特殊能力
May the Force be with you.
（フォースと共にあらんことを）
私らの世代ではかなり有名なセリフで、フォースの強い者もそうでない者も、共に宇宙の全てが持つという自然の力の導きによってより良く生きることができる、という意味のある種の宗教的な挨拶でございます。
で、まぁ、映画STAR WARSはジョージ・ルーカスが作り出した虚構の世界なのですけれども、私たち人間は時に迷い出会い驚く時に「これは何かの導きではないか？」とか「私(彼)には何か特殊な超能力があるんじゃないかしら？」なんて事を夢見るのでありますね。
ところが、意外にも、人は(特に特殊能力のある者は)えてして自分の特殊能力に気付いていない。「みんなも同じだと思っていたけど、そうでない人もいる。」てか、どっちかというと「そうでない人の方が多いみたい」に気づくのは結構年齢が行ってからだったりします。
例えば他人と結婚して生活してみて「あれ？なんで見えないの」とか、子供が大きくなって色々言うようになってから「お母さんはそうだろうけど、普通の人には見えないんだよ」なんて事を突っ込まれたりして「え〜？そうぅ？あなたお父さんに似て変なんじゃない？」とマジョリティとマイノリティをひっくり返して考えてみたりする。
ここまで書けばフォースの強い(察しの良い)皆さまにはもうお気づきだと思いますが、そうです。私の子供たちの母親にして私の配偶者たる妻こそが、特殊能力者なんです！
「いやいやいや、さこうさんここにきてフィクションですか？」
いや、本当の話です。
と言っても、手をかざしてホウキを飛ばすとか、目をつぶって車を運転できる訳ではありません。
私はその能力を「猛禽の眼」と名付けました。
猛禽に限りませんが、水中の動物を捕食する鳥類に備わっている能力で偏光視という力があります。それは水面の反射を防いで水の中を見れるというもので、水中の魚などを狩る鳥達に備わっています。
偏光は一定方向の光だけを遮断して他の光は通過させるのですが、例えば釣り人が使うフィッシャーズサングラスがそれに当たります。
朝夕の太陽が低い位置にある時、車の運転時に道路の反射を防ぐサングラスもありますね。
また、3D映画を見る時に使う3Dメガネにも偏光フィルターを使ったものがあります。
これは左右の目それぞれに違う角度のフィルターをかけて左右で違う映像を見せて脳で合成すると立体的に視えるというものです。
その特殊能力が、どうやら妻にはあるらしいのです。
運転中に遥か向こうからこちらに向かっている車の運転手の顔が見えると言うのです。私も娘もその車のフロントガラスは空を反射していて見えない。
距離が近づいて角度が変わると見えはじめるのですが、妻はフロントガラスが反射して中が見えないって事は経験したことがないのだそうです。(サングラス🕶️不要)
「だって相手がどこを見ているか判らなかったら運転していて怖くない？」
「いや、だから近づくまでは車全体の動きを見て様子を探るんだよ。」
「こわ〜い、それって一か八かって事でしょ？」
「いや、近づけば見えるさ。30mくらいになれば運転手も見えるし」
「私は子供の頃から視力検査の一番下より小さな字が見えてたから2.0より上だと思う。サンコンさんが6.0だったっけ？私は多分3.5〜4.0はあったと思う」
「はぁ、そうですか」
更には視野が220度以上あり、通過しながら全部が見えていて、通り過ぎた後に思い出せばその映像が解る、と言うのです。
掘り下げるとややこしくなるので大概「へ〜そうなんだぁ〜すごーい」で流しているのですが、そういう特殊能力です。