膝の回旋筋群の働きとその役割
膝関節は屈曲や伸展だけでなく、回旋運動も可能な構造を持っています。この回旋運動を支えるのが膝の回旋筋群であり、外旋筋群と内旋筋群に分類されます。本記事では、膝の回旋筋群の構造、機能、役割について詳しく解説します。
外旋筋群の構造と機能
外旋筋群は、大腿二頭筋と大腿筋膜張筋で構成され、脛骨の外側部分を後方に引っ張ることでつま先を外側に向ける役割を担います。
大腿二頭筋
• 特徴: 単関節筋であり、膝関節にのみ作用します。
• 役割: 股関節の角度に影響されることなく、膝を外旋させる機能を発揮します。
• 補足: 主に膝の屈曲にも関与します。
大腿筋膜張筋
• 特徴: 股関節と膝関節を跨ぐ二関節筋です。
• 役割: 膝が屈曲している時に外旋作用を発揮します。
• 制限: 膝が完全に伸展した状態では回旋作用が消失し、伸筋として膝の伸展を制御します。
内旋筋群の構造と機能
内旋筋群は、縫工筋、半腱様筋、半膜様筋、薄筋、膝窩筋で構成され、脛骨の内側部分を後方に引っ張ることでつま先を内側に向ける役割を担います。
縫工筋、半腱様筋、半膜様筋、薄筋
• 役割: 膝が曲がっている時に内旋作用を発揮します。
• ブレーキ機能: 急激な回転力に対するブレーキとして機能し、反対側の脚の安定性を保ちます。
膝窩筋
• 特徴: 内旋筋群の中で唯一の単関節筋で、股関節の角度に影響されません。
• 役割:
• 脛骨プラトー(脛骨の上端平面)の後方部分を外方に引っ張り、脛骨の内旋を引き起こします。
• 膝の伸筋として働きつつ、屈曲時には内旋作用を強化します。
• 膝が屈曲または外旋している際に収縮することで、大腿骨外側顆を伸展方向に滑らせ、関節の安定性を高めます。
内旋筋群と外旋筋群の筋力比較
内旋筋群の筋力は約2kgm、外旋筋群の筋力は約1.8kgmとされています。内旋筋群の方がわずかに強いものの、その差は小さく、両者のバランスが膝関節のスムーズな回旋運動を可能にしています。
膝の回旋筋群の重要性
膝の回旋筋群は、歩行やランニング時の方向転換、スポーツでの急激な動作において重要な役割を果たします。また、これらの筋肉は膝関節を安定させることで、怪我のリスクを軽減し、運動パフォーマンスの向上に寄与します。
まとめ
膝の回旋筋群は、膝関節の動きと安定性を支える重要な筋肉群です。外旋筋群と内旋筋群が協調して働くことで、スムーズな回旋運動と関節の安定性を実現しています。これらの筋肉を理解し、鍛えることは、膝の健康を維持し、スポーツや日常生活のパフォーマンス向上に繋がります。
記事作成者情報
この記事を書いたトレーナー
山岸慎(やまぎし まこと)
ストレッチリラクゼーションサロン ESL 技術監修
STUDIO KOMPAS 渋谷店
東京都渋谷区南平台町13-11 南平台WEST地下102