人との距離をとるように言われる中、どうしたら適切に知らない人とコミュニケーションをとれるのだろう。
コンビニのレジで体を反らせて店員さんとの距離を取る人を見た。
金銭のやり取りをするときも手をいっぱいにのばし、体を反らせていた。
この人には感染させてはいけないご家族かいらっしゃるのだと一生懸命考えた。
それでも、この人が店員さんのことを同じ人として見ていない態度が、その背すじからにじみでていた。つまり、そんなふうに僕は感じた。
いま世界で言われている距離のとり方は、この人のこのような生き様を見せるためのものではないはずだった。
息子のことを思い出した。
滑り台で前に滑った子供が台から降りるまで律儀に待つ息子。満員電車でもそのように振る舞えるようになりたいと思った姿が僕にとって理想的な距離のとり方だった。
きっと世界中の人がそうできたらいいのに、とおもった。
とはいえ、目の前の人は現実だった。
なので、ありがとうございますと店員さんに言うときにいつもより気持ちをこめてしまった。