何気ない日常の中に
先日、久しぶりに静岡の某フォトグラファーさんと一緒に写真を撮りに行った。
撮りに行ったと行ってもこのご時世なので、遠出はせず、生活圏内の静岡市内だ。
普段は、街中のスナップ写真を撮ることが多い。
一人で、仕事の合間や仕事終わりにサッと撮っている。
そういう時は、何もないとは言いながら、駅近辺の繁華街がメインになる。
今回は珍しく、ちょっと駅から離れた、歩くには少し遠いあたりを歩いてみた。
静岡浅間神社から本通りを安倍川方面へ。
何を話したか忘れてしまうような、とりとめもない話をしながら、何かを感じたところでシャッターを切っていく。
こんな時は、「オワコン」と言われて久しいが、やはりコンデジが良いなと感じる。
今回はLEICA Xを持っていった。
友人から安価で譲り受けたLEICA X、とても気に入っている。
ダイヤルを回して設定を変え、マニュアルフォーカスでピントを合わせ、レスポンスの悪い画面でもたつきながら、写真を撮っていく。
普段なら決して歩くことのない、安倍川まで歩き、違うルートで駅方面へ戻ろうと思ったその時だった。
「わぁ、西日が美しい…」
西日に照らされた建物を撮りながら、そう呟く声が聞こえた。
「きっとこういうの撮っても現像しないんですよね」
なんて話をしながら撮っていたその写真だったが、本当になんでもない、日常の中に、「美しい」と思える瞬間は確かに存在している。
その瞬間に気付けるかどうかが、感性なんだろう。
ぐるっと回って帰ってきた。
時間は夕刻になっていた。
街に活気はない。
あからさまに人が減っている。
相変わらず、ネガティブなニュースが多くて気が滅入ってしまうけど、ちょっと気分転換にカメラを持って歩いてみるのはどうだろう。
「カメラなんか持ってったって、撮るものなにもないよ」
よく聞く。
本当だろうか?
カメラを持って、心の感じるままに、なにか撮ってみたらいい。
道端に落ちている空き缶。
木々の根本に集められた落ち葉。
生活感を感じる町並みや、そこで暮らす人々の日常。
どこにでもある、日常の風景は、立派な被写体だ。
カラフルなイルミネーションも、眼を見張る絶景も、満天の星空もなくていい。
大切なのは、今、この瞬間に、「美しい」と思える気持ちだろう。
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