田代ダム取水抑制案について
リニア中央新幹線静岡工区において、工事に伴い湧水が生じた場合、田代ダムの取水抑制によりその水量分を、大井川に戻すと、jr東海が提案しています。
しかしながら、この案は流域住民にとって、納得できるものではありません。
田代ダムは、大井川源流部にて取水し、富士川水系の早川に送水しています。大井川から富士川への流出です。
<以下ウキペディアより>[1924年(大正13年)より建設が開始され、1928年(昭和3年)に完成。大井川水系において初の本格的なダムであった。1906年(明治39年)日本とイギリス資本の合弁により設立が計画された日英水力電気は、その後イギリス資本の撤退により日本単独資本となり、1911年(明治43年)に発足した。日英水力電気は1921年(大正10年)に早川電力へ吸収され、この頃より大井川水系と富士川水系を結んだ水力発電事業を計画した。]
1972年にも 大井川の水量確保のため、田代ダムの取水抑制を 静岡県知事が、東京電力に 要望した経緯もございます。
「流域の水は、流域で」という原則に従えば、田代ダムの取水抑制は、大井川の水を自ら 代替することに過ぎない対応ということになります。
川は公共財であり、法律上付託されている電力会社のものではありません。
大井川が本来の河川機能を果たすことが重要です。
「水循環基本法」においては、
「水循環の重要性」「水の公共性」「健全な水循環への配慮」「流域の総合的管理」「水循環に関する国際的協調」の5つの基本理念や、「貯留・涵養機能の維持及び向上」、「水の適正かつ有効な利用の促進等」など8つの基本的施策が定められています。
ちなみに、「流域の総合的管理」について
水は、水循環の過程において生じた事象がその後の過程においても影響を及ぼすものであることに鑑み、流域に係る水循環について、流域として総合的かつ一体的に管理されなければならないこと
が定められています。
大井川は間ノ岳を源とする駿河湾に至る閉塞した谷川であり、湧水が生じた場合、その代替機能はございません。この大井川の自然地形特性を認識しなくては なりません。
例えが適切か自信ありませんが、今回の田代ダム取水抑制案は、大井川流域住民にとっては、もともと貸してある水(元金)を返すことなく、取水を抑制して、利息のみで対応するといった考えと理解します。
この機会に、「流域の水は流域で」という自然摂理に従い、取水(元金)を大井川に戻していただきたいと 東京電力にお願いしたいと思います。