【コラム】風のように旅をする 世界自然遺産知床のお膝元「斜里町ウトロ」
とある新聞社でコラムの連載を持っていた、地方公務員のコバヤシです。
そのコラムは、野鳥の会苫小牧支部の副支部長という肩書きでやっていたのですが、書いていた内容は旅のお話ばかり。読んでいた人は、違和感を感じていたのではなかろうか?
そんなコラムも18回の連載を持って終わりを迎えた。なので、その振り返りをしようと思う。
風のように旅をする(1) 北海道 斜里町
私は、私が見てきた北海道の旅を紹介したい。
今回は世界自然遺産「知床」を擁するオホーツク管内斜里町ウトロの旅。
日本有数の観光地だが、観光の話は今度にし、村上晴花というウトロにいる友人のことを書こうと思う。
友人は「知床ゴミ拾いプロジェクト」なる取り組みを2020年5月に発起した。きっかけは、人がポイ捨てしたごみをヒグマが噛んだという報道。ヒグマに限らず、野生動物が人間界の味を覚えることは、住宅地への誘因や人間との接触などのトラブルを生みかねないのだ。そんなトラブルを防いだり、ゴミ拾いが不要になる社会を目指そうとする友人の活動は、野生動物と人間社会との正しい距離感を学べる取り組みでもあると思い、今年に入り2回参加した。
4月(参加者約30人)は国道沿いに投棄されたごみを、5月(同約80人)は海岸に漂着した海洋ごみを中心にかなり拾った。こんなに多くの人が参加しても、ゴミがなくなったわけではないが、減った。拾わない限り減ることがないので、大きな進歩だと思う。
たかがごみ拾いなのかもしれない。だけど、意識しなければ他人が投棄したごみなんて拾おうとは思わないだろう。友人はボソッと言う。「取り組みに集まった参加者から、『何だ、ごみないじゃん』って声が聞ける日が来ればいいな」と。
可能な限り参加するであろう。村上がいる限り。そして、ごみを拾う必要がなくなるウトロが来るまで。
ごみを拾うための旅も良いものだった。好きなウトロをより好きになるためには。遠い地の話れも自分ごととして捉えていきたい。