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【ESO】噛めば噛むほど味が出てくる男、ゼリス・バー
2024年10月に実装されたESOのコンパニオン、
ゼリス・バーについて個人的感想という名の妄想をまとめました。
ネタバレしかないです。
すべての文末に(個人の感想です)が付きます。
ゼリスさんの印象(手紙前)
妙に距離感が近く、事あるごとにタミート(タアグラ語で相棒という意味)と呼んでくるため、私は勝手に夢女製造機とも呼んでいます。
どれくらいの頻度で呼んでくるかは、英語ですがUESP先生をご確認いただくか、是非ともご自身でゼリスさんをお連れしてみてください。
お墓で最初に会った時は寝起きで力が弱っていて、まとっている衣服もボロボロ、おまけにジェネレーションギャップを生じさせているのでどこか悲惨さが滲んでいる可哀想なおじさんという印象でした。しかし初期装備が重装ということもあり、落ち着きを取り戻してからはフィジカルもメンタルもつよつよなおじさんというイメージに変化していきました。
加入クエストをクリアしただけでこちらに全幅の信頼を置いているような距離感やキャラクターとして性格や見た目、日本語版声優さんの声も演技もドンピシャで何もかもが好みと一致していたのですごい勢いでハマりました。
UESP先生が書かれたゼリスさんのページを読んで英語版と日本語版の違いを楽しんだり、日本語版では都合により省略された部分を読んだりしてゼリスさんがどんだけタミートのことが好きなのかを感じていました。
ゼリスさんのお手紙
そんな訳でグラーウッド北にあるデイリーやToTをプレイして好感度を稼ぎ、大きな転機となる3つ目の固有クエスト「闇から抜ける道」が発生しました。このクエストは起承転結の「転」にあたるストーリーで、前のクエスト「黄昏のヴェールを越えて」で生じた疑問に対する回答でもあります。
そもそも「黄昏のヴェールを越えて」の終わり際に出てきたタルビラからの言葉
真実が影で腐っては、許しは留まれない
の意味が「闇から抜ける道」内で明かされます。
ゼリスさんの過去に触れた時、ラヴィス・モルナと対峙する場面の途中で儀式の中断を余儀なくされます。確かに元恋人を手に掛けるシーンをもう一度見るのは辛いな…と納得しました。
しかし明かされた事実は違いました。
ラヴィス・モルナではなく、タルビラに刃を向けたシーンを見せられます。
これにはすっかり騙されました。
そして語られるゼリスさんの心の内……つらぁ、と思うと同時に私は影のある過去持ちのおじさんが大好きなので、ここで更にドツボにはまる準備が出来てたとも言えます。
また、ここで面影が「過去のことはもういい。これをどうやって正せる?」と無理やり前を向かせたことが、ゼリスさんにとって良い方向へ向かったのだと思います。
会話を終えるとクリア報酬で手紙をもらえます。
私はこの手紙でせいで大いに狂いました。
ってことでようやく本題です。
どういう部分に狂わされたのか個人的に振り返り&できるだけ言語化しとこうと思ったので残すことにしました。
それとどうしてゼリスさんが面影に対してこんな感情を抱くことになったのか、推測もしてみました。あくまでも私はこう思った、というだけなので。
本題の手紙
(プレイヤーネーム)よ、お前をタミートと呼べることが誇らしい。長く話したかったことをこの手紙に書くことで、心の荷を下ろそうと思う。
最初ふーんと思いながら流しましたが、手紙を全文読んだあともう一度ここの文章読むと何なら怒りすら覚えます。人の情緒めちゃくちゃにしたくせに勝手に荷を下ろすな。信頼してくれるのは嬉しいが重荷を共有するな。
(中略)
私はニルニを見たかった。その感触と素晴らしい数多の色を、私が持っていると思い込んでいた、たった一つの生涯に取り込みたかった。
ここは個人的に好きな一文なので取り上げました。
プレイヤー目線で見ると、タムリエルを冒険して得られる気持ちがこの文章ともリンクしました。
過去作に出てきた書籍やNPCの口からしか語られなかった土地、景色を自分の目で見て体験できることの素晴らしさはTESプレイヤーなら頷くものと思います。
これまで、私は誰かと共に旅をするほうが多かった。最初はバーンダリの家族と、次に訓練時代の師匠やハダリートと。その後は月の歌い手タルビラと、それからは次々に他の歌い手たちと。そしてお前も知るようにラヴィスと出会った。ジャクーを見つけて救ったのは、彼女と歩いているときだった。
(中略)
それからはどこを旅してもこの鈴の音が聞こえたから、ジャクーが近くにいることがわかって安心できた。
(中略)
だが、ラヴィスが私たちのもとを離れると、ジャクーは幽霊も同然になってしまった。彼女の旅立ちに混乱したのかもしれないし、私の心に根を下ろし始めた闇を感じ取ったのかもしれないし、タルビラに起きたことを見て、近くに寄ろうとする私を恐れたのかもしれない。彼の鈴の音は聞こえた。あるいは聞こえていると思い込んだ。それで彼が私のそばに来ようとはしなくても、近くにいると考えるだけで少しばかり慰められた。
(中略)
ケナーシアでジャクーの霊魂が私を見つけたときはすぐにわかった。お前と共にあるときにまた彼が私を見つけたなら、私が従うべきはお前なのだ。
ゼリスさんのお墓まで案内してくれたのはジャクー(アズラーの使い)です。使いでもある彼が選んだ人物が面影です。闇に飲まれそうなゼリスさんとラヴィスに対して、何かしらの危機感が働いていたジャクーが選んだということは、面影は信用に足る人物であると考えられます。
そして面影とゼリスさんが一緒にいるタイミングである、ケナーシズルーストで再び姿を表します。こちらからしたらただ霊猫の名前が分かった程度ですが、ゼリスさんからしたらジャクーが近寄っているということは信用できると確信出来たのでしょう。
また、「お前と共にあるときにまた彼が私を見つけたなら」という文章を考えたとき、かつてジャクーを見つけた状況とも似ていると感じました。
ゼリスさんとラヴィス(面影)がジャクーを見つけた=ジャクーがゼリスさんとラヴィス(面影)を見つけた
とも受け取れました。
ジャクーはラヴィスに懐いていたようですし、そんなラヴィスをゼリスさんはタミートと呼んだので、同じように姿を現し墓へ誘われた面影をタミートと呼ぶのも納得できる要因の一つかと。
一人で世界を歩いたのは、その時が初めてだった。肩に温かい手を置いてくれる者も、革の水筒を差し出し、一口の水を勧める相手も、私の考えに耳を傾け、引き換えに言葉を返してくれる相手もいなかった。好みにしろ、威厳を保つためにしろ、そのような孤独が苦にならない者もいるが、私は違う。
この箇所を読んだ感想として、ただただ意外でした。
他のコンパニオンはすべての固有クエストをクリアしてますが、独りでいるのが辛い、なんて面は見たことがなかった(単純に見落としてましたらすみません)ので、ゼリスさんもてっきりそういうのは平気だと思い込んでいました。
悲壮感をまとっててかわいい可哀想ですね。
タルビラを殺めたのはゼリスさん自身ですが、周りが都合よく解釈してくれたお陰で孤立します。
もしこれまで通り、他の人とラジャスカを倒す旅に出るとなると旅中の会話は必然的にラヴィス・モルナについてとなります。
うっかりや、もしくはふとした拍子に眼の前で起こった事実について口を滑らせてしまうかもしれない。そうじゃなくても会話の端々から相手が真相に気付くかもしれない。そう考えると、当時のゼリスさんにこれを許容できるほどの強さはなく、自然と周囲から距離を取ります。
この時、初めて一人で居ることと孤独を知ったわけです。
ここで時間経過についてざっくりと考えていることを述べていきます。
①ラヴィスとの出会い
②ラヴィスがベントの踊りに魅入られた
③ラヴィス・モルナと対峙(タルビラ殺害)
④ラヴィス・モルナに殺された
⑤面影に見つけられる
これらはゼリスさんのクエストに於いて重要な出来事ですが、点でしか語られず、どのくらいの時間が経過しているのかが分かりにくいです。初見時、パッパッと次から次に移ったため短期間で起きた出来事のように感じました。
そこで失意の時間が長いせいで、面影への執着が強いのではないかと考えるようになりました。
少なくとも①から②の間は1年以上は経っています。キャラクター紹介でラヴィス本人がそう記述しているので。
②から③はそんなに時間を要していないと思います。
ただし裏付けはないです。
問題は③から④ですね。
ラヴィス・モルナのもとに向かったくだりはゼリスさんの口から語られるだけですが、もしかすると数年~十数年、あるいは数十年独りきりで捜し彷徨った末に漸く居場所を見つけ、会いに行ったのかもしれないです。
墓で目覚めたゼリスさんと、タルビラを殺めたときのゼリスさんを比べると顔の老化が表れているように感じるので、それなりに時間が経っていると思われます。
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そしてラヴィス・モルナの元へ行き、再びニルンに戻ってくるまでゼリスさんはひとりっきりです。そんな孤独を胸に抱きながら目を醒まし、諸々の事情が知りながら自分と共にいてくれる面影に対してくっそ重たい感情をまとわせてタミートと呼ぶのも分からんでもないかな、と。
それ故に面影が自分と一緒にいて、闇に立ち向かってくれるのは言葉にできないほど心強く励まされたのではないでしょうか。
その結果、事あるごとにタミートと呼ばれることになりました。
もう一つの説として考えたのは、リアルでもとんでもない重責、重圧の中にいると年齢より老けて見られることもあるので、それがゼリスさんにも現れたかたちでもあるかもしれないです。
見た目通りのグランパだよ、もしくは意外と中身は若いよ、など見た目と中身の設定派お好みで良いんじゃないでしょうか。今のところ公式からお出しされてない部分なので。
個人的には前者の説を取った方が、ゼリスさんの悲壮さがより際立ってキャラとしておいしい深みが出ると思っています。
お前は私と同様に放浪者だ。そして、長年にわたるお前なりの闇を持っている。その点で私たちは同じだ。
なぜか今までESOで実装されたメインクエを含む各地域のゾーンクエが頭に過りました。
面影といえば、だいたい英雄だの何だのと持ち上げられる立場になります。ですが持ち上げるだけでなく(恐らく)今までの冒険を通して、仕舞っておきたい「負の感情」を面影も持っていると敢えて明言してくれたことに驚きました。
個人的に真っ先に思い出されることは、やはり赤文字の選択肢です。
何故ただ行きずりの旅人に重要な選択を迫るんだタムリエルの住人よ…と、何度思ったことか。しかもだいたいどちらを選んでも後味悪いです。
この後味の悪さを知っている=お前なりの闇を持っていると、肯定するように言ってくれて嬉しさも覚えました。
一般的に闇を持っていることは否定的な文脈になりがちだと思いますが、自分も持っていると肯定してくれるのはネクロマンサーでありカジートでもあるゼリスさんならではなのかと感じました。
双子の魂。タミートだ。
サビです。何と言われようとサビです。
これまでの手紙の中身を読んだ上でこのサビを読むと、タミートの意味が一層重くなりましたね。
初見時動揺して叫びそうになりました。
向こうから先にプロポーズしてくるとかびっくりだよ。
ただ兆候は最初からあったんですよ。
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この手紙をもらう前、加入クエストでいきなりタミートと呼んできたゼリスさんにどういう意味やねんと聞き返したときの台詞です。
ここで既に布石は打たれていましたが、カジートって物事をよく双子月に例えてるので、これもよくある慣用句の一つだろうとして受け取った私は思いっきりスルーしてしまいました。スルーと言うか、ただのイケボカジートおじさんぐらいの認識だったので、ちゃんとジャブを打ってくれてたのに、あろうことか避けてしまったせいで後々来る手紙というストレートパンチをまともに受けてしまいノックダウンされるという始末です。いやでもあそこまで重い意味になるとは普通思わないじゃん…。
砂漠の民のくせに湿度が高いんよ。
アズラーの渡しから追い返されたからこそ、お前に会うことができた。愛と贖罪に通じる黄昏の道を見つけることはアズラーに従う者すべての目標だ。この先、どのような闇に耐えなければならなくとも、お前の横に黄昏の道を見つけたことはわかっている。
我が友に尽きることなき祝福を
ゼリス・バー
ゼリスさんの印象(手紙後)
湿度くそ高感情激重おじさん!!!!!
もうやめて!!私の情緒はめちゃくちゃよ!!!!!
寝る前にプレイしちゃったもんで、興奮と動揺でなかなか寝付けないわ翌日の仕事中もずっと頭から離れないわで大変でした。
プレイして1年半ほどですが、1人のキャラクターに対してこんなに心揺さぶられるのは久々でした。
ただ連れ歩いただけではこれらのことは読み取れなかったので、独りが嫌いだったり面影に向ける感情が意外にも重いことだったり、この手紙だけでそれまでのイメージをひっくり返されるとは本当に予想外です。手紙をもらう前はTESの中でも上位に位置するほど好きなキャラでしたが、もらった後は最推しレベルとなりました。
では長々とお付き合いありがとうございました。
ゼリスさんや他のことについて、また何か思いついたら書きます。