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短期バイトCMから感じる危機感

公認会計士の三浦真です。

最近、「タイミー」はじめ短期バイト、スキマバイトを紹介するCM、多くないでしょうか。

他にも、「メルカリハロ」「シェアフル」「LINEスキマニ」「デイワークス」といった、2、3年前には見かけなかった、新しいサービスが登場しています。

短期アサインを可能とするテクノロジーの進化が大きな要因だと考えます。

働き方の多様化が認められる風潮もありますが、切実な理由としては、物価上昇が影響していると推測します。少しの時間でも働こうというニーズがあるのだと思います。

これらサービスは、短時間で手軽に働ける仕組みを提供しています。スキマ時間をお金に変えよう、働きたいときに働きたいだけ、といったキャッチフレーズが特徴で、幅広い世代に支持をされています。

短期バイトの恩恵

このようなサービスは、現代のライフスタイルに適した便利な仕組みです。

学業や家事などと両立しやすく、柔軟に働ける点は大きな魅力でしょう。

私自身も、公認会計士試験を目指していた学生時代に家庭教師など短期バイトに助けられた経験があります。

当時は試験勉強を優先するため、長期のアルバイトをする余裕がなく、スポットで働ける短期バイトは経済的にも精神的にも大きな支えとなりました。

短期バイトがなければ、国家試験に挑戦することすら難しかったかもしれません。

こうした観点から、短期バイトには確かに重要な役割があると感じています。

長期的なキャリアへの影響

しかし、一方で、短期バイトの普及が生み出す課題にも目を向ける必要があります。

その一つが、長期的なキャリア形成への影響です。

短期的な収入を得ることに特化した働き方では、専門性を高めたり、組織で継続的にスキルを磨く機会が得にくくなります。

今、企業は猛烈な勢いで、AIを利用して、DX化を進め、生産性を向上させる努力をしています。人が少なくても売上を立て、利益をあげられるように、外部環境に対応するための進化を続けています。

短期の仕事を繰り返すうちに、自分自身の市場価値を向上させるタイミングを逃し、結果として、不安定な働き方から抜け出せなくなるケースが考えられます。

CMを見て、そういった方が増えるという社会課題の発生リスクを感じ、今後、大量に色々な短期バイトを繰り返す方が増える未来が見えました。

と、同時に、課題解決の反対側に、売上が立ちますので、顧問先様のビジネスチャンスも感じています。

短期バイトの未来

では、この課題をどう考えれば良いでしょうか。

短期バイトを単なる一時的な収入源として終わらせるのではなく、その後のキャリア形成や、社会との接点につなげる仕組みを構築できるとベストです。

例えば、短期バイトを経験した人が、その経験をもとに事業を起業できると良いと考えます。
 
また、自分の出身地の地方自治体と連携し、地元の課題解決や新しいビジネスの創出に取り組むような仕組みも考えられます。

短期バイトは単なる「働き方」ではなく、人生の次のステップへ進むための「きっかけ」として活用できると良いと考えます。

地方自治体との連携の可能性

消滅可能性都市という言葉があります。

人が減り、産業がなくなり、都市がなくなるというものですが、地方自治体の中には現実味を帯びてきたところもあります。

短期バイトと、地方自治体との連携は、可能性を秘めているように推測します。

現在、多くの地方が若者の流出や人口減少に苦しんでいます。もし短期バイトを通じて地方とつながり、その地域での新しい働き方や事業創出が生まれれば、地方経済の活性化につながるだけでなく、働き手自身のキャリアにもプラスになります。

これは短期バイトサービスを提供する企業にとっても、地域社会に貢献する新たな価値提案となるでしょう。

短期バイト、その先へ

短期バイトは、現代の多様なニーズに応える便利な仕組みです。

しかし、その普及が長期的に社会や個人にどのような影響を及ぼすのか、私たちは真剣に考える必要があります。

単に短期で稼げるだけで終わらず、その先にあるキャリアや、社会貢献の可能性を追求することが非常に重要です。

短期バイトが、多数の人を不幸にしないように、一層、幸せな人が増えるよう、顧問先の経営者様と共に考えて行きたいと思います。

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