一般基準 4 不正と違法行為
◆不正
不当又は違法な利益を得るために、経営者、取締役等、監査役等、従業員又は第三者による他者を欺く意図的な行為をいう。
◆誤謬
◆違法行為
故意若しくは過失又は作為若しくは不作為を問わず、
によって行われる、法令違反となる行為をいう。
重要な虚偽の表示の多くは、財務諸表の利用者を欺くための不正な財務報告や、資産の流用などの不正行為を隠蔽するための意図的な記録の改竄などによって行われると考えられる。
◆不正な財務報告
財務諸表の利用者を欺くために財務諸表に意図的な虚偽表示を行うことであり、計上すべき金額を計上しないこと又は必要な開示を行わないことを含んでいる。
不正は意図的であるがゆえに、
・文書の偽造
・取引を故意に記載しない
・意図的な不実表示
・内部統制の無視等
の行動が想定され、不正を隠蔽するための巧妙かつ念入りに仕組まれたスキームを伴うことがある。
そのため、誤謬を発見するのに有効な監査手続も、不正による重要な虚偽表示のリスクとの関係では適切でないことがある。
不正による重要な虚偽表示を発見できないリスクは、誤謬による場合よりも高い。
■論点整理
二 3 監査の役割 (2)
★財務諸表の重要な虚偽記載の主要な要因
・ 資産の流用
・ 証憑書類の偽造・改竄
・ 会計記録からの取引の隠蔽・除外
・ 架空の取引記録
・ 会計基準の不適切な適用等を意図的に行う行為
これらの行為を発見する監査の姿勢をより重視していくことを明記することが適当と考えられる。ただし、監査による不正や違法行為の発見には一定の限界があることも同時に理解されるようにすることが必要である。
なお、違法行為に関しては、それが会計処理に影響するものである場合には不正と同様に考えられるが、会計処理には影響しないものもあることを考慮する必要がある。
■監査基準の改訂2002
財務諸表の虚偽の表示は、経営者による会計方針の選択や適用などの際の判断の誤りのみならず事務的な過誤によってももたらされるが、/重要な虚偽表示の多くは、財務諸表の利用者を欺くために不正な報告(いわゆる粉飾)をすること、あるいは、資産の流用などの行為を隠蔽するために意図的に虚偽の記録や改竄等を行うことに起因すると考えられる。
そこで、監査人はこのような不正等について特段の注意を払うとともに、/監査の過程において不正等を発見した場合には、経営者等に適切な対応を求めるとともに、その財務諸表への影響について評価することを求めることとした。
なお、違法行為については、それ自体を発見することが監査人の責任ではなく、その判断には法律の専門的な知識が必要となることも多い。/また、違法行為は必ずしも財務諸表の重要な虚偽の表示の原因となるものではないが、/監査人が重要な虚偽の表示につながる虞のある違法行為を発見した場合には、不正等を発見した場合に準じて適切な対応をとることになる。
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