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海外でサラリーマンして気づいたこと 2: タスクの見積もりは引き算でも割り算でもなく足し算

  海外で海外資本の企業で働いて実感したこと、学んだこと、個人的悟りをシェアします。
これは主にヨーロッパの人たちと働いて感じたことで、マレーシア、中国、韓国などアジアは日本よりな印象を受けますし、業種によっても違うとは思います。

2: タスクの見積もりは引き算でも割り算でもなく足し算

日本のあらゆるサービスの質が世界最上級なのは有名だが、海外に行くとそれを身に染みて感じることができる。日本はたいていどのサービスを受けても仕事が丁寧で利用者に寄り添ってくれるし、そして対応が早い。
郵便物然り、役所の書類然り、日本では即日翌日、待って1週間くらいのものが、何故フランスだと数週間、数ヶ月という桁違いになるのか…
私は今まで漠然と「カルチャーや国民性の違い」と片付けていたのだが、具体的な思考の違いは納得した答えを持っていなかった。

だがフランス人限らずオランダ人イタリア人などと働いて気づいたことがある。
彼らはタスクの見積もりを足し算で行う。
けれども私は引き算と割り算の癖があったのだ。

引き算と割り算の見積もり

誰かに何かを頼まれたり、タスクを与えられた時、私はまずはじめに「いつまでを相手が希望しているか」を尋ねる。
2週間後と言われれば、2週間のうち他の作業に必要な時間を引き本作業に使える時間(業務時間)を把握する。
そして、本作業に必要な工数を見積もり、それを相手の要望日から割り算で1日あたりの工数を計算していた。
もちろん、どう考えても無理な時はそれを伝えるが、多少のオーバーワークや挑戦的なスケジュールになっても、「まぁ、頑張ればなんとかなるか、、、」と引き受けがちだった。
このように、自分より相手の都合を優先にタスクや仕事を引き受ける人も少なくはないのではないだろうか

足し算の見積もり

対して社内のオランダ人やフランス人たちは作業に必要な工数を見積もった後、それに自分が抱える他のタスクや用事を足し、そのままそれをもとに答える。ことが多いと見受けられる。

こちらが急いでいようが、お客の要望だろうが、あまり関係ない。(もちろん事の大きさにもよるが)
「毎日5時には上がるって決めてるし、来週は休みだし、だから再来週になるかな」というように、素直に余裕のある見積もりをしてくる傾向があると思う。

更に言えば、一度見積もった後、思いの外スムーズに進まなかったり、技術的問題に直面したり、他のタスクのせいで時間が充分に取れなかったりなどのアクシデントが発生した際、私はそれでも間に合わせるにはと期日からの引き算と割り算で結構なストレス下に敷かれることがあったのだが、ヨーロッパの人達は素直に期限を後ろ倒しにして、5時に上がるルーティーンは変えない、ということが割とある。

仕事の出来を左右する大半は期待値コントロールとタスクコントロール

こちらに来て評価が高い人(年の割に早くマネジャーに昇進している人)を見てよく思うのが、彼らは自分の仕事量とスケジュール・責任の所在を配分するのが上手いということ。
もちろんプレゼンや技術的なスキルが高いこともあるけれど、仕事が早いというより、仕事の受け方、期待値の調整(スケジュール)がしっかりしていて、たいして残業もせずに、さらっと働いて期待に応えているように見える。ピアノのレッスンで抜けたり、がっつりバカンスを取ったり、仕事の上りも早かったり、たくさん働いて成果を出すタイプではない。

そういわれると…。私は上司の立場を想像してみた。確かに、上司にとっての関心は、部下が周りの1.2倍の速さで仕事を終わらせることや、1.2倍の量をこなせることではないのかもしれない。任せた仕事を明確にこなし、スケジュールを遅れ含めて常にクリアにしてくれることのほうがマネージメントの際にはありがたいのかもしれない。

だとすれば、引き算と割り算で「自分がちょっと無理すれば間に合わせられる!きっとこのくらいまでに終わりますって言ってほしいはずだ!」なんて自分の首を絞めているだけで、約束の期日に間に合わなくなるリスクを上げるだけだ。なんてナンセンスなんだ!

仕事を受けるときは許される限り足し算で行こう。
もちろん、そんなことを言っておきながら、こっちで勤めて2年、まだまだ引き算割り算癖が抜けないのだけれど。

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