死ぬのかなぁと思った日
このヒグマは2019年に撮影したもの。
写真だけを見たら、死を意識したときの写真とは思えないのではないだろうか。
森を歩いていた日。わたしはヒグマに出逢った。
斜面を登ろうととりあえず斜面の下まだ歩いて行こうと動き出す。
しばらくして斜面の方に視線を送ると、降りて来るヒグマの姿があった。
直線距離にして30mもなかったのでは無かろうか。
気づいたのがそれくらいの距離。
なかなか近い。
草木が生い茂り足場が悪く
後退りするのもままならない。
とりあえずクマスプレーを手にしてピンを抜いたくらいに
ヒグマはまた斜面を降りてくる。
スプレーを噴霧するにしては遠いが
ヒグマとの距離は近すぎる。
「死ぬんかなぁ」という怖さと
「まぁしゃぁないよな」という自業自得の感情が沸いたのは忘れられない…。
とは言えヒグマにも迷惑がかかる話なので
黙っていてはいけないと手を叩く。
ヒグマの脚は止まるが音がなったそのときだけ。
またヒグマは斜面を降りてくる。
正しい行動だったかわからないが
自分も手を叩きながらヒグマに向かって歩いてみる。
ヒグマは私の存在をちゃんと認識したのか少しの間動きが止まった。
「音を出しながら向かってくる生き物」というものに反応したのが明確だったので、既述のとおり「まぁしゃぁないよな」という腹を括ったにも近い感覚で更にヒグマに近付いて行った。
ヒグマはその行為を嫌ったのか後ろを向き
斜面を登って行った。
また30mほどの距離ができたくらいだろうか。
ヒグマは歩みを止め
辺りを見渡すように顔を動かした。
写真はその時のもの。
「死んでも仕方ない」くらいに思っていたはずなのに
怖くてピントを合わせきれていない。
そろよりもまず、ウェンカムイにせず安堵した。
p.s.
たまたまこの写真を見ていたら
このときのできごとを少しメモしていたことを思い出す。
探すと見たかったので少し追記し投稿。