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経営理念は、どうしたら現場に浸透するのか?

企業内診断士の問題意識に上ったことを書く「企業内診断士が思う、組織の課題」シリーズ。今回は、「経営理念は、どうしたら組織に浸透するのか?」について、説明したいと思います。

前回のお題は「経営理念は、何故、組織に浸透しないのか?」、というお話でした。結論は、「自分たちに関係ないから」。抽象的で具体性がないので、「身近なものとして考えられない」ということです。

では、どうすれば浸透するのでしょうか。やり方はいろいろあると思いますが、こういう時に一番簡単な解決方法は、問題の逆をやる、つまり、「関係あるようにすればよい」ということですね。正確には、「自分との関係を明確にする」ということですかね。

もう少し、具体的に説明しましょう。

1)具体化する
皆さんは、「CERD(クレド)」、そして「グランドルール」という言葉を聞いたことがありますか。具体的な説明は、専門サイトに譲ります・・・。

クレドとは?作成手順からカードによる社内浸透と導入企業事例について解説(HR大学)

「クレド」とは?楽天やリッツ・カールトンの事例にみる3つのメリット(PRESIDENT ACADEMY)

「クレド」の意味とは? カード配布だけになっているといった失敗例、ザ・リッツ・カールトンや楽天の企業事例などを解説(HR PRO)

これは、あくまでも自分の理解ですが、どうすれば「Vision」を実現できるのか、それを具体的な行動指針として記載したのが「CERD(クレド)」、そして、更に組織の運用ルールに落とし込んだのが「グランドルール」です。
「CERD(クレド)」やグランドルールを作成して、「こういうように行動しましょう。」と、具体的に従業員に訴求することで、従業員の行動につながり、その行動を通じて経営理念が組織に浸透するという流れになります。
自分たちが「具体的」に何をすればいいのかが明確で、実際、その実現に向けて行動できている実感が得られれば、抽象的な経営理念も自分に引き付けて考えられますよね。

前回の例でいえば、「『全てのステークフォルダから選ばれる企業』になるというVision」を達成するために、顧客だけでなく従業員にも取引先にも配慮する必要があると記載したのがクレド、更にそれを「36協定や下請法の順守」に落とし込んだのが、グランドルールです。

ここまで具体化されると、「『全てのステークフォルダから選ばれる企業』になるというVision」が、自分に関係あるものに思えてくるのではないでしょうか?逆に、「何故、36協定を守らなければいけないのか」も、はっきり理解できますよね。


2)自分事化する
自分が働く意味を明確にして、自分が働く意味と経営理念との間には明らかに関係性があるなと感じられたら、経営理念が自分のことになりますよね。
なんとなく、漠然と「人のために役に立つ仕事をしたいな」と考えているより、「ITを使って中小企業の生産性を上げて、日本の会社を元気にしたい」と意識できていれば、「『全てのステークフォルダから選ばれる企業』になるというVision」との関連性が実感できるのではないかと思います。

ただ、「自分が働く意味」とか、「なんのために働いている」のか、とか、普段はあまり意識しないですよね。

先日、「自分はどういう価値観を持っているのか?、そして何のために働くのか(仕事観)?」を、受講生と一緒に考える理論政策更新研修を開催させてもらいました。考えるための主なキーワードは、「言語化」、「外部からの刺激」、「過去、未来・ビジョン、今の自分(=志)」でした。
そして、その時に使ったのが、「価値観ババ抜き」です。トランプにババ抜きのように、カードのやり取りをしながら、自分の価値観を明確にしていくという、楽しみながら自分の思考もわかるという、優れもののツールです

もし、ご興味がありましたら、コメント欄にでも一言頂ければと存じます。

ITベンダに勤務する、中小企業診断士です。得意のITを活かしつつ、常に楽しく前向きに、中小企業の方々と一緒にいろいろ考えていきたいと思っています。