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前十字靭帯断裂から見えたこと
こんにちは、まこぴです。
普段は会社員をしながらコーチとしても活動しています。
そんな私ですが、6月末に左膝前十字靭帯再建手術を受けてきました。
幼少期から特に大きな病気もなく過ごしてきたので、手術も入院も人生初。
初めてづくしの入院生活を無事に終えて、今はリハビリに励んでいます。
これまでの左膝との道のりを思い返すと、痛みや不安から涙がこぼれることもあって、正直もう一度経験したいとは思わないし、リハビリ中の今も少し異なる苦しさもあります。でも、そうした境地に立ったからこそ、初めて気づくこと、見えてくることも多くて、普段よりもとても濃密な経験だと感じます。
それと同時に同じような境遇の方に、今なら寄り添える気がします。あくまでもひとつのケースにすぎませんが、私の経験をまとめることで、少しでも不安を和らげられたり励みになったりと、誰かのお役に立てれば嬉しいです。
■このnoteを届けたい方
・前十字靭帯や半月板を損傷した方
・膝に対して不安や痛みを感じている方
・膝の損傷から感じたことを覗いてみたい方
手術を受けるに至ったきっかけ
まずは、手術に至ったきっかけを通じて、私がどんな人なのか軽く紹介させてください。
8年前、大学生だった私は、毎年冬は一ヶ月強ほど山籠りしてアルペンスキーを仲間とともに切磋琢磨するような学生でした。そんな日々の中で練習中に転倒してしまい、左膝の前十字靭帯を傷めてしまいました。アルペンスキーヤーにとってはかなり多い怪我。ただその時は靭帯が切れておらず手術は不要で一安心しつつも、お医者さんから自然治癒しないと聞き、「左膝に爆弾を抱えているんだ。だから無理できない」という意識が強く残ります。
社会人になると、デスクワークの日々で、その反動で休日は運動したくなります。だけど、走ると膝が痛くなったり、テニスをすると膝崩れが起きたりと、次第に思いっきり体を動かすことを無意識に避けるようになりました。
そんな中、痛めてから8年後の今年の春。歩けなくなるほどの痛みが突如現れ、病院で念のためMRIを撮ることになります。この時の日記はこちら。その結果、左膝前十字靭帯断裂と半月板損傷が判明しました。
お医者さんから「前十字靭帯がなくて、今は残骸しかない」と言われた時は思ってもみなかった言葉で、「靭帯がなくても人は生きていけちゃうんだ」という驚きと原因がわかった安心感でいっぱいでした。もちろん、手術を受けないという選択もあるけど、痛みから解放されて普通の生活を取り戻したいという一心で迷わず受けることにしました。
こんなきっかけから、私は「前十字靭帯再建手術と半月板縫合術」という手術を受けることに(改めて文字を書くと漢字が連なっていて少しギョッとしますね)。
昔はスポーツ選手など運動している人が無理な体勢で怪我してそのまま手術するイメージが強かったけれど、今は私のように一度痛めた経験のある人が「膝の痛み」を知っているが故に、手術が必要なほどに悪化していることに気づいていないケースも多いのかなと思います。
手術前の心境は?
判明直後の心境はというと、まずは、痛みの原因が分かってほっとした気持ちが強かったです。原因が分からないまま痛みと戦い続けるのは、真っ暗闇に一人でずっといる感じで結構辛いもの。でも、改善する術があるというだけで希望の光が差し込み、医療のありがたさをしみじみ感じました。
ただ、手術はやっぱり不安で怖いもので、一人になるとこれから自分に何が起こるのかが分からず、解消するためにネットで情報を見つけて現実を知り怖さが増して...という繰り返し。不安で押しつぶされそうになりながらも、現実逃避をしたり、家族以外と話す時は冷静でいようと意識していたり、必死に自分を保とうとしていました。
そんな中、パーソナル編集者をお願いしているみずPさんとのセッションで、表面上の私と心の内側がリンクしていない違和感や溜め込んでいる感情に気づかされ、みずPさんの提案でクローズドの日記を書くことに。クローズドの日記とはいえ自然と文章を見直しちゃうので、そのままの思いを書き出せるように「見直さない日記」と名付けました。
この「見直さない日記」は、不安でいっぱいになった時の駆け込み寺となったり、後から振り返って自分の変化に気づくことができたりと様々な側面から助けられました。(みずPさん、本当にありがとうございます!)
どんな手術だったの?
簡単にお伝えすると、前十字靭帯については、大腿骨と脛骨に穴を開けて、そこに自分の膝裏から取った腱を入れ込み、靭帯と同じような機能を持たせるような方法でした。
一方、損傷した半月板は中を開けてみるまで、半月板の一部を温存できるかどうか分からず...。どうか無事であってくれと祈りつつ、終えてみると無事損傷部分を縫い合わせることができ一安心。
そして、全身麻酔をしながらの手術だったので、お医者さんを含め立ち会ってくださる皆さんに身を預け、自分が寝ている間に終了。全身麻酔も初めてでしたが、数秒で意識が遠のき夢の世界へ。「もう終わりましたよ〜!」って声かけてもらって徐々に手術中だったことを思い出して無事終えたんだと徐々に実感が持てる不思議な経験でした。
手術直後は、体にたくさん管や機器がついていて身動きはできないけど、気持ち悪さも痛みもなくて多少の違和感ぐらい。ここまで痛みが少なく感じたのは、膝神経周りに麻酔を流す末梢神経ブロックのおかげだと思います。(ありがとう)
そして、術後数日経って久々に膝を見たら0.5cm〜3cm程の小さな傷口が5箇所あって、頑張った勲章だなとじんわり自分への労りの涙が出てきたのを覚えてます。
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手術までにやってよかったことは?
一番辛かったのは、断裂が判明してから手術まで待っている間、回復するわけでもなく、痛みや不安からくる「心の内側」での葛藤かもしれません。
じっと待ち続けるのが辛く、痛みも続いていたため、最初に言い渡された手術日は3ヶ月後でしたが、1ヶ月ほど前倒しさせてもらったほどです。そんな手術までの期間にやってよかったと思うことを紹介させてください!
・納得するまで調べたり、お医者さんに聞く
どんな病気でどんな手術や入院期間を送るのかを、思う存分ネットで調べたり、それでもわからないことはお医者さんに聞きました。知れば知るほど心配になることもあるけれど、わからないという不安は薄れ、実際の手術や入院時の色んなことも想定範囲だなと受け止められた気がします。
・気がかりなことは全て伝える
少しでも気になったことは伝えるといいと思います!
私の場合は、痛いのが大の苦手だったので「痛みをコントロールして欲しい」とお医者さんや看護師さんに伝え続けました。その結果(もしくは元々組み込まれていたかは分からないですが)手術後の痛みを減らすべく末梢麻酔ブロックという麻酔を膝周りの神経付近に術後から2、3日流し続けてもらい、大幅に痛みを減らしてもらえました。これが本当にありがたかった。
気がかりなことを我慢せず伝えてよかったと思います。
・自分の思いを書き留めるクローズドの日記をかく
みずPさんから提案してもらって始めた日記。
なかなか人前で自分の感情や思いを出しづらいという方はぜひ試してみて欲しいです。私は相手を困らせたり変な空気感が漂うのがあまり好きじゃなくて、平気なふりをして自分の心を誤魔化そうとしていたように思います。なので、書き出してみることで、自分はこう思っているんだと知れて、それだけでも安心したり、受け止められたり。手術前は色んな感情が現れる不安定な期間ですが、少しでも心の整理がついて準備ができる気がします
・日々関わりのある皆さんに事情をしっかり伝える
関わりのある皆さんに状況をしっかり伝えました。
そのおかげか療養期間は心置きなく体と向き合うことができ、そして応援メッセージももらえてとっても支えになりました。頑張ってね、パワー送るねというみんなの一言がすごく勇気になりました。
(皆さん、本当にありがとうございます!)
・医療費に対する準備
手術となると医療費の負担も大きくなります。少しでも負担額を減らすべく、医療保険や傷害保険の手続きを進めたり、限度額認定証を受け取るなどの準備をしました。限度額認定証があると、高額医療費となる際に事前に病院に提示することで、退院時にお支払いする金額を保険適用内に抑えられるのでとても助かりました。(ただ入院期間が月を跨ぐと負担額は増えてしまうのでご注意を...!)
・退院後も無事に生活できるように整える
退院後はしばらく松葉杖での生活で一人で生活するのは難しそうだったので、階段が少ない実家に帰省し、家族にサポートしてもらうようお願いしたり、移動を少なくするために生活環境を整えたりなどしました。家族のおかげで安心して術後期間を過ごせて、感謝の気持ちでいっぱいです!
・入院時に持っていってよかったもの
最後に、入院時に持って行ってよかったものを書きそびれてしまったので、こちらで書きます。延長コード、S字フック、短パンの寝巻き、ドライシャンプー、体拭きシート、iPad、モバイルWifiなどは持っていってよかったなと思います。入院期間中は急に今までの生活からガラッと変わって時間がたくさんありました。だけど、病院ではWifiが使えないケースも多いので、快適に過ごすためにモバイルWifiやiPadは特に持っていってよかったなと思います。
手術から1ヶ月。ここまで終えてみて
まだロボットのようなぎこちない歩き方だけど、手術できてよかったと思う日々です。歩けるって最高だね。
ここまでの日々を思い返すと気づきが多すぎて全てを言葉にするのは難しい。だけど、特に印象にあるものを言葉になる範囲で残しておきたいと思います。
・失ったからこそ見えてくる、当たり前にある日々の尊さと幸せ
病名がわかってからも痛みがあり、外出できなかったり、ちょっとした家事すらもパートナーに任せざるを得なかったりと、今までできていたことが急にできなくなって自分の無力感を感じざるを得ない時がありました。
だけど、そんな中で感じたのは、日々の中に心が温かくなる小さな幸せがたくさん散りばめられていることでした。例えば、家族や同僚の優しさ、気持ちの良い風、近所のおじさんとのたわいもない会話、ご飯を食べることなど。どれもそこまで気に留めていなかったけれど、とても愛おしいもの。
幸せは大きなものだと無意識に思っていたけれど、今まで見過ごしていた小さな幸せが日々の中にたくさんあると身を持って感じ取れたこと自体が良い経験になりました。
・不安や恐怖は想像から何倍にも膨らませてしまうけれど、実際にその時が来ると意外と落ち着ける
手術前に自分に起きていることを調べ、知識が増えるとそれに伴って感情も揺れ動きます。ありありと想像できるようになればなるほど怖くなって、その怖さは何倍にも膨らみ、その怖さを抑えるようにさらに調べては、また怖くなる...この繰り返し。
でも、どんなに頭で理解しても、体感に勝るものはないんだと気づくと、想像ではなく現実にいようと思えて、実際に想像していた場面が来た時も冷静に受け止められていました。
この感覚はいろんな場面であると思います。
未知に対して不安や恐怖を感じるのは自然なこと。生きるために危険を察知する大切な能力で、実際助けてくれる場面も多くあるけれど、それほど私たちの想像力は、時に現実よりもはるかに恐ろしいシナリオを作り上げてしまう。だけど、実際にその場に直面すると意外と穏やかで冷静でいられるから、過度に心配せず現実に目を向け続けたいです。
・体の生きようとするエネルギーの凄さ
手術後から特に驚いたのは、生きようとする体の強さです。
最初は起き上がるのがやっとだったのが、車椅子に乗れるようになり、さらに松葉杖で一人で歩けるようになって、と徐々に体が癒えて日々できることが増えていく様子を見て、「生きようとする体のエネルギーはこんなに強いんだ」と尊く感動しました。
![](https://assets.st-note.com/img/1722424418457-41qyRxoiih.jpg?width=1200)
・いろんな人たちに支えられて生きている
病院ではお医者さんや看護師さんなど様々な医療スタッフさんの支えがあって乗り越えられ、生活の中では家族の心強い支えがあり、職場では同僚にカバーしてもらい、そして個人で繋がる方々からパワーや愛ある言葉に勇気づけられ、SNS上では体験談に励まされました。
文字で書くとなんだか表面的に見えてしまうかもだけれど、「一人で頑張るのではなく、みんなとともに生きているんだ」と満たされている感覚。
日常で感じないわけではないけど、苦しい状況だったからこそ色濃く見え、忘れたくない大切な感覚がまた一つ増えました。
最後に
同じような境遇の方の参考になったら嬉しいという気持ちがとても強かったようで、気づいたら5000文字も書いていました。
ここまでお読みいただいた皆さん、ありがとうございます!!
2024年の5月大型連休中に突如発覚してそこから今まで目まぐるしい日々。ここまでお疲れ様って自分に言ってあげられて、私の中でも何かの一区切りがついた気がします。
このnoteの中でもご紹介した「見直さない日記」も近々公開しようと思っているので、もしご興味があれば、そちらも覗いてもらえたら嬉しいです。
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