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「WOMBS」SFコミックはここまで来た。女流作家が描く母とすべての女性のための宇宙スペクタクル

超大作の煽りで右から失礼します。

今日ご紹介するのは、白井弓子著の「WOMBS(ウームズ)」
去年分冊版も出ましたね。

Amazonのレビューにもあったんですが、タイトルは皆川亮二のARMSとひっかけたんですかね?だとしたらすごい。そしてオマージュに恥じない重厚な内容。

日本SF大賞も受賞した、SF好きとしては外してはならない名作です。

では、さっそくあらすじからまいりましょう!

「WOMBS」のあらすじ

●主な登場人物/マナ・オーガ(徴兵され特別転送隊に配属された新兵。故郷に家族と恋人を残してきた)
●あらすじ/歪な月に照らされる惑星・碧王星。漂流の末たどり着き土地を開拓してきたファースト(第一次移民)と、後からやってきて正規移民を名乗るセカンド(第二次移民)との間で激しい戦争が続いていた。ファーストの一国・ハストに暮らすマナ・オーガは、徴兵され特別転送隊に配属される。いまだその実態がつかめぬ“転送兵”として、過酷な軍隊生活が幕を開けた(第1話)。
●本巻の特徴/碧王星の統治権を巡り、戦争を続けるファーストとセカンド。卑劣な攻撃を繰り返すセカンドに対し、ファーストたちは大いなる森の主“ニーバス”の体組織を子宮に入れた女性の“転送兵”が活躍する。碧王星の至る所に瞬間移動が出来る“転送隊”に入隊したマナ・オーガの運命は…!? 圧倒的な画力で見るものを引き込む、白井弓子渾身のSFストーリー!!
引用元:Amazon「WOMBS」

WOMBSとは、英語で子宮を意味する言葉。

作品全体で
・母性
・母と子
・妊娠
・生殖
などが大きなテーマとなっていて、物語の大筋は対宇宙生物との長きに渡る戦争です。

転送隊と呼ばれる女性兵たちは自分のお腹に怪物の卵を宿し、その力で瞬間移動をして敵と戦っていきます。

普通の妊娠と同じ40週間腹の中の怪物と共に生き、戦い、役目を終えた卵は取り出される。仮そめの母たちは十月十日が終わるまで、あるいは戦争で命を落とすまで「妊娠」した上で戦いを続ける。

これが転送兵の一生です。

物語は転送隊の新兵マナ・オーガの視点で描かれ、彼女の最後の選択までノンストップで進んでいきます。

「WOMBS」の超個人的感想

圧巻の読後感!

全5巻を一気に読破しましたが、主人公・マナと一緒に一生を生ききったような脱力感に身体中を襲われて3日は仕事になりませんでした(オイ)

いや~漫画の底力舐めてたわ。

妊婦が怪物を宿したお腹を守りながら戦うというSF好きファンの設定もさることながら、ていねいな世界観づくりは最後まで破綻も余念もありません。


胎児(本作の場合は怪物ですが)との繋がりや自分の体内で育っていく命など、男には絶対に分からない感覚です。作者自身も女性で2児のお母さんということですから、この辺りの機微がとてもよく描かれているなと感じました。

弱者や批判の対象ともなる妊婦を、あえて最前線で戦う戦士にするという点にもなにやら大きなメッセージ性がありそうですね。

登場する女性たちはどこまでもタフで美しい。

愚かな野郎なんかには入り込む隙もない、強くて凛とした彼女たちの世界にはあっという間にトリコになること請け合いです。
アルメア軍曹惚れていいですか。

戦争の鬱々とした暗いムードが続く中にも、広げられた伏線がきっちり回収されていくのが超絶快感でそこら辺も見どころ。

しかし出産ってめちゃくちゃ大変なんですね~、全女性を崇め奉りたい気分です。母ちゃんありがとう。

「WOMBS」が好きな人にはこんな漫画がおすすめ

ARMS!と言いたいところですが、多分みんな知ってるでしょうし敢えてこちら。

「銃座のウルナ」伊図透

こちらも女性が活躍するSFです。

絵としてはふっくらとした女性の描き方が特徴的。しかし戦闘シーンはごりごり。

どんでん返しに次ぐどんでん返しでサスペンスが好きな方にもおすすめできます。

両作品とも、命とはなにか。生きるとはなにか。悪とはなにか。生まれてしまった以上決して逃れられない問いを突き付けられる作品でした。

SFは深い!

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