フジテレビ中居さん問題から考える
公認会計士の三浦真です。
本日は、フジテレビが抱える中居正広さんに関する問題について、昨日行われた記者会見を振り返りながら、組織のガバナンスや危機管理、さらにはメディアやスポンサーとの関係性について考えてみたいと思います。
テレビ局や芸能事務所など大きな組織では、社外との連携やコンプライアンスの徹底が求められる一方、内部での意識共有が不十分だと不祥事が表面化した際に大きなダメージを受ける可能性があります。
今回の件も、企業・視聴者・メディアそれぞれが迅速に反応していることから、その影響範囲の大きさがうかがえます。
フジテレビのCM差し替えとスポンサー動向
この問題が発覚して以来、スポンサーは非常に早い段階で動き、CMがAC Japanに切り替わるという対応が見られました。
視聴者や企業が瞬時に反応する背景には、SNSなどを通じた情報拡散のスピードの速さがあり、企業のブランドイメージを守るために「まず広告出稿を控える」という流れは近年一般的になりつつあります。
一方で、いささか過剰反応ではないかという声もあると推測しますが、実際に広告を出すかどうかは企業のリスク管理に直結するため、その判断を批判するのは簡単ではありません。
とはいえ、イメージダウンを恐れる企業が即座に広告出稿を見直すのは、リスク管理の観点から理解できる対応だと思います。
特にテレビコマーシャルは企業や商品の印象を左右する大きな広告手法であり、不確定な要素や問題がある場合、一時的にCMを差し替えることは妥当な戦略だと考えられます。
よくあるトラブルと第三者委員会
芸能界や大企業では、トラブルが生じても裁判にまで進む場合がある一方、示談や協議で解決するケースも少なくありません。
世間やメディアが注目している段階では、報道を通じて断片的な情報だけが出回り、真偽が見えづらいこともしばしばです。
今回の問題は、根本的な解決のため、第三者委員会による徹底した調査が必要とされるフェーズに入ったと言えます。
特に、不祥事が複雑化すると、内部調査だけでは客観性に限界があるため、外部の専門家を加えた第三者委員会が重要になってきます。
現状では、第三者委員会の公式な報告がまだ出ていないため、断定的な判断は控えるべきだと考えます。また、経営陣を含めて今の段階で事実認定をすることはできないはずです。
こうした不確定要素の多い状況にあっては、当事者たちが正確な事実関係を把握し、適切に情報発信を行っていくプロセスが極めて大切になります。第三者委員会報告書を待ちましょう。
兵庫県・斎藤知事の件との類似点
フジテレビの方達の深夜の記者会見を見ながら、今回のケースを考えるにあたり、何か違和感があり、掘り下げて考えました。
私は、兵庫県の斎藤知事への内部告発問題との類似点があると考えます。
まだ、何も確定していない段階で騒ぎすぎという類似点、行き過ぎたアテンションエコノミーが共通点です。
斎藤知事は部下への叱責が行き過ぎたとされ、一部ではパワハラとみなされる可能性があると言われました。
一方、知事側は「仕事上の範囲で厳しく指導しただけ」と主張しています。
選挙をやり直し、知事が再選されたからといって、すべての問題が解消されたわけではありません。しかし、明らかにマスコミを含め、騒ぎすぎだったと考えます。
実際に、この件では県庁内で意見が割れたり、内部告発の方法や情報の取扱いについての議論がなされたりするなど、組織の管理体制が問われている点がフジテレビの問題と共通しているように思えます。
さらに、特に外部の視聴者等は日本人にありがちな「周りの人が言っているから自分もそう考える」という流されやすい体質が今回の騒動で顕在化したと考えられます。
物事を鵜呑みにせず、一度立ち止まって事実確認を行い、自分の意見を明確にする姿勢が求められるのではないでしょうか。
情報に触れる場合、組織を率いるリーダーは、判断を誤れば、最後は責任をとらないといけない(金銭賠償等)ため、踊らされたら、ダメです。
私が、顧問先様に、踊らされるな、自ら踊れ、とお伝えしている所以です。自分で考えて、行動しましょう。
透明性と信頼回復のカギ
忘れられるのを待つ、のも手かもしれませんが、どちらの事例でも、透明性高い情報開示と、迅速かつ誠実な対応が必要でしょう。
組織に不祥事が起きたとき、最も大きなダメージを受けるのは、実は現場で働くスタッフや、関係者です。
彼らは問題の当事者というよりも、むしろ組織を支える存在でありながら、外部からの批判や風評被害にさらされるリスクを抱えています。
そうした人々の士気を下げないためにも、上層部や経営陣が率先して事態の収拾に努め、誠実に事実を開示し、再発防止策を講じることが不可欠です。
最終的に、社会の信頼を取り戻すには、問題の原因と責任の所在を明確にし、再発防止策を徹底する以外に方法はありません。
事実がどのように公表され、どのような処分が行われるか、今後の推移が注目されるでしょう。
おわりに
私は公認会計士として、企業の内部統制やガバナンスの重要性、リスク管理の必要性をこれまでも考えてきました。
これからも、こうしたテーマを一般の方々にも分かりやすく伝え、組織が抱える問題を公平な視点で取り上げていきたいと思います。
一連の騒動を通じて、多くの人がメディアや組織の在り方、そして私たち自身が持つ情報リテラシーについて考えを深めるきっかけになれば幸いです。
ありがとうございました。