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渋谷スクランブル交差点で考える

公認会計士の三浦真です。

私の事務所は渋谷マークシティというビルにあり、渋谷スクランブル交差点はすぐ近くにあります。馴染みの交差点です。

この交差点、お天気カメラが設置されていて、皆様、一度は見たことがあるのではと思います。

今や、外国からの観光客が、カメラやスマホを片手に、この交差点を写真や動画に収めている光景はおなじみかもしれません。観光ガイドやSNSでも紹介されるこの交差点。

世界中から「渋谷に行ったら、絶対に訪れるべきスポット」として注目されています。

僕も、オフィスに向かう途中や、昼食をとりに出かけるときに、カメラを構える観光客をよく目にします。

その姿を見ながら、「なぜ彼らはこれを見ているのだろう」と考えました。

本日は、外国人観光客がたくさんいる渋谷スクランブル交差点から、考えたいと思います。

見慣れた日常が「非日常」に変わる瞬間

ご存知ないかもしれないのですが、観光客の方たちは、「ファンタスティック!」と言いながら、スクランブル交差点を行き交う人々を見つめています。

一度に数百人もの人が四方八方から歩き出しても、誰も、ぶつからない。それが、彼らには"信じられない光景"に映るのだそうです。雑踏の中に調和があります。

でも、僕たち日本人にとって、交差点でぶつからないこと、これは「当たり前」です。

スクランブル交差点が赤信号から青信号に変わると、自然とみんなが歩き出し、目の前の人とタイミングを合わせ、流れるようにすれ違っていく。

ぶつからないことを「すごい!」と思ったことがある日本人は、あまり、いないでしょう。

ここが面白いポイントです。

「自分たちにとっては当たり前のものが、他人から見れば驚くべきものに変わる」のです。

タクシー運転手さんの一言

先日、渋谷に戻る際に、タクシーの運転手さんに、この渋谷スクランブル交差点の話をしたところ、面白い答えが返ってきました。

「見る人によって見え方が違うんだよね」

なるほど、まさにその通りです。

観光客にとっては、あのスクランブル交差点は“アートのような光景”であり、日本人にとっては“日常の風景”です。

同じ現象でも、立場や価値観が違えば見え方が異なります。

タクシーでのたわいもない会話ですが、「これはビジネスの現場にも通じる話だな」と感じました。

ビジネスの現場に生かせる「異なる視点」

この「見る人によって見え方が違う」という考え方は、企業経営にも非常に重要な示唆を与えてくれます。特に、経営戦略やマーケティングにおいては、社内と社外、あるいは経営者と社員の視点が異なることがあります。

例えば、「商品開発」。

社内では「これが最高の機能だ」「このデザインがベストだ」と思っているのに、いざ市場に出してみたら売れない。

逆も然りで、期待薄い商品が、案外売れることもあります。

このケースはどの企業にも起こり得ます。なぜか。「社内の視点」と「市場の視点」がズレていたからです。

消費者にとっての「価値」と、作り手が考える「価値」は異なることがあります。

渋谷スクランブル交差点も同様。私には普通の交差点ですが、外国人には、ファンタスティック。

観光客は“非日常”を感じて楽しんでいるのに、日本人は“日常”として捉えている。これは、企業のサービスに置き換えても同じことが言えるかもしれません。

日本人の組織に見える“交差点的、強さ”

さらに言えば、渋谷のスクランブル交差点には日本人の組織的な強みが象徴されているとも、言えるかもしれません。

信号が青になると、誰からの指示もなく、みんなが自然に動き出し、ぶつからずに、流れていく。

ぶつからずに歩くことに感動してくれる、外国人観光客から、気付かされる我々の強みです。

この「無意識の連携プレー」は、日本の組織的な行動の象徴ではないでしょうか。

日本の企業は、何か新しい仕事が始まるとき、全員が自分の役割を察知して、動き出す傾向があります。

確かに「指示待ちが多い」という批判も、ありますが、現場の人たちは“暗黙の了解”や“空気を読む力”によって、スムーズに仕事を進める能力も持っています。

コミュニケーションを良くして、個人プレーと全体調和を達成したいと思います。

経営者にとって必要な「外からの視点」

ここで、教訓をひとつ挙げたいと思います。それは、「自社のスクランブル交差点を見つけること」です。

どういうことかと言えば、「社内では当たり前すぎて誰も気づいていないけれど、外から見れば価値があるもの」を探すことです。

企業の「強み」とは、社内の人が気づかない日常の中に潜んでいることが多いのです。渋谷スクランブル交差点が観光地になるとは、日本人は予想していなかったでしょう。  

しかし、観光客の目には「他では見られない光景」として映ったわけです。

では、あなたの会社の「スクランブル交差点」は何でしょうか?

  • 日々の業務の中で「外から見ればすごい」と思えるものは何か?

  • 競合他社に真似できない「無意識の強み」は何か?

これを経営者として考えることが、新しい事業戦略を見つける第一歩になるのではないでしょうか。

異なる視点を持つことの大切さ

渋谷スクランブル交差点は、単なる交通の交差点にとどまりません。

「異なる視点が異なる価値を生む」という重要な教訓を私たちに与えてくれます。

  • 観光客の視点:アート、ファンタスティックな光景

  • 日本人の視点:日常的な風景、ただの交差点

  • 経営の視点:自社の強みに気づくためのヒント

経営者としても、自社の「日常の当たり前」を見つめ直すことが重要だと感じます。社内の常識は、外から見るとアートのように見えるかもしれません。

タクシー運転手さんの「見る人によって見え方が違うんだ」という言葉。

これを経営にも当てはめてみてください。あなたの会社の「スクランブル交差点」を見つけ出せたとき、それが新しいビジネスチャンスを生む可能性があります。

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