看護師国家試験のひ。
私は受験の時に1つの曲だけをリピートして聞く。だからその曲を聞くと、どんな雰囲気の受験だったかすぐに思い出すことができる。例えるなら、お煎餅の中に入っている乾燥剤だ。ずっと保存は無理だけど、ある程度なら湿らずに置いておける。
あの日に聞いたのはドラマチックアラスカの「東京ワンダー」。ミュージックビデオでは就活生の苦悩を描いていた。名前も知らない就活生役の顔を思い出しながら、長くかかる道のりを心細く揺られていた。
みんながみんな、試験にメンタルをやられていた朝だった。二度と味わいたくない。
電車のなかの自分が揺れる。私の気持ちも揺れる。ぐらぐらと、自信がなくなっていく。今までの時間に出来たこと、出来なかったことを思い出す、後悔に溺れていく朝。
試験は2時間40分のものが午前の部と午後の部の2つある。初めてこんなに真剣にテストをしたと友達が言っていたようにとんでも無くピリピリとした空間での受験だった。
帰り道見た風景はのんびりとしていて、川や山を見て安堵した。国家試験に苦しめられている暮らしから離れられると思ったときにぽろりと涙が出た。
私の国家試験のひはこうして幕を閉じた。いまは看護師をしていないけど生きているから、国家試験に落ちたひとたちも今は安心して過ごしてほしい。
「みんなお疲れ様!よく頑張りました。受けただけでも偉いよ!看護師になれなかったことが貴方の価値を下げることはないので、お互いこの先、一生懸命生きようね。」
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