『リスタデール卿の謎』読了メモ
全13編の短編集。
リスタデール卿の謎
もとの身分は高かったが、今は窮乏する夫人と子供たちの、家を巡る謎と、最後はロマンス。童話のようなエンディング。
ナイチンゲール荘
夫婦の話。堅実な娘が遠縁から遺産を受け継ぎ、とある男と結婚。結婚後、夫の正体がわかり、殺人が決行されようとしたその時……彼女を救ったのは暗示の力か。ポーの小説のような後味。
車中の娘
冒険&ロマンスもの。
失業したローランドが新天地に赴く列車の中で美女と出会う。美女に、ある男の尾行と荷物の預かりを頼まれる。その日、ホテルに男二人が現れ、美女は某国の皇女とわかる。その夜、荷物は盗まれ、男はいなくなる。荷物を取り戻すが、結婚指輪のみ。混乱する男のもとへ美女が現れ、種明かし。ハッピーエンディング。
六ペンスの歌
引退した弁護士のもとに謎解きの依頼。「大叔母殺害の犯人が、家族4人の中にいる」。
六ペンス銀貨から謎を解く。短いながらも、しっかり謎ときの面白さが詰まっている。
エドワードロビンソンは男なのだ
現代のポリコレ的にはうーん、という内容だが、アガサの人間分析が冴える。
事故
夫殺しの疑惑のある夫人を追い詰めたと思ったが――どんでん返し系のオチのミステリ。
ジェインの求職
休職中のジェインが見つけたのは、暗殺されそうな皇女の身代わりを務めるというもの。しかし、誘拐事件の後にわかった真実は……冒険もの。
日曜日には果物を
カップルが、ドライブの途中で購入した果物の籠の中には、盗品と思しきルビーが! 二人の心情の推移が面白い。種明かし、ハッピーエンドの会話の捻りが面白い。
イーストウッド君の冒険
ミステリ作家のイーストウッド君のもとに、ある日、奇妙な電話が。犯罪に巻き込まれ、結局は被害にあうが、それをネタにしてしまうラストが悲しさを打ち消す。
黄金の玉
金持ちの叔父と喧嘩したジョージが、社交界の花形の令嬢に声をかけられて、とある家に行くと……ハッピーエンディングのロマンス。最後のバナナが効いている。
ラジャのエメラルド
リゾート地で恋人に冷たくあしらわれている男が、思わぬことからエメラルドを手にしてしまい、盗難事件を解決。女性にしっぺ返し。
白鳥の歌
著名なオペラの歌姫が、イギリスの田舎の邸宅に招かれ、当地でオペラを演じている最中に殺人事件が。オペラ『トスカ』と、最後の一節が効いている。
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