僕の右足
『僕の右手を知りませんか?
行方不明になりました
指名手配のモンタージュ
街中に配るよ』
THE BLUE HEARTS「僕の右手」より。
僕と同じ世代の人には、言わずと知れた名曲である。
しばらく思い出すこともなかったが。
ここ数日は、頭から離れない。
なぜなら、僕の右足が行方不明になったからだ。
五本指のくつ下。
そろえて洗濯に出したことは覚えている。
その時は、確かに両方あった。
それがなぜ、いつ、どこで?
右足だけが行方不明になってしまうのだろうか。
我が家は共働きだ。
だから日によって、家事の担当は交代する。
この日の洗濯は、幸か不幸か、僕ではなかった。
翌日、乾いた洗濯物を取り込んだ時、すでに僕の右足はなかったのである。
いや、驚くことではない。
我が家ではよくあることだ。
脱水後のくつ下が、洗濯槽の壁に張り付いて乾いていることがあった。
衣類をかごに引き上げる時、洗濯機の脇にポロッと落ちていることもしばしばである。
それならまだ、家の中だからいい。
バスタオルに絡んでいるのに気づかず、勢いよくベランダに広げたためであろう、虚しく家の前に落ちていることもあった。
これらは一度や二度ではない。
なぜ確認しないのだろうか、と
いつも不思議に思えてならない。
いや、決して不満を言いたいのではない。
もちろん、心から感謝している。
朝の30分は貴重である。
でも、僕の右足は、まだ見つからないのだ。
この夏に買ったばかりなのに…。
残された左足は、どうすればいい?
甲本ヒロトさんは歌う。
『見た事もないようなギターの弾き方で
聞いた事もないような歌い方をしたい
だから
僕の右手を知りませんか?』
やはり、THE BLUE HEARTSは偉大である。
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