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2020ホープフルステークス観戦記~師に捧ぐ男泣き~
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今年も3戦3勝、あのコントレイルと同じローテーションで新たなスター候補が誕生した。
ダノンザキッドの快勝に終わったホープフルSを振り返って行きたい。無敗馬が3頭内に揃ったものの、好枠を引いた同じく無敗で重賞勝ちの実績が光るダノンザキッドが人気の中心となった。個人的にはアドマイヤザーゲが人気の盲点だろうと思いつつも、朝日杯を見てもやはり2歳戦の予想は難しく波乱含みの混戦ではないかと感じていた。
どの馬が逃げるのかも想定しづらかった中、押し出されるように2番人気のランドオブリバティがぎこちなくハナに立ちレースを先導した。タイトルホルダーがこれに続き、オーソクレースとダノンザキッドも好位にとりついた。スタートで隣のランドオブリバティに接触しつつやや安目を打ったヨ-ホーレイクは後方からのレースとなった中バニシングポイントが早めに進出し先頭はランドオブリバティとバニシングポイントの雁行状態で勝負所に入った。
レースの流れは前半が61秒9に対して後半が60秒9、それでも最後の200は12秒6かかっており、中盤からペースアップする瞬発力よりは持続力が問われる流れとなったと言えそうだ。ちなみに時計は例年に比べるとかなり遅いがこの開催は全体的に時計のかかる馬場であったことを考えるとタイムが遅いのでレベルが低いレースだったとは言えない。そしてこの持続力比べから真っ先に脱落したのがバニシングポイントでありこのことが大きくレースの明暗を分ける。内からオーソクレースが外からダノンザキッドが進出を開始する中、すぐ外のバニシングポイントが退き外側の壁が無くなっていたランドオブリバティが最終コーナーで大きく逸走、そのまま外ラチまで行き競争中止となってしまった。少なからずどの馬にも影響があったが、それでも直線は抜け出そうとするダノンザキッドにタイトルホルダーを挟んで内からオーソクレースが食い下がる展開、外からは捌いて伸びるヨーホーレイクとさらに外からシュヴァリエローズも追い込むが前までは届かない。結局一旦は差し返す脚を見せたオーソクレースにダノンザキッドが伸び勝ち1着で入線、ヨーホーレイクの追撃をしのぎ切ったオーソクレースが2着を確保した。
オーソクレース・・鞍上は最終コーナーでの不利を敗因に挙げていたが、そこまで大きく減速したようには見えなかった。ただそれも含めて勝馬とは枠の差が大きかった。母(マリアライト)譲りの成長力を生かせば来シーズンは主役候補。
ヨーホーレイク・・出負けを考えれば2着との差は限りなく小さい。初輸送でも馬体を減らさずタフなレース内容でも最後まで伸びている。一族悲願のビッグタイトルに手が届く存在。
タイトルホルダー・・先行策からしぶとく食い下がったが力負けの感は否めない。血統的にはこのぐらいの距離が良さそうだが、姉がメロディーレーンであることを考えれば距離延長に可能性を見出すかもしれない。
シュヴァリエローズ・・無難な立ち回りで力は出し切った。ヨーホーレイクもそうだがディープ産駒でこの馬場に対応したのは心強い。今後も相手なりに走れそうだが前付けのほうが合っている(今回は距離も意識したか?)
勝ったダノンザキッドには最後に触れるとしてランドオブリバティに関しても述べておきたい。鞍上と喧嘩しながらハナに立ったシーンも、1コーナーの入り方も、(同コースだった)前走の最終コーナーの膨れ方も、と不安な要素はいくらでもあった。それでもやはりあそこまでは予想できないし、今後のこの馬の扱い方もまた難しい。必ず矯正できるなどと軽口を叩くことはできない。ただ必ず課題を克服できるかは別として、私は今後もこのコンビを応援したいと思っている。私が競馬を楽しむことをコンセプトに文章を書いたり競馬を観ているため趣旨から外れたくないというのもあるが、そもそもその趣旨には、何があるかわからないから競馬は楽しいという精神が強くある。人馬の怪我を除けば、逸走も出遅れもドン詰まりも全部含めて競馬は面白い(なお腹は立つ模様)。どうしてもコーナーを曲がれないなら直線競馬で頑張ればいい。なんと言ってもまだ2歳、G1の最終コーナーをあの手ごたえで回って来た馬ならきっと大成すると思う。
三浦騎手にとっては年明けのもらい事故から最後がこれとタフな1年になった。またG1でのチャンスを生かすことが出来ず忸怩たる思いだろう。しかし冷静に考えて三浦騎手のここ2年は非常に充実している、昨年は(関東)リーディングにあと2勝まで迫った。そして今年の勝ち鞍は78、2か月の離脱期間があったことを考えれば10か月で約80勝、毎月約8勝を挙げたことになる。仮に離脱がなくその期間も同じペースで勝ち星を挙げたとすれば16勝プラスで94勝になり(2着数の差で)リーディングである。三浦騎手は間違いなく関東を代表するトップジョッキーであり、今後大仕事をやってのけるだろう。2014年の安田記念グランプリボスの単勝を手に喉を枯らして「皇成ーー!」と叫び続けた私もその日を待っている。
しかし、この文章はやはり勝者に敬意を表して川田騎手に関するもので閉じたいと思う。それは無観客競馬が始まってすぐのこと確か阪急杯での出来事であった。男はフィアーノロマーノの馬上で怒っていた。幸か不幸か観客がおらずよく響いたその怒号はネットを中心に随分と騒がれた。おそらく多く人が川田騎手に抱いているであろう怖そう、怒りっぽいという印象も輪をかけただろうか。確かに川田騎手は武骨な雰囲気があり、愛想よくニコニコしているイメージはあまりない。しかしゲヴァルトとのエピソードに胸を打たれた私は川田将雅という男が本当は心優しく情にモロいことをよく知っていた。
今回勝利インタビューで「先生に迷惑ばかりかけてきたので・・」と涙した川田騎手の姿が流れたことにより「本当は優しい川田将雅」が白日に晒されてしまった。嬉しいのだが少々寂しくもある。しかしまぁバレてしまったものは仕方がない。こうなった以上、ダービーも勝ってもらってまた感極まってもらえばいい。
ダノンザキッドと川田将雅と安田隆行、三位一体で無限の未来を駆け抜けろ。
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