事の提案の形が見えてきて、記事を書いたりインタビューを受けたりと具体的に話が進行する。
仕事が形になってくると、今度はこの仕事を完遂してどうにか世の中に提示したいと考えることになる。いい仕事をしよう。そして、これを何とかして終わらせよう。
こちらの頑張りの甲斐あって、遂に記事がアップされる。
メディア出演が実現する。
成果物を見ると感激もひとしおだ。
自分にこんなことが出来たのだ。
そりゃあこうなってくるとSNSを駆使して自分の仕事を皆様にお伝えすることになる。これはもう自己顕示欲がどうとかのレベルじゃない。誰がどう陰口を叩こうとも、世の中に自分の作品が提示される機会なのだから、そりゃあもう、仕方なく皆様に告知する。申し訳ないけどそりゃ誰だってそうするさ。
そして…
ここまで終わると、言い出しにくくなる。
ギャラのことを。
対策:最初にギャラの話をしておくこと
実はこのようなクライアントは少なからずいる。
私ももうこの仕事をするようになってから7年が経過したが、未だにこれをやってしまうことがある。
忘れていることもあれば、言い出しにくいこともある。最後の最後で金の話は本当にしづらいし「あれ?ノーギャラだって言ったよね?」みたいなことを相手に言わせたら次は無いことも想定される。
金の話を後々までしないと、どんどん相手のペースになってしまうのだ。
特に私のような非常に奥ゆかしい人間は金の話を出来るだけしたくはない。セコイ人間のように自分が思えて嫌になるし出来れば最初の段階で提示してほしい。
ただ、奥ゆかしさは相手に付け入るスキを与えてしまう。クソ客はそんな私の弱さをよく知っている。ずるがしこい奴はどこの業界にも居るのである。
だから、金の話は最初にすること。
これを徹底してほしい。
対策をみんなですれば、クソ客は淘汰される
冒頭にも述べたように、特に誰のつながりもなくライター業を始めると、ノウハウを教えてくれる人は周りに居ないので様々なトラブルに巻き込まれることだろう。
トラブルというレベルでなくても、こちらの経験不足に付け込まれていいように使われることもある。何度も悔しい思いをしたし、SNSで告発することも出来ない。
何故なら私は、ライターとしてはそれほど強い立場ではないからだ。弱い人間が大きく出てしまうと、トラブルメーカーのレッテルを業界内で貼られる可能性がある。
だからこそ大事なのは、極力いいように使われないように、悔しい思いを未然に防ぐために知恵を付けてほしいのだ。
経験で身に着けるのではなく知識として持っておけば、クソ客という存在は淘汰されることになる。それが、この業界のためでもある。
私がクソ客について話していこうと考えているのは単に恨みを晴らしたいからではない。あ、いや、やっぱムカついてるからって部分もあり…ます。はい。業界のためというのと、ちょっと(で済むのか分からないが)の私怨が彼らの行いを告発する動機なので、これからもお付き合いいただければと思う。