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下戸と上戸

すごく久しぶりのnote投稿です。コロナ禍で大変な状況が続いていますが、そんなときでも川は流れるし、稲は育つし、蝉は鳴き、そして各地でものづくりに励む作家たちは作り続けています。

さて、昨年度お手伝いさせていただいた仕事が、日付け変わって明日7月15日、ようやく世の中に出ることになりました。昨年春、秋田市新屋ガラス工房さんからお声がけいただいて、ガラス工房のオリジナル商品を作り、販売することを目標に、工房スタッフ(ガラス作家)のみなさんに数回にわたって講義(講義というには、だいぶカジュアルだけど)をさせていただきました。講義というよりは、ガイド役くらいの方がぼく自身はしっくりくるけど。

試作を繰り返し、グループにわかれてプレゼンをしてもらったり、試行錯誤を繰り返し完成したのが、これらの酒器です。

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「GECO/JOGO」

ネーミングは、みんなのプレゼンから出てきた「GECO/JOGO」。そう、下戸と上戸。かつて新政酒造があったこの地に三年前に誕生した秋田市新屋ガラス工房。かつていくつもの酒蔵があった新屋という地域。そして秋田らしい素材の発掘などの観点から生まれた新しい工房のオリジナルプロダクト。

casane tsumugu WEBSITE でも紹介しています。

素材は、これらのストーリーとも関連性の高い日本酒の酒粕を用いた工房オリジナルの「あらやっしゅグレー」。単純なグレー色のクリアガラスとは異なる、新酒の時期の秋田の冬空を思わせるような深い独特のグレーがとても印象的で、どこか北欧的な気配も感じさせます。

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今回発売する酒器は全4種。全て杉箱入りです。
●GECO&JOGO セット(限定30セット)
 8,800円/セット(税込)
●GECO 厚底 ※単品(限定50個)
 4,400円/個(税込)
●JOGO 脚付 ※単品(限定50個)
 4,400円/個(税込)
※セットと単品のデザインは異なります。

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「秋田らしい酒器ってどういうものだろう?」「この『あらやっしゅグレー』という素材を活かした酒器ってどんなものだろう?」そんなことをスタッフのみんなと考えて、試作を繰り返し、ようやくみなさんにお披露目するところまで辿り着きました。秋田らしい、素敵な酒器が出来たと、関わった者の一人として自負しています。

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「GECO/JOGO(下戸と上戸)」という名の通り、4種類のうち、2つがGECO、もう2つがJOGOです。セットになっている方は同じシルエットだけど「GECO/JOGO」のセットで、同じように見えますが、入る容量が異なります。

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単品販売の「GECO/JOGO」も同様で。脚付の美しいフォルムのJOGOは、たくさん吞みたい方向け。

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丸みのあるフォルムのGECOは、少しの量しか注げないけれど、たくさん入っているように見える仕様になっています。

「たくさんは飲めないけれど…」「すぐ酔ってしまうんだけど、お酒やお酒の場が好き」という方も少なくないと思います。そんな人たちに向けた、下戸も上戸も一緒に、気兼ねなく酒を酌み交わして場を楽しんで欲しい。酒どころ秋田らしい、そんな願いを込めた酒器です。

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秋田市新屋ガラス工房の開館三周年にあたる2020年7月15日(水)から販売開始となります。工業製品ではなくひとつひとつ手作業で作られているため、ひとつとして同じものはありません。そして今年の限定品である印として、全ての商品に「2020」の文字と、ナンバリングが入ります。※「#001」は工房オリジナル素材の第一号である「あらやっしゅグレー」を意味しています。

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限定数量のため、おひとり様、1日2個(セットの場合は1セット)までの販売となります。また、予約販売やネット販売は行わず、先着順となるそうなので、工房に足を運んでいただく必要があります。お酒好きな方はもちろん、ガラスの器にご興味のある方に、オススメしたい商品です。詳細は以下、秋田市新屋ガラス工房のウェブサイトをご覧ください。

秋田市新屋ガラス工房

 https://www.araya-glass.akita.jp/pages/news/p614

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※スタッフのみんながつくったパンフ(全ての商品に同梱されます)

ここに至るまで、秋田美大教授でガラス作家の小牟禮尊人さん、様々な事務的調整にも汗を流してくださった小牟禮美穂さん、当時、リーダー的な役割を担ってくれた熊谷峻くん(今年工房を卒業して独立!)、たまにフラッと現れてはいつの間にかいなくる瀬沼健太郎さん(笑)、たくさんの方の力がありました。

そして、このプロジェクトに関わるきっかけを作ってくれた、昨夏、山形県鶴岡市に移住し「manoma」をオープンされたマツーラさんミスミさん。一昨年度、お二人が講師となり、このガラス工房のスタッフ(作り手)のみんなと育んだ芽を、ぼくが引き継がせていただいて出来た商品です。

マツーラさんは料理家として、ミスミさんはディスプレイデザイナー・スタイリストとして、それぞれ第一線で活躍されているその専門的な視点からの意見もうかがいたく、昨年、ガラス工房事務局のみなさんにお願いし、お二人に再び秋田に来ていただいて、短い時間でしたがご一緒出来たことも、とても良かったし、意義があったと思っています。

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スタッフのみんなは、ふだんは一人一人が作家として自身と向き合い、個として創作活動に励んでいるので、今回のようにグループで、他の人と一緒になって何かを考えたり作ったりすることはイレギュラーで大変だったと思うけれど、想像以上に充実した時間を過ごしてくれていたこと、素敵な商品をこうして世に出すところまで来れたことを、とても嬉しく思います。

自分はやっぱり、お互いを尊重しあいながら、誰かと一緒に作り上げることが好きなんだなと、みんなのおかげであらためて実感させてもらいました。

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先日、FacebookやInstagramでお知らせした、樺細工「八柳商店」のウェブサイトもそうですが、casane tsumuguは、文化や技術、人的資源も含めた意味での「地域」を持続可能なものにしていく力になりたいと願っています。そこには必ずデザインの力、デザイン的な思考が不可欠であると信じていますが、こちらで全てを請け負ってしまうのではなく、事業者や主体となるみなさんと、真の意味でフラットに、共同する、伴走することも大切にしています。

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ポスターやWEBやグラフィックだけがデザインではないこと、カタチあるものだけがデザインではないことに、理解と対価を得たいと思いながら、日々努力を続けています。もちろん、カタチあるモノも作っていますが…笑。

デザインは魔法ではないし、万能薬でもないから、求めた結果に辿り着かないこともあるけれど、肩を並べて一緒に走ることで、間違いなく次につながるものがあると信じています。

長くなってしまいましたが、この最高に素敵な限定酒器をぜひ買ってね!! という告知でした!!!

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