「私の強みは緊張せず、はっきりと物事を伝えられるところです。」
あたらしい仕事の面接時、いつも考えることがある。
きちっと纏めた髪、綺麗にアイロンされたシャツ、磨かれた靴と
武器は、自分自身。
目の前には、面接官もとい、戦う相手がいるこの状況は
剣道の試合に似ている、と。
思えば、小さいころから1対1や1対少人数の場では緊張しない性格だった。
センセイには「それがあなたの強みだよ。」といわれたので
自分の性格を伝えないといけない場では、あまり緊張しないタイプなんですよ~と言っていた。就活でも、同じことを伝えた。
ふとしたときに、今までの経験がしぐさや言動にでるというから
やはりわたしはどこまで行っても”剣道経験者”なんだろう。
わたしは剣道が好きだ。
目の前の相手と戦うのはわずか3分間。
一瞬で決めなければならないこの緊張感や、ひとりで戦わなければならないルール、応援は拍手だけといった雰囲気までも、丸ごと大好きだ。
試合中に考えるのはただ、目の前の1本。
「はじめっ!」という合図で、声をあげる。
声をあげるのは、相手への威嚇のためだけでなく
審判へのアピールの意味も兼ねる。
自分の戦う姿勢を、周りに示すのだ。
長い人生ではあるが、剣道の技が生活のなかで活かされることは
この平和な日本ではそうないと思う。
道場破りが目の前に現れることもなければ、世紀末でもないし。
目の前に変な人がいたとしても、いきなり殴ったらこちらがお縄になるし。
でも確実に、剣道はわたしの生活の傍にそっと寄り添っている。
わたしは面接前に大きく息を吸う。
そして声をあげる。
私の戦いがはじまる。
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