ほったらかしキャンプ場
4月16〜17日の天気予報を毎日何度もチェックする日々。
フィリピンの東で発生した台風1号が、この時期にしてはとてつもない強さに発達し、日本の南海上へ進んでくる。
先週まで、季節外れの暖かさ、いや、暑さだった静岡県に、冷たい雨が降っている。
「この時期の雨のキャンプは嫌だなぁ。」
雨のキャンプは好きだ。
ただし、もう少し暖かくなっていれば、だ。
静岡県は基本的に冬は雨が少ない。
乾いた晴天が続く。
2月中旬以降から雨が降る日が出てくるが、それはだいたい暖かい雨だ。
今回の目的地は、山梨県、それも標高は700m。
絶景が売りのキャンプ上で、雨で寒いのはテンションが下がる。
それに、今回は1つの区画にソロテントを2張りする予定だ。
区画は広くないので、テントは小さな、バンドックのソロベースを選んだ。
もし雨なら、寝ることしか出来ない。
予約が取りづらいキャンプ場でそれは、キャンプ慣れしてる自分でも、つまらない。
幸い、台風は南海上を東へ進んでくれた。
朝家を出るときには雨が降っていたものの、時間があるのでのんびりと山梨へ向かう道中で雨は上がり、雨で洗い流されたきれいな空気と、上空の濃い青空が見えた。
山梨の田舎の道を、キャンプ道具を積んだ愛車でのんびり走る、これだけでストレスが開放されていく。
普段高速道路で一気に通過してしまうちいさな集落を、あえて高速道を使わずにゆっくり通過する。
日本の原風景のような景色を眺める。
これも週末のキャンプを構成する立派な要素だ。
特に、行ったことのないキャンプ場へ行くときはその比率が高くなる。
雨は嫌いじゃない、けど、こういう時は晴れがいい。
買い物をし、キャンプ場へ。
急な坂道を登った先に、目的地のほったらかしキャンプ場がある。
いい天気だ。
13時の受付開始を待ち、チェックイン。
否応にもテンションが上がる。
予約していた区画に向かう。
区画へ着いて驚いた。
朝まで雨だったはずなのに、ぬかるみはおろか、濡れた形跡がない。
前日まで居たはずの人の痕跡もなく、キレイに掃除されている。
大体どこへ行っても、どこかしらに不具合があるものだが、それが一切ない。
トイレも炊事場も各サイトの近くにあり、清潔で、お湯も出る。
僕は使用しないが、別料金を支払えば電源もあるため、ホットカーペットなんかも使える。
なるほど、人気があるわけだ。
お隣の方に挨拶をし、設営。
少し風はあるが問題はない。
レイアウトを考えながらテントを立て、持ってきたキャンプギアを並べていく。
キャンプは大人の秘密基地だと思う。
特にソロキャンプは。
子供の頃、自分の好きな玩具や漫画本を自分だけの秘密基地に持ち込むのが好きだった。
家の廊下の片隅に、ダンボールで小さな基地を作った。
カッターナイフで窓を作り、親や兄弟が勝手に入ってこれないように、柵も作った。
そこに、玩具や漫画、お菓子を持ち込んだ。
何も変わっていないじゃないか。
今はダンボールの基地が、テントになった。
玩具や漫画は、キャンプギアだ。
お菓子は相変わらずだ。
年齢だけは重ねたが、根っこの部分なんかそう簡単に変わらない。
設営を終えて場内を散歩する。
散歩する。文字で書くと4文字だが、実際はかなりの高低差だ。
カフェにつく頃には汗だくで息も絶え絶えだ。
遠くの雲が晴れていく。
隠れていた富士山が顔を出す。
夕方、美しい景色が見れそうだ。
となりのほったらかし温泉へ。
某漫画でも出てくる温玉あげをいただく。
これは美味しい。
もう1個食べたかったけど自重。
自分たちのサイトへ戻り、のんびりとくつろぎながら焚き火台に火を入れる。
まだまだ明るいが、太陽が稜線から隠れると風が冷たく感じる。
太陽の偉大さを知る瞬間だ。
まもなく、一番美しい時間がやってくる。
柔らかな夕景と、そこに登る4月の満月
徐々に灯る街の明かりと、青が深くなっていく空
満月に照らされた山々と人の暮らす町並み
好きなものに囲まれて、のんびりとこの景色を眺める。
こんな幸せなことがあるだろうか。
持ってきた大量の薪がほんの僅かな熾火になったころ、心に溜め込んでいた積み重なったストレスも、軽くなっていたことに気づいた。
眠って、朝起きたら、帰る前に桔梗屋のアウトレットに寄って家族にお土産を買って帰ろう。
翌朝、5時前に目が覚めた。
テントの隙間から、光が漏れる。
ファスナーを開け、外へ出る。
曇天だった。
雨雲レーダーをチェックすると、静岡は雨だ。
もたもたしてるとこっちも降るかもしれない。
朝のコーヒーを淹れながら、少しだけ早めの撤収をしようと片付けを始めた。
朝日を見ながらの温泉は、また今度、かな。
来たときよりも美しく。
キャンプするにあたって、気をつけていることの一つ。
ただ、ここは来た時はキレイすぎる。
美しくするのは無理だから、せめてスタッフさんに迷惑にならないように。
なかなか予約の取れないキャンプ場だけど、ここは再訪したいキャンプ場。
また予約サイトをチェックしてみよう。
それでは皆様、良いキャンプライフを。
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