実施基準 三 1 暫定的に評価した重要な虚偽表示のリスクの程度
■監査基準の改訂2002
監査人は、監査の実施の過程で判明した重要な虚偽の表示につながる可能性のある事項については、その金額的影響及び質的影響(例えば、少額であっても他の関連項目や次年度以降に重要な影響を与える可能性がある)を検討し、/必要であれば、監査の実施の結果を見直したり、追加の監査手続を実施するが、/このような金額的・質的影響の評価に関わる判断の規準も監査上の重要性の一部となる。
内部統制に依拠する場合には、事前に重要な虚偽表示のリスクの程度を暫定的に評価した上で監査計画を策定し、その後実際に運用評価手続を行い、内部統制の運用状況を確かめることで、当初暫定的に評価した重要な虚偽表示のリスクの妥当性につき事後的に検証する。
当初の想定どおり内部統制が有効に運用されていれば、計画通り実証手続に進む。
リスク対応手続において内部統制の運用評価手続を実施する中で、運用状況が当初の想定どおり良好ではなく重要な虚偽表示のリスクの評価水準を当初よりも高くした場合、発見リスクの水準を引き下げないと当初の監査リスクの水準を達成できないため、試査の範囲の拡大あるいは精査の実施が必要となることもある。(監査計画の修正)
監査の過程で集計した虚偽表示が重要性の基準値に近づいている場合、/未発見の虚偽表示と監査の過程で集計した虚偽表示の合計が、重要性の基準値を上回るリスクを監査上許容可能な低い水準に抑えられないことがある。したがって、このような場合には、監査人は、当初策定した監査計画の修正を検討する必要がある。