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近所の公園で小学生がラップバトルしてた

ある日の夕暮れの仕事帰り、今日の夜は何を食べ何をして何のために生きようか考えながらトボトボと歩いていた時、いつも通る公園の横に差し掛かったあたりで、小学校4~5年生くらいであろう男の子5人が、公園の広場に座っていた。

正確にはそのうちの男の子2人は立った状態で面と向かい合っており、他の3人は地面に座り込み、その立っている男の子2人を観客のような眼差しで見つめている。

立っている男の子2人は大声で交互に喋りながらなにやら言い合いをしているような様子だったが、公園中に響き渡るでかい声に嫌でも聴覚に伝わってくるその内容に僕は思わず息を呑んだ。

「おまえ、口臭い!ださい!俺が最強!」

「おまえ、口臭い!禿げてる!変な顔!」

よくある口喧嘩にしては、お互いきちんと順番に相手の発言を待つ冷静さを持ち合わせており、相手の話を一切遮ることなくまさに傾聴の姿勢を見せるその姿はうちの部長にも是非見習ってほしいところだったが、その口から発せられる言葉はあまりにもガサツで、適当で、なにやら切羽詰まっているようにも思えた。

まるで普段使わない暴言を無理やり言っているような、何か言葉を口から発することを強制されているような、あるいは大人の真似をして箸でご飯を食べることに挑戦してみるも上手に箸が使えない子供のような・・・。






これ、ラップバトルだ。


小学生が、ラップバトルをしてる。




僕はまともに見たことはないのだが、YouTubeでは今、ハイカラな若者が大衆の前で向かい合ってBGMに合わせて相手をディスりまくる勝負をする。というのがとても人気だという話を聞いたことがあった。

そしてその周りを取り囲む聴衆達の反応で勝敗が決する。ということも、なんとなく聞いたことがあった。

今、僕の目前で繰り広げられている、夕暮れの公園で小学生同士が向かい合い幼きボキャブラリーと頭の中の図書室から必死に言葉の空気砲を装填し、西部劇ガンマンの如く撃ち合う、いや乱射し合う。命中してるのか、効いているのか、そもそも何を以て命中と言えるのか。自分の攻撃は絶対当たるのに、相手からの攻撃は絶対当たらない、戦いごっこ遊び。あるいはアクション映画の主人公の如く。

これが噂にしか聞いたことがない”ラップバトル”というやつか。

もしこの小学生達のこのつたない暴言の応酬をいわゆる”ラップバトル”だとしたら、僕は即座にこの男の子2人に「そんなことはやめて、今すぐ家に帰って”おかあさんといっしょ”を見なさい」と教育的指導を施すことでしょうし、それに対して小学生が「だまれおっさん!だれだWho アー?まるで黄砂!迷惑千万!」と返してきたら、僕はそいつに思いっきりビンタぶちかまして即逮捕されることになります。

そんな未来はまっぴらなので、普通にスルーして素通りしていったのですが、背中方面から聞こえる「お前口くさい!顔キモイ!禿げてる!」と壊れたレコード状態に突入した小学生ラップバトルに思わずニヤつきつつ、(お腹空いた。何がいいか?今日のディナー。作るぜウィーアー。焼くぜウィンナー。ネギは群馬。辞めろ大麻。止めろ温暖。言うは簡単。味をつけるの豆板醤。コメはコシヒカリ。夜空に星キラリ。取り出せ鍋掴み。食べたいホタテ貝。赤貝、ミル貝、買って帰るぜお惣菜!)で結局お惣菜買って帰りました。美味しかったです。

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