近位足根骨の関節とその機能



足部の安定性と柔軟性を保つためには、近位足根骨の関節が大きな役割を果たしています。これらの関節は、内反運動や外反運動で連携し、足のバランスや動きを制御します。今回は、内反運動と外反運動のメカニズムについて詳しく説明し、機能面でのポイントも解説します。

内反運動


内反運動では、後脛骨筋が収縮して舟状骨を内側に引っ張ることで、立方骨や踵骨にも連鎖的に影響を与えます。これによって足部全体の剛性が高まり、外側への動きが抑えられます。内反運動のプロセスは以下の通りです。

1. 後脛骨筋が収縮し、舟状骨を内側に引っ張り、距骨頭の上外側部が露出します。
2. 舟状骨は、舟立方靭帯を介して立方骨を引き込みます。
3. 立方骨が距骨の下前方にある踵骨を引き込み、足根骨全体が一体となって動きます。
4. 足根洞が開大し、2つの骨間靱帯が緊張します。
5. 足部は底屈し、回外(足の裏が外側を向く)します。
6. 外側アーチが上昇し、内側アーチは下降します。内側アーチの頂点である舟状骨が下方へ移動し、結果として内側アーチが低下します。
7. 前足部は舟状骨と立方骨が内側に引き付けられることで、前内方へ向かいます。

舟状骨と立方骨の動きの重要性


舟状骨と立方骨の動きは、足部の剛性を高めるために非常に重要です。舟状骨が内側に引っ張られることで、内側アーチが低下し、足部が外側への動きに対して抵抗力を持つようになります。また、立方骨が外側に移動することで、足部全体が安定し、外側への動きが制御されます。

外反運動


外反運動では、短腓骨筋の収縮によって立方骨が外後方に引っ張られ、その影響で舟状骨や踵骨にも動きが波及します。この運動により、足部が内側への動きを抑制し、バランスが保たれます。外反運動の流れは次の通りです。

1. 短腓骨筋は第5中足骨の茎状突起に付着しており、立方骨を外後方に引っ張ります。
2. 舟状骨は外側に引っ張られ、踵骨は距骨の下後方に移動します。
3. 足根洞は閉鎖され、距骨が足根洞の基底にぶつかり、動きが制限されます。
4. 足部は回外(足の裏が外側を向く)動きをします。
5. 前足部は舟状骨と立方骨が外側に引き付けられることで、前外方へ向けられます。

足根洞と骨間靱帯の役割


内反運動の際、足根洞は大きく開大し、2つの骨間靱帯が緊張して足部の安定性を強化します。外反運動では、足根洞が閉鎖され、距骨が足根洞の基底に当たって動きが止まります。このプロセスにより、足根洞と骨間靱帯が足部の安定性を保つためにどのように機能しているかがわかります。

距骨下関節と横足根関節の連携


距骨下関節と横足根関節は、足部のスムーズな動きを支えるために連携しています。これらの関節は、Henkeの軸を中心に回転し、自由度1の単一の関節のように作用します。この連携により、足部の複雑な動きが可能になり、歩行や体重の支えが円滑に行われます。

まとめ


内反運動では、後脛骨筋が収縮して舟状骨を内側に引っ張り、足部の剛性が高まり、外側への動きを抑制します。これにより、外側アーチが上昇し、内側アーチが下降します。外反運動では、短腓骨筋が立方骨を外後方に引っ張り、足部が内側への動きを抑え、バランスが保たれます。これらの運動は、複数の関節と靱帯が連携して機能することで可能になります。

さらに、足根洞と骨間靱帯が果たす役割や、距骨下関節と横足根関節の連携により、足部の安定性と柔軟性が維持され、全身のバランスや動きに対して重要な役割を果たしています。

この記事を書いたトレーナー
山岸慎(やまぎし まこと)
STUDIO KOMPAS渋谷店
〒150-0036 東京都渋谷区南平台町13-11 南平台WEST 地下102

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