旅にでる:韓国の場合⑨

旅のスケジュールの中で皆がとても楽しみにしていたのが、2日目の夜に予約していた韓国エステだった。

サウナ、あかすり、パックなど、日本なら絶対に数万円するフルコースを格安で受けられる。
皆ノリノリだった。

ただ1人、エステは楽しみだが、心配が拭いきれない人がいた。

それがバービーちゃん(仮名)だ。

彼女は私と同じ年で、いつもタイトなジーンズに、上ぴちぴちのカットソーをきてて、出るとこ出て引っ込むところは引っ込んでいるナイスバディさんだった。
美に命をかけており、いつもどんな時もキレイにメイクしており、背が低いのをカバーするために10cmのハイヒールにインソールを3枚詰め込み、足を鬱血させながら歩く、そんな人だった。

そんな彼女は決してすっぴんを見せない。
20歳をすぎた頃から何人にも見せていないらしい。
これまでも一緒にお泊まりをしたことはあったが、パーカーを後前に着て、フードを顔に被せて寝るくらいの念の入れようで、
朝洗顔に行く時も、決してこっちを見るなと言われ、ふざけて見ちゃおっかなーとか言おうもんなら末代まで祟ってやるくらいの勢いで怒るので、
逆におふざけできず、緊張感漂う中でお顔を洗われてメイクが終わるのを待つのがいつものパターンだった。


そんなバービーちゃん、
韓国エステのサイトをみて一言
「エステは行きたいけど、すっぴんにならんといけないのよね。あとあかすりの時にもし裸を見られたら・・」
と出国前からとても心配していた。
私含め他3名は裸・すっぴんに対する恥じらいなどとうの昔に捨て去っていたが、彼女は三十路を越えたとはいえその辺乙女だ。乙女を安心させねば。


「大丈夫よ!私たち絶対(怖くて)顔見ないし!裸になることもないんじゃない?だってほら、なんか皆紫のガウン着てるよ、大丈夫大丈夫!あかすりのベットも個室って書いてるから大丈夫だよー」
と彼女を安心させ、なんとか韓国エステの予約を取り付けた。



話は戻るが、タクシーからの、ポリスからの
タクシーを経て帰ってきた朝、
まさにその日がまさにその2日目だった。

朝5時寝て、9時に起きるというハードスケジュール。皆目の下にクマをつくり、すっぴんのボロボロの顔で各自の部屋から出てきたが、
バービーちゃんはその日も完璧なメイクで我らの前に現れた。


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