プロセスエコノミーとジャグリングカンパニー

この記事は何?
ジャグリングアドベントカレンダー2021の24日目の記事です。
プロセスエコノミーについて、そして2021年12月18日(土)に行われたジャグリング・ユニット・フラトレスによるワークインプログレス公演『わが星』について書きます。

1. プロセスエコノミー

プロセスエコノミーとは、一言で言うと「プロセス自体を売る」こと。「プロセスエコノミー」はアルCEOのけんすう氏が言語化、元Googleの尾原氏が書籍化しました。

完成形の差が小さくなったことで価値を出すならプロセス、というのがプロセスエコノミーのコンセプト。

価値は「お金」に限りません。プロセスで「共感」「クオリティ」への効果が期待できます。

プロセスエコノミーを詳しく知りたい方は、けんすう氏のnoteや尾原氏の書籍を参照されてください。


なぜ今プロセスエコノミーなのか?

モノがあふれ、良いモノをつくるだけでは売れない時代。
情報が流通しまくることで、完成形に差がつきにくい時代になりました。

ジャグリング業界に目を向けます。

ジャグリングカンパニーによる公演は国内に多数ありますが、俯瞰してみると「クオリティの差は小さい」が私の見解です。どの公演も一定水準を超えてどれも優れています。

周りがどれも優れている中、差別化しやすいのはプロセス。プロセスは物語でありコピーされません。

従来、個性を出すのは完成形と考えられていましたが、プロセスで個性を出すのも有効な選択肢になりつつあります。

プロセスエコノミーは、ジャグリングと長く関わるための生存戦略ともいえます。

プロセスエコノミーの前例はまだまだ少なく手探りです。
その状況下、プロセスエコノミーに挑戦している人たちを私は応援しています。

2. ワークインプログレス公演『わが星』

ジャグリング・ユニット・フラトレス公式HPより

2021年12月18日(土)、ジャグリング・ユニット・フラトレス(以下、フラトレス)はワークインプログレス公演『わが星』を行いました。

プログラムは「①『わが星』本編の一部上演 ② 演出部対談 ③ 質疑応答」で構成されます。

2022年5月の本公演に向けたフィードバックの場がコンセプトです。

ワークインプログレス公演(Work-in-Progress Performance)はその名の通り、創作過程の公開公演。プロセスエコノミーの代表例です。


この公演に対する私の興味は次の二つです。
1. 情報量の多い『わが星』への挑戦
2.ワークインプログレス公演としての価値

作品を観て
挑戦と試行錯誤、そしてフラトレスらしい『わが星』でした。

①情報量の多い『わが星』とどう向き合うか

情報量の緩急

本家である劇団ままごとの『わが星』は情報量の多さが特徴です。情報量の増減変化と密度変化が心地よく、情報量の緩急が美しく設計されています。

※動画は期間限定で公開されています。

『わが星』のジャグリングアレンジ、それはジャグリングという情報を加える挑戦。
作品全体を通して、情報量の緩急に試行錯誤している印象を受けました。

「自然な集団美」がフラトレスらしさ。
今作では星を場に、役者とジャグラーによる幾何的な集団美が感じられました。

「情報の緩急」と「自然な集団美」の融和。
本公演まで進化の余地は残しつつ、フラトレスらしい『わが星』でした。

②ワークインプログレス公演としての価値

ジャグリング業界でワークインプログレス公演の前例は多くありません。
まずワークインプログレス公演を行うこと自体に価値があります。

前述の通り、私はフラトレスの挑戦を近くで感じることができました。応援したくなる作品です。

公演を終えた代表の様子からも、創作過程でフィードバックを得るというコンセプトのもと、ワークインプログレス公演を開催した意義が伺えます。これから作品のクオリティが上がるのは間違いありません。

公演は非常に良かったです。

ワークインプログレス公演としてさらにより良くするための提案を一つ。

つくり手はだれなのか?

作品を誰がつくるのか、もっと明瞭にした方がよかったように思います。

演出部だけでつくるのか、ジャグラーもつくるのか、役者もつくるのか、フィードバックを通して観客もつくるのか。

普段のクリエーションを知らない観客目線では、立場に悩みました。

つくり手を明瞭にすることで、目的に合致した解像度の高いフィードバックが得られたのではないかと思います。

終わりに

2022年5月の本公演を前にして、フラトレスらしい『わが星』の魅力を感じました。

ジャグリングカンパニーの物語をより近くで感じられるのがワークインプログレス公演の良さであり、プロセスエコノミーの強みです。

本公演までフラトレスの皆様を応援しています。

大変光栄なことに、ワークインプログレス公演『わが星』にご招待いただきました。加えて講評・感想のご依頼をいただきました。本記事を講評・感想とさせていただきます。

この度はご招待いただきありがとうございました。

さて、フラトレスから「本公演『わが星』に関連して何か企画をつくって欲しい」と打診いただいています。フラトレスの魅力を引き出せるような企画をこれからつくりたいです。

それでは。

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Makoto Hanada
全力でイベントをつくります