名もなき奇跡の紅茶との再会
私が初めてネパール紅茶に出逢ったのは14年前。前職の社長が「お客様からいただいたから」とオープンしたばかりのティーブティックに配属されたばかりの私に渡してくださった。
社長が渡してくださったネパール紅茶は、こんなことを言ってはなんなのですが、パッケージがものすごく簡易で安っぽくて「大丈夫かな?」というのが第一印象でした。
でも、茶葉が大きく綺麗によられていて、シルバーチップもふんだんに入っていて「なんか、ダージリンの茶葉みたい」と呟いて、試しに淹れて飲んでみたら・・・
あまりに美味しくて驚いて、思わず「見た目で判断してごめんなさい」と、その簡易なパッケージを握りしめて謝った。
それから10年間ネパール紅茶を探したが、ロンネフェルトはもちろん、日本国内でネパールの紅茶を扱っているメーカーは、少なくて再会することができませんでした。
お客様から「遠藤さんが今まで飲んだ中で、一番おいしかった紅茶は何ですか?」と聞かれる度に、「実は、弊社では取り扱いがないのですが、忘れられないネパールの紅茶を探していて・・・実は、私こっそり〝名もなき奇跡の紅茶〟って呼んでるんです」と話していました。
私が前職を辞めて、創業すると決めた時、最初はスリランカの紅茶を仕入れるつもりでした。
11年勤めた会社を退職する際に、たくさんのお客様がわざわざ顔を見に、店舗に来てくださったのですが、以前からお世話になっていたお客様で
カメラマンの慎也さんも訪ねてきてくれたのです。
お世話になったご挨拶もでき、話の流れで慎也さんが2週間後にネパールに行くと聞き「実は忘れられない紅茶があって」と話すと「えっ・・・それ、俺!!そのネパール紅茶!!10年前、社長にお土産でそ渡したの俺!!」と言われてビックリ・・・
だって10年間、何度も慎也さんにお会いしてたのに、ネパール紅茶の話になったことがなかったので、全く繋がらなかったんです。
「2週間後にネパールに行くんですよね?!茶畑と茶園にも行ってもらえませんか?〝名もなき紅茶〟を探してきてください!」と懇願。
出発まで2週間しかないのに旅程を変更してもらい、出発までに遠藤のスパルタ紅茶セミナーで、テイスティングを練習してもらい、数えきれないほどのサンプルを持ち帰ってもらいました。
私の無茶苦茶なお願いをすんなり受け入れてくれた、メンタルがタフすぎて器がデカすぎる慎也さん。
私たちのような創業したての小さな会社では、とても取引させてもらえないネパールで、トップの茶園さんとのご縁を繋いでもらい、「今は田舎の小さな紅茶屋ですが近い将来、必ず日本を代表する紅茶メーカーになりますので、どうか茶葉を譲ってください」と頼み込んで、インドや中国の歴史ある企業さんや大きな商社さんに並んで、そのシーズンにできる最も良質な茶葉を譲ってもらえることになりました。
10年振りに出逢えたネパールの茶葉たちは、本当に惚れ惚れするくらい妖艶で力強く、香りも味わいもあまりにも表情豊かで、マウスフィーリングとアフターテイストの美しさは、世界中のどの有名産地にも負けていませんでした。
やっぱり、ずっと忘れられなかった〝名もなき奇跡の紅茶〟に間違いなかった。
わかります?!10年振りに会った初恋の人が、やっぱり素敵だったという奇跡!!!!笑
慎也さんがいなければ、偶然にもあの日、私達がお喋りしていなければ・・・
ネパール紅茶にも再会できなかったし、「雲透」というブランドは生まれませんでした。
慎也さんはキューピット?生みの親?
とにかく、嘘みたいな本当の話
〝名もなき奇跡の紅茶〟を忘れなかった遠藤の執念としぶとさもなかなかですが(笑)、忘れさせなかったネパール紅茶の美味しさと素晴らしさが何より凄い。
そんな慎也さんが八田カメラの50周年を記念して企画された『ネパール写真展』
予定以上の来場者数に驚いてワタワタしつつ、あまりにも優しく穏やかで温かくて、笑いすぎてゼーゼーと息が上がったり、嬉しくて思わず涙ぐんでしまうような素敵な素敵なイベントとなりました。
改めて、たくさんの人に携わってもらい、応援してもらい、助けてもらい、この紅茶を届けられていること。
たくさんのお客様が私達の紅茶を楽しみにしてくださっていること。
スタッフのみんながいつも楽しそうに嬉しそうに一緒にいてくれること。
気付かせてもらい感謝が込み上げた2日間。
参加させていただけて本当によかったです。
慎也さん、出店者のみなさま、お手伝いしてくださったみなさま、ご来場くださったたくさんほお客様、スタッフや家族のみんな、本当に本当にありがとうございました。
私達も感謝の気持ちを忘れずに、大切に丁寧に真摯にこの1杯を届けます。
@ shinya.hatta /八田慎也/カメラマン
@lemuriacoltd
@kumosuki_official
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?