低反発マットレスを使用し続けていいの?|整形外科医山田朱織

「低反発マットレス、高弾性マットレスを使ってから症状が良くなったんですけれども使い続けていいですか?」という質問いただくことがあります。
整形外科医の私の立場では全部の層が、全層がウレタン系の素材はあまり使わないでくださいという風にお話をしています。
その理由は、寝てから睡眠時間、長ければ長いほど体がぐーんと沈み込んでいく可能性があるからです。
皆さんは低反発マットレス、高弾性マットレス、低反発とか高弾性と一口に言いますがどういう定義かご存知ですか?
低反発、正確には低反発弾性フォームと言いますが、弾性跳ねる力を抑えて粘りを上げたウレタンフォームのことを低反発ウレタンフォームと言います。
一般フォームに比較して粘性を15%以下にしたものを低反発と呼んでいます。
一方で高弾性フォームにはしっかりとした何%以上という定義がありません。寝具の業界では10%以上のものをそのように呼んでいることも多いようですがはっきりとした定義はないんです。
ですので粘りが出てくる素材を一晩中使ってしまうと、どうしても腰がグーンと重たいのに沈んでしまってなかなか轍にはまった車輪のように抜け出すことができなくなってしまうと考えています。
低反発弾性ウレタンフォームは使わないでいただきたいと考えています。
それに比べると高弾性のほうがまだ低反発よりは沈み込みが少ないので良いかと思いますが、なかなかウレタン素材ということになると
その方の体型体格によっては寝返りが打ちにくいことがあるので、購入する前に是非寝返りを打って確認していただくことが必要かと思います。
では実際に低反発マットレスに寝てみていただいて感想を聞いてみましょう。
お尻に重たい体の体重がグーンと乗ります。
山田:今どんな感じですか?
モデル:お尻が沈んでいます。
沈んでますね。決して低反発マットレスの上で座位、座った姿勢で本読むとかテレビを見るということは絶対にしないでください。
では寝てみましょう。寝た瞬間は気持ちいいなというふうに感じるかも知れません。
山田:徐々に時間が経っていくとどんな感じがしますか?
モデル:だんだん腰が腰が沈んでいく感じがします。
徐々に腰が沈み込む感じがしています。では寝返りをしてみましょう。
山田:寝返りをするときどんな感じが腰に感じられますか?
モデル:力が入って動きにくいですね。
山田:まるで粘っている沼の中にはまってる感じしませんか?
モデル:はい。
大変動きづらいとおっしゃっています。このように最も重い腰の部分がグーンと低反発マットに沈んでしまうと上向きから横向き、横向きから上向きという寝返りが打ちにくくなってしまいます。
時々、上向きだけで寝ても一晩中低反発マットレスなら眠れますよというコマーシャルなどを見かけることがありますが、これは人間の生理現象として良くないと私は考えています。
人間はそもそも動物、動くものですので一晩中上向きでじっとしているとか、横向きのままじっとしているというのはよくありません。
適度にそれも軽くスムーズに寝返りがうてるようにするには、このような腰の沈み込む低反発ウレタンは適切ではないと私は考えています。
ぜひ寝返りで試してみてください。

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