ITベンダーが、何故、中小企業診断士を目指すのか?
◆初めに◆
皆様、こんにちは。中小企業診断士の井上誠と申します。
私は、従業員1400名程度のITベンダーに勤務している企業内診断士です。ITコンサルを生業とする部署に所属しており、普段は、お客様のシステムに対する要望を要求仕様書としてまとめたり、他のITベンダーに提示する提案依頼書を書いたりしています。最近は、お客様と他のITベンダとの間に入って、ITベンダの提案書や見積もりを拝見し、過不足を指摘したり内容を評価したりなんてこともやっています。
診断士としては、2016年4月に登録して今年で3年目を迎えます。平日の夜や休日を使って研究会に参加したり、ITのスキルを活かして中小企業のホームページ作ったりしています。
このブログでは、いわゆる自分からみたITベンダーの実情や診断士との関係性等を、実体験も踏まえていろいろ語っていきたいと思います。
◆ITベンダって?◆
ここでいうITベンダは、いわゆるシステムインテグレータを指しています。企業の基幹システムの企画・設計・開発・運用を担い、日々原因不明のトラブルと戦い(汗)、安定運用のために徹夜も厭わない(大汗)、社会の裏方です。花形企業のgoogleやMicrosoftもIT業界ではありますが、他社のシステム運用はしていないので、ここでいうITベンダ範疇には入れません。
◆ITベンダと診断士◆
私が診断士になって、いろいろな会合に参加しているのですが、あちこちでITベンダーに勤務する方に会う気がします。そしてそれは、飲食業とか製造業とか、他の業種に比べて多いような気がします。もちろん、自分の実感です。自分がその業界に身を置いているので、目に付くという傾向もあるのだろうと思います。
ITベンダは地味な業種です。先端技術を扱いますが、労働集約的で勤務時間も長くとても大変な業界です。特にプログラマ・システムエンジニアといった開発・運用の第一線で働く職種は、3K(きつい、厳しい、帰れない)とも7K(3K+給料が安い、休暇がとれない、化粧がのらない、結婚できない)ともいわれ(あくまでも個人の主観です)、最近では志望する学生さんも減っています(涙)。
そんなITベンダに努める人たちが、なぜ経営コンサルを生業とする診断士を目指すのでしょうか?
◆ITベンダが診断士を目指す理由◆
これもいろいろ聞くと、大別して以下の3種類に分けられる気がします。
1.仕事のため
他の業種でもよくありますが、事業企画や経営戦略を策定する部署に異動になり、必要性に駆られて目指すケースです。ある意味、資格と仕事の親和性もよく、資格取得後も活躍するお姿をお見受けします。半面、開発現場からの評判はあまり良くはなく、「診断士なんて取りやがって鼻にかけてる」的な悪口を言われることもあるようです。
2.個人のスキルアップのため
私の場合は、これです。財務や生産管理の知識を増やし、コンサルスキルを磨き、上流工程の業務を円滑に遂行するために取得しました。おかげさまで、顧客にBS・PLの話をされてもビビらず、打ち合わせで生産管理の基本用語が出てきても気おくれしなくなりました。ただ、同じような境遇の方に会うことはあまりありません。もちろん、超大手のITベンダーでITコンサルしている人には、時々お会いします。が、それ以外の一般的なITベンダに勤務している方にお会いする機会は、思ったより少ないなというのが実感です。
3.転職のため
結構多いのが、転職するために診断士を目指す方です。特に、前述のプログラマ、システムエンジニアには、ITは嫌いではないのだが、今の仕事や職場がいやで、その環境を変えるために診断士を目指す方が多い気がします。
もちろん、転職で自分の環境を変えることは否定はされません。一方でマイナスの理由で転職を志していい結果にたどり着かなかった方々も、今の会社でみてきました。ITに関係する仕事は好きなのにこれまで積み上げたことを変えてしまうのも、もったいなく感じます。
では、ITベンダに勤務しながら、今の環境を変えていくためにどんなことができるのか、次回はそんな話をしたいと思います。
ITベンダに勤務する、中小企業診断士です。得意のITを活かしつつ、常に楽しく前向きに、中小企業の方々と一緒にいろいろ考えていきたいと思っています。