実施基準 二 5 特別な検討を必要とするリスク

監査人は、会計上の見積りや収益認識等の判断に関して財務諸表に重要な虚偽の表示をもたらす可能性のある事項、不正の疑いのある取引、特異な取引等、特別な検討を必要とするリスクがあると判断した場合には、そのリスクに対応する監査手続に係る監査計画を策定しなければならない。

財務諸表の重要な虚偽の表示は、①経営者不正や、②事業経営の状況を糊塗することを目的として、経営者の経営姿勢や企業環境の変化等の種々の要因に起因した経営者の関与等からもたらされる場合が多い。

監査人は、通常、収益認識には不正のリスクが内在するものと推定し、収益に関する取引等において不正のリスクが顕在化する可能性について検討しなければならない。

実施基準 三 3
監査人は、特別な検討を必要とするリスクがあると判断した場合には、それが財務諸表における重要な虚偽の表示をもたらしていないかを確かめるための実証手続を実施し、また、必要に応じて内部統制の整備状況を調査し、その運用状況の評価手続を実施しなければならない。

特別な検討を必要とするリスクは、多くの場合、重要な非定型的取引又は判断に依存している事項に係るものであり、定型的な内部統制では対応できない場合が多い。

 例えば、株式交換による企業買収の会計処理は非定型で複雑であり、見積りと判断も伴うため、虚偽の表示となる可能性が高く、内部統制によって発見・是正されない可能性も高い。
 運用評価手続のみでは、当該リスクに十分対応して監査リスクを許容可能な低い水準に抑えることは困難であり、/当該リスクに起因して生じる可能性のある重要な虚偽表示が看過される虞がある。
 当該リスクがあると識別した事項については、当該リスクに個別に対応する実証手続を必ず実施することが求められている。

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