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クララのばか番外編2〜地域包括病棟人間模様〜


さて急性期整形外科病棟から車椅子で引っ越しです。冷蔵庫にテレビカードから沢山度数を入れていたので看護士さんが気を利かせてテレビ台も一緒に引っ越してくれました。テレビ台と荷物3袋の台車と車椅子、エレベーターに乗って2つ下って降りた奥の突き当たりの病室。
整形外科では簡易個室という相部屋で隣との仕切りに棚が置いてありましたが、こちらは完全に相部屋。隣のベッドとはカーテンが1枚。しかも上1mは空調の関係で網目になっている。
この病室は入れ替わりが激しい様で、私が入った翌日には先住の二人は出て行かれた。

5、地域包括病棟Mさん
向かいのベッドに入られたMさんは内視鏡でポリープ除去手術を受ける為に入院して来た。これから2日かけて絶食と下剤で大腸を綺麗にして手術に臨む。
手術当日は水も飲めないので「血圧の薬はどうする?」「点滴に溶剤を入れてあります」
手術から帰っても結構元気で点滴スタンドをガラガラ押しながら歩き回っていた。「喉が乾くんだけど」「手術後丸2日は飲めません。水分と栄養は点滴で入っていますからね。」「寒いんだけど」「熱は無いようですね。風邪のような症状はありますか?」
新型コロナ第7波でこの病院も感染が広がった事があり、かなり警戒している感じだ。実際、私の入院もその影響で日程がずれたのだった。
洗面所であいさつすると「寒くないですか?」「昨晩は寒かったですね。ただ他の方は暑い方もいるみたいで・・・」「そうですよね、無理は言えんけど寒かった」
コロナ対策で窓を開けて扇風機で換気しているらしく、外側のベッドはかなり暑いらしい。一方でそれを補うためにクーラーをかけるので内側の私やMさんは寒い事になる。
そうこうするうちにMさんは精算を済ませ日曜日には退院して行った。

6、同じくTさん
Tさんの病状は何だったのか忘れてしまった。その後に入った方が強烈過ぎたのと割と静かに過ごしていたからだろうか?ただし、カーテン一枚隔てた隣なので色々影響は受けた。
クーラーの吹き出し口が私のベッドの真上にあってカーテンを隔てたTさんの所へは、あまり冷気がいかないらしく、盛んに「暑い」と訴えてクーラーの出力を上げさせるので、真下にいる私は寒い思いをする。
それと、真夜中の2〜3時にテレビを点ける。音はイヤホンしか使えないので聞こえないが、画面の明るさが変わるたびにカーテン越しに煌々と照らされて夜中に目覚めてしまう。
ナースコールで看護士さんを呼んで無言でカーテンを指差すと、早速注意してくれて消えるのだが、彼女が去るとまた点ける。足音が近づくと消す、のイタチごっこ。だいぶ腹が立ったが、数日後には退院して行った。

7、地域包括病棟Iさん
退院したTさんと入れ替わりに入って来たIさんはかなりの曲者だった。
人工透析中に意識が無くなって入院する事になったらしい糖尿病の患者だが、注意されても、禁止されても、やたらといろんなものを食べる音が聞こえていた。蒟蒻ゼリーだのクッキーだの。ところが、しばらくすると嘔吐が始まる。自分でナースコールはできているので看護士は飛んできて介助やうがいや、冷却や薬や・・・
しばらくするとケロリとしてまた食べ始める。
定期的に看護師が血糖値を計りにくると「たぶん高いと思う、さっき食ったばかり」「300ですね」医師がやって来て話をする。そんな繰り返し。
病院では毎朝入院患者の排尿排便の回数を聞いて回るのだが「透析をしているから尿は出ない。だからこんなに浮腫んでいる。下なんか狸みたい。見る?」
やがてIさんも退院して行った。

8、同じくEさん
Eさんは物静かで、挨拶しても会釈を返す程度。症状はおそらく「骨切り」私より先を行っている感じで軽快に松葉杖で歩いている。
リハビリ室で隣になったことがあってふと見ると施術中の膝と反対側の膝にも同じような傷跡があり回復後にもう片方も手術しに来たのだろう。
私にはその勇気がない。こんな痛い目に遭うのは金輪際お断りだ。

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