サンリオピューロランドに、この世のオアシスを見た
先日、何を考えたのかふとサンリオピューロランドに行ってきました。
前提として、これまでの僕の人生においてサンリオキャラクターに関わったことはほぼ皆無で、強いて言うなら小学校低学年の頃に実家にケロケロケロッピのコップがあってそれを使っていたのと、高速道路のサービスエリアのお土産コーナーに置いてあるご当地キティちゃんを見て「商魂たくましいな」くらいのイメージでしかなく、普段サッカーと唐揚げくらいにしか興味のない僕は「ミッフィーはサンリオ?」や「ピューロって何?」というレベルの理解度でしたが、感想を一言で言えば【ある意味昇天しそうだった】
まず入口に入るといきなり出迎えてくれるのは巨大キティさん像。
存在感としては東大寺の大仏並みで、左右にはどこに繋がるか分からない階段と巨大キティさん像の下部には底の見えない下りエレベーター、そしてその周辺で作られているどこが始まりでどこが終わりか分からない謎の行列の数々。謎過ぎてもはや恐怖。イメージとしてはゾンビの蔓延る洋館にたどり着いたSTARSを想像してもらうと良いと思います。
「僕はもしかして、足を踏み入れてはいけない領域に入り込んでしまったのではないか・・・」、入場してわずか1分で異世界転生してしまった僕はこの世界の常識・ルール・在り方も分からず戸惑うばかり。まるで赤ちゃん。オギャアオギャアと泣いてしまいたい気持ち。だが、負けるわけにはいかない。入場して即帰りたい気持ちを振り払い、城に攻め込む歩兵のごとく、まずは正面の下りエレベーターに乗り、仄暗い底へと進んでいった。いったい、何が待ち受けているのだろうか・・・。
パアアアアアーーーーーー!!(謎の効果音)
そこはなんと、地下に広がる地底世界。地下なのに昼間のように明るい室内、どこからともなく聞こえる女子の声、甘い香り、高音の歌声、多摩センターにセンター・オブ・ジ・アースが存在した。
ユニクロのウルトラライトダウンを着ているおっさんなど僕以外におらず、みんなヒラヒラしたピンクの服、謎の耳、黒いマスク、パッツン前髪、つまようじのような脚、もはやサンリオを纏ったかのような華やかな衣装の女子ばかり。グーグルで「量産型オタク女子」で検索をしてもらえば、イメージつきやすいと思います。
試合開幕早々にレッドカードを突き付けられた菅原智の顔になっていた僕が周りを見渡すと、同じような顔になっている同士(おっさん)と目が合った。その人は、途中出場からわずか2分でレッドカードを貰った中島翔哉の顔だった。もう帰りたい・・・。
海外に移籍した井手口がこっそりJリーグに帰ってくる気持ちが少し分かった僕でしたが、ここで爪痕を残さないと僕はサンリオピューロランドに負けた男になってしまう。気持ちを奮い立たせ、それでもアトラクションなら・・!アトラクションに乗りさえすれば楽しいはず・・・!とアトラクションを探しました。
~キキ&ララ トゥインクリングツアー~
下調べ無しで目に付いたその文字に飛びついた僕。何があるのか、そもそもコレはなんなのかも分からず、ただ列が空いてたってだけで並んだアトラクウションらしきもの。さて、鬼が出るか蛇が出るか。出たのはキキ&ララでした。
門をくぐった先に広がるのは、白、黄色、そしてピンク。ただ謎のオブジェが置かれ、回すと光る謎のオブジェや触っても何も起きない謎のオブジェ、座っていいのかも分からないオブジェや触っていいのかも分からないオブジェ。もはやオーパーツ。キキララって誰だ。僕は何者だ。周囲の人たちはそれぞれ散開し、狙いのオブジェにロックオン。事前に打ち合わせていたかのごとく次々とシャッターを切っていく様はまるで敵アジトに突撃するSWAT部隊。そのなかにド素人の僕が混じってしまった。
戦場だったらフレンドファイアされていてもおかしくない状態に陥っていた僕だったが、かろうじて理解ができたものがあった。2つ並んだ小さいイス。
「ハハ、これは座って並んで写真を撮るためのものだろ?ここに座ることで写真映えするってさすがの僕でも頭じゃなく本能で理解したわwww」などとのたまっていたが、その瞬間僕の網膜に飛び込んできたのは、その小さいイスに謎の男性キャラクターの人形を座らせそのキャラクターに向けてシャッターを切りまくる女子の姿。
え・・・?本人は写らないの???
トゥインクリングツアーどころか地獄への片道電車に乗っていたことに気づいた僕だったが、ここからが本当の地獄。本当の「散離尾飛雄露乱怒」の始まりに過ぎなかったことにこの時点では気づいていなかった・・・。
ゾンビの顔と足取りで徘徊する僕だったが、他の人たちはとても楽しそう。歓喜の声を上げる者、カラフルな謎の固形物を口に運び恍惚とする者、ピンク一色の塊に乗り込み虚無空間へ消えていく者、そこにいる全員がこの「散離尾飛雄露乱怒」の住人としてここで産まれ、一生を終えてしまうんじゃないかと思えた。
この世界では、僕が世界の異分子なのだ。
そこにおもむろに現れるキティ、ポムポムプリン、そしてショッカー親衛隊のような赤い人間、青い人間、黄色い人間・・・。
「We Are ピューロ学園★☆!!!」
もう。。。無理だ。。。。
目の前で繰り広げられるショーにおける可愛さの大渋滞に、僕の頭は理解が追い付かない。そして突如としてセンター画面にデカデカと映し出される普通のレッサーパンダ、かと思ったらアグレッシブ烈子という名前らしい。コンセプトが分からない。アグレッシブ烈子・・・お前は誰なんだ・・・?
ショーを見ているはずの僕だったが、虚空を見ているも同然で目がうつろなまま。立ってはいるが、完全に心の中はブラジルとの試合を終えた中田英寿のそれ。
【こんなにも、世界ってのは遠いんだなあ・・・。】
上記はプレミアリーグに移籍した某日本人選手が大きな期待を集めるなかで迎えたプレミアデビュー戦、激しい当たりやJリーグとはケタ違いのプレースピードなど強烈な洗礼を浴びて失意のデビューを飾った後に発した言葉とされます嘘です今僕が作りました。
そしてクライマックスは、中央広場で繰り広げられる光と音のショー。
「Nakayoku Connect」
天井からロープで吊るされたゴンドラに乗るキティと、サンリオキャラクター勢ぞろいで開催される「ポップなダンスミュージックにのせてイルミネーションやレーザーが煌めくライブショーとバーチャルの世界が融合した、新感覚エンターテイメント!」との事らしいが、どう見ても不安定なゴンドラの上で踊り狂うキティが落下しないかのほうが心配になって、とても見ていられない。聞いたことのない曲やレーザー照射のことよりも、キティの動きによってゴンドラが揺れるたびにハラハラドキドキ。これが新感覚エンターテイメント・・・!
すべてを鑑賞し終わり家路につく僕の疲労と困惑に満ちた背中は、大量得点を期待して見に行った2003年12月7日埼玉スタジアム2002での東アジアサッカー選手権、日本対香港で三都主のPKによる1点での辛勝を目の当たりにしたときの浦和美園駅までの姿そのものだった。
お昼ご飯のフードコートがあまりに混んでたので、一回退場して近くのコンビニで食事を済ませたその瞬間が一番心落ち着きました。コンビニこそが心のオアシス。
四方八方を可愛いに囲まれたい人、サンリオに網膜を焼かれたい人、骨髄までピンクに染めたい人にはぜひオススメの施設となっております。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?